Rosen Kranz VS Music Spirit

 中国地方への1週間の出張を終えてすぐ翌日の事です。その間何度も何度も微調整を繰り返し、音は最高の出来になっていました。今回のようなイコライジングはもう一度再現するのは無理かもしれないと思えるほどの傑作でした。

 『万が一があったらいけないのでメモを取っておこうよ』と息子に促されて、オーディオチェックシートを持って地下の駐車場へ向かいます。その途中で急に思いつきました。

 「Music Spiritのデモカーとどう違うか、久しぶりにローゼンクランツの音を先に聴いてみないか?」。

 『それも良いねぇ』。

 最近見つけた新しいドライブルートを走ります。東関東道と平行して走っている一般道ですが、曲がる所は一つも無い一直線の道路です。深夜ですと高速と同じような走りが出来るのです。浦安の先の塩浜3丁目でUターンすると往復で約20キロのドライブコースになります。

 シトロエンは約2週間ほど乗っていませんでしたので、ハンドルは重いし車も全く走ってくれません。こんなに調子が悪いのは初めてです。音も寝ぼけていてシャキッとしてくれません。それでも音楽が濃いといいますか、音の良し悪しなど気にもならないどこか魅力のある音です。人間の陰や負の部分を表現しようとして、私個人の思いをそのままに作ったものですから、よほどの方でない限りはこの音の良さを分かって貰い難いようです。

 そんな両者の魅力は全くの別物です。終盤の2〜3キロぐらいになって初めて音も車もキリッとしてきました。さて、次は昨日まで片時も離れず一緒に過ごした407に乗り換えてもう一度同じコースを走ります。音が出た瞬間に出た言葉が
 
 「何この音!・・・軽いネェ・・・」。

 「こうまで違うかネェ〜」。

 その内、変わってすぐに感じた違いの大きさは次第に薄れてくるのでした。人間いかようにでも慣れるものだなぁとある種の感心をするのでした。そうはあっても一般的には情報量の多い音が前面に出る407を良いと感じる人の方が大勢を占めるのではと思います。


 メモリーが飛んでしまった

 リモコンでメモリーを呼び出しチェックシートに記録を取り始めて半分ぐらいしてから気がつきます。「最後に調整したのはこんなパターンじゃ無かったよ!」。『そう言われてみればあんな音ではなかったよねぇ・・・』。『もっとワイルドな音も出ていたし・・・』。しかし、どこにもそのイコライジングパターンは記録に残っておりません。何かの拍子にフラッシュメモリーが飛んだとしか考えられません。

 そういえば関が原を過ぎた養老あたりで、ピピッという音とともにサスペンションの警告燈が点いたのが原因かもしれない。思い当たる事といえばそれぐらいしかありません。危惧していたことが現実に起こってしまいました。あまりにもショックで翌日目が覚めても一日何もする気になれませんでした。それぐらい逃がした魚は大きいのです。

 今回の教訓ですが、最終のパターンとその直前のパターンの二つのメモリーをとっておく必要があると強く感じました。それにしても、聴いてすぐその違いに気がつかないようではいけません。ちょっと情けない気もちです。


カイザーサウンド有限会社
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貝崎 静雄(かいざき しずお)
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