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その20 「柳腰の音とは?・・・確認の為に寺島邸へいざ!」


 「お久し振りです」。

 「やぁ〜こんにちわ」。

 「失礼します」。

 「まぁ〜、どうぞ!どうぞ!、今お茶でも入れるから」。

 寺島さんは豪放らいらくで口は悪いけど、すごく気を使ってくれるところがあるんです。初めてお邪魔した時などは、寿司を取ってくれたり、イタリア風のサラダだかカルパッチョだったか、いっぱい、いっぱいご馳走になりました。私はてっきり出前を取っているのだろうと思ったら、ところが、”ドッコイ”後から聞くと、寿司は別にしても全部奥さんの手料理だったそうです。すごくおしゃれなお皿に見事な料理でしたから、さすが高級住宅地吉祥寺は違うなぁ!と思いその時は驚いた次第です。

目立って変わった所はありませんでしたが、エールのホーンツイーターの位置が20cm位後ろに下がっていました。

 原稿が沢山溜まっているらしく、今日中に原稿用紙30枚くらい書かなくてはいけないそうです。そんな事で僕に与えられた時間は3時間。事前にBIG JAZZを3個、そして今回訪問前に9個お送りしていますので合計12個のBIG JAZZが手元にはあり、寺島さんのPB-BIG12個と併せて合計24個のインシュレーターが勢ぞろいです。

寺島
 「今、新しい奴は外してるから、BIGだけの音を聴いてもらった後」、
 
 「この間、リンのCDにBIG JAZZを1個入れた時の音を、それでは聴いてもらいましょうか?」。

寺島さん曰く、「このはみ出し具合が、大事なんだよ!」

 「カイザーさんは最近、マルサリスのスタンダードVol.3をよく聴いてるんだって?・・・それも7曲目を」。

 「しかし、僕の場合リファレンスのディスクはその都度よく変わるから」、

 「あのディスクはどこへ行ったかなぁ?」。

 「他のディスクでもいいでしょう?」。

カイザー
 「はい、構いません」。

寺島
 10秒ほど鳴らして・・・「どう?この違いは!」。

 「ハッキリ聞かせてよ!、カイザーさんの感想を・・・」。

カイザー
 「どう?って、言われましても〜・・・」。

 「僕にとっては、今出ている音がどうというよりBIG JAZZがいい方向に行きそうだなぁ、と感じることの方が強いですけど・・・」

寺島
 「音が痩せるでしょう?」。

 「少しスマートになるでしょう?」。

カイザー
 声には出さず、”イイヤ、痩せたんじゃない!”、”締まったんだ!”。

 「いいえ!、切れがよくなって更にいいと思いますけど・・・」。

寺島
 「下が出なくなったでしょう?低い音が」。

カイザー
 「僕にとっては箱の付帯音が少し取れて、更に『タイト』でいい方向に感じる音が、どうも寺島さんには『痩せた』ように感じるみたいですね!」。

 ”これは3年前の議論の全く同じ再現だ!と、私は心の中でつぶやいた”。

 「この度は、私の価値観を寺島さんに押し付けるつもりはありません!」。
 
 「良い悪いは別にして、今回は、如何に寺島さんに気に入って頂ける音を作るかが私の目的なんです!」。

 「いくら作った人間がいいでしょうと言ったところで、お金を払って買うお客さんが気に入らなければ何にもなりませんから」。

寺島
 「そうだ!そうだ!全くだ!」。

カイザー
 「混ぜるとどうも良くないので、最終的には揃った音を聴いて頂きたいのです」。

 「ですから、更にひとつづつ、コンバーター、パワーアンプと順番にBIG JAZZを増やしていって聴いてみて下さい」。

寺島
 「チョッと待って、それなら今デジタルケーブルの接触が悪く、綱渡りの状態だからパワーアンプから先にやって頂戴」。

「音が真ん中に塊となって飛んでこなくちゃ〜!」その為には前1点、後ろ2点の3点支持で決定。

カイザー
 「ハイ、分りました」。

 ”ラックの上に乗り、パワーアンプの下にインシュレーターを入れ替えるのに神経を使います”。

狭い所に手を伸ばし、やっとの思いで交換したPB-BIG JAZZ。

寺島
 「気をつけてよ!、気をつけてよ!」、

 「そのツイーターのケーブルが動くと拙いからねぇ〜」。

 「如何ですか?」

 「ヤッパリ!同じ傾向だねぇ」。

カイザー
 「分りました、コンバータ-に入れると、これで全てBIG JAZZの揃った音になります」。

 「僕がやるより、ここは寺島さんがやった方がいいでしょう?」といって、代わってもらいました。

 「するとどうでしょう?」、

 「デジタルの同軸ケーブルの先端が折れて、完全に外れるではありませんか・・・」。

 ”全く考えられないことですが、面倒くさいとおっしゃる”。”こういう事が気にならないこと自体が私には信じられません”。

 ”ご自分で何とか念力でつなげると、

寺島
 「これは奇跡だ!」、「音が一発で出た!」。

カイザー
 ”なんと!当のご本人自身が一番驚いているのですから、呆れてしまいました”。

寺島
 「いいじゃない!、いいじゃない!」。

 「低い音が出たねぇ!、切れもいいし、いうことナシだよ!」。

 「カイザーさん!これはどうして?」。

 「不思議なことがあるもんだねぇ・・・」。

 「これならいいよ!」。

 「これはいい!」。

やけに神妙な顔の寺島さん

カイザー
 「やっと!、気に入っていただけましたか!」

 「よかった!、よかった!」。

 「この度は長期戦ですから、ジックリ聴いて下さい」。

 「2ヵ月後にオーディオワールドで東京へ来ますから、その時にまた寄りますので」、

 「今日のところは時間もありますでしょうから、失礼致します」。

寺島
 「それじゃ!また!」。

カイザー
 ”やれ!やれ!、やっと理解してもらえた”。

 ”ひとまず、安堵しました”。


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