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アコースティックギターに絞って聴いてみた


 ----- Original Message -----
 From:A.K
 To: info@rosenkranz-jp.com
 Sent: Sunday, December 07, 2003 12:22 AM
 Subject: フェーズプラグ試聴レポート


 試聴体験レポートに参加させていただきありがとうございます。平日はなかなか時間が取れませんが、ちょうど週末前の発送となりましたのでじっくりと試聴することができました。凡庸な耳と普及クラスのシステムでの試聴ですのでその点はご容赦下さい。

 まず今回の試聴に使った我が家のシステムです。

CDP sony CDP-X5000 (クロック交換)
DAC north star design DAC192
AMP FAST T1-S
SP CDM7NT
電源ケーブル AET GAIA AC
デジタルケーブル light house D-200(バランス)
RCAケーブル AET SCR LINE
SPケーブル audioquest CV-4(バイワイヤ)

 それではレポートさせていただきます。

 今回この企画に興味を持ったのは、プラグの材質でした。アコースティックギターの指盤やブリッジに使われるエボニーです。趣味でアコースティックギターを弾き、音楽もそれを中心に聴いています。ギターの材料で作ったものでギターを聴いたらきっといいに違いない。そう思ったのです。様々なジャンルでの試聴レポートが届くと思いますので、私はあえてソースを絞ってレポートしてみたいと思います。もちろんアコギです。また、すでに銅製のフェーズプラグを使用していましたので、ノーマルプラグとの比較は敢えてせず、このプラグとの比較試聴という形でレポートします。

 まず包みを開いて外観を見ました。ああ、さすがにマーブルなのかと思いました。ギターの材料は年々良い物がなくなっている状態です。エボニーもマーブルが多くなり、よほど高い物でないと(と言ってもまあ50万クラスですが)真っ黒なエボニー(ちょっと矛盾した言い方ですが)は使ってありません。この値段での販売を考えればまあマーブルはしょうがないかという感じです。

 ソースはなるべくエフェクターのかかっていない生に近いものを選びました。ぱっと聴きの印象は、明るく軽いという印象です。銅製に戻すと音調はぐっと暗くなります。ご存じかもしれませんが、ギターはその材質によって大きく音色が異なります。たとえればマホガニーとローズウッドのような違いを感じました。マホガニーは明るくからっとした音調が特徴です。それに比べローズウッドはやや重たく深い響きをもっています。もちろん同じ材質でもそのグレードによって音質は全く違いますし、全く同じモデルでも個体によってその響き具合は微妙に違います。まあすべての楽器がそうだと思いますが、ギターはその違いが他の楽器より顕著だと思います。

 ここで一つの疑問が浮かびました。そのような個体差の大きい木材を材料にしているのであれば、製品の個体差が大きいのではないでしょうか?、またギターは湿度管理に非常に気をつかいます。そのあたりも心配なところではありますが、これは試聴レポートとは直接関係ないので、レポートを進めます。

 次に右と左に異なるプラグをつけ、スピーカーの前1m以内の位置で同じ曲を聴いてみました。(この移動が結構たいへんでした。最初は中腰で聴いていたのですが、数枚聴いたところで腰がいたくなり、キャスター付きのイスでの移動となりました)明らかに違うのは低音の出方です。エボニー製のほうが明らかに低音弦の音がしっかりと出て伸びています。その分高音弦の響きは抑えられ、高音・低音の弦が非常にバランス良く鳴っています。

 それぞれの弦の音の出るタイミングがそろっています。また音の出足も速いです。タッピングという奏法があるのですが(弦を指でたたく奏法です)これが非常にクリアに聞こえます。ボディヒットの音も素早く歯切れが良いです。いつもはやや耳障りなフレットノイズもさわやかに聞こえてきます。全体としてはさわやかで非常にバランスの取れた美しい音というところでしょうか。

 さてこの音の特徴をどう評価するかです。実はギターというのは基本的にはドンシャリです。ギブソンのギターなどは特にその傾向が強いです。中音域が美しいギターというのはなかなかに少なく、また高価です。

 今回のプラグで聴くギターの音は非常にバランスがいいのですが、バランスがいいだけにかえって私には作り物くさく聞こえてしまったのです。(すみません)100万クラスのギターを弾いたことがないので、そういうギターはもしかしたら非常にバランスの良い響きを持っているのかもしれません。しかし私にとっては今回のプラグで聴くギターの音はきれい過ぎて物足りなくリアリティが感じられませんでした。

 ギターの弦もたくさんの種類があり、響きがかなり違います。私はどちらかというときらびやかな鳴り方をする弦を好みます。今回の伸びの良いローの音はとても気持ちが良かったのですが、やはり高域が物足りません。もうちょっと下品にきらきらして欲しいと思うのです。銅製プラグはそのへんの好みにマッチしているのでした。

 ギターの音域は非常に狭く、高低の音のつながりをよくするためのプラグのレポートとしてギターのみを取り上げたのは間違いだったかもしれません。しかし自分が一番耳に馴染んでいる、また自分でも生の音をイヤになるほど聞いている音での試聴の方が良いと考えました。趣旨に合わなかったとすれば申し訳ありません。

 ちなみに、他のソースももちろん聴いてみました。ヴィヴァルディの四季では銅製だとちょっときつすぎると感じるところも非常に美しく、ほんとうにうっとりとするハーモニーを聴けました。弦をこする音が目立たなくなり弓がスムースに動いているように感じられました。この一点だけでも購入の価値はあると思ったほどです。

 しかし今回のレポートの焦点はあくまでアコギです。アコギについては前述のような結果となりました。最初にこのレポートに興味を持った理由から考えると意外な結果となりました。自分の趣味にしているものだからこそ、好みの部分が大きくものを言ったのかもしれません。トータル的には十分購入意欲をかきたてる製品であったことは言うまでもありません。

 勝手にポイントを絞ったレポートになってしまい申し訳ありません。また見当違いのことを書いてしまっているかもしれませんのでご容赦下さい。今回はこの企画に参加させていただき、貴重な試聴が出来たことをうれしく思います。

 貴社のますますのご発展と「良い音」への飽くなき挑戦に敬意を表し、このレポートを終わりたいと思います。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。


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