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PB-BIGを体験した、ある方のレポート



 オーディオの世界では、時として全く不可解なことで驚くほど音が変わるというのは誰しも経験のあることでしょう。
 
 「ローゼンクランツ」・・・・・。
 
 それは時たま専門誌で見かける名前ではありましたが、たかだかインシュレーターやスペーサーであるにもかかわらず非常に高価であるのが不思議でした。まあ、趣味の世界ですから専門家などが針小棒大に宣伝すれば、信棒者が右に習えと迎合するのたぐいとして、懐疑的に眺めておりました。

 インシュレーターは私もこれまでかなりの数を試してはみました。概してゴム系など弾力のあるインシュレーターは音の輪郭を緩めながら量感を演出し、金属系はメリハリを効かせ膨らみを殺ぎ落とす方向にあることは周知のとおりで、いずれにしても機器の入れ替えほどの激変はなく、各人各様の嗜好によるチューニング程度、それほどコストをかけるパーツでもない、というのが一般的であり、私もその程度でお茶を濁しておりました。

 しかし、ローゼンクランツは、縁あって使用の結果、予想外の展開を見せました。現用のCDプレーヤーはワディア16、プリは自作の真空管製で、いずれも振動対策とチューニングは入念に施したものですが、このローゼンクランツをインシュレーターにセッティングしてみた結果には、驚愕とともに脱帽してしまいました。

 低域は引き締めながらも量感を損なわず、しかも下方へ力強く伸ばし、高域は澄み切りながらも決して寒々とした雰囲気や艶やかさを損なうことなく、深淵とも思えるがごとく突き抜けさせるという、まったく相反することをいとも簡単にやってのけたのです。
 
 アンプやスピーカーを入れ替えれば変化が大きいのは当然です。しかし、ものはインシュレーター。仮にも機器の内部が構造的に不安定であれば防振効果で激変もありそうですが、そんな製品は少なくともオーディオ用と銘打ったものには存在しないでしょう。それがインシュレーターで、しかも強固な筐体の物にこれほどの変化をもたらすのは、一体どのように評価すればよいのでしょうか。

 もともと電気系の技術者である私には、自分自身を納得させるだけの理屈がどうにも見当たらないのです。確かに価格は価格として尋常ではありません。これほどのコストをかけるのなら、もっと他に投資した方が効果的である、という思いも否定できないところです。しかしベースとなる部分にこの際思い切って投資する、というのも長い目で見れば選択肢としてはありかなと思いつつ、オーディオの奥深さを今更ながら噛みしめ、音の世界へ身を委ねている次第です。


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