トップ考え方オーディオ業界が方向性を誤った最大の理由

オーディオ業界が方向性を誤った最大の理由



人間の本質を無視してはいけません

 周波数レンジの拡張と情報量アップこそが、オーディオの高性能化であり、オーディオファイルのハートを掴む事に繋がると読んだのが、オーディオ業界が舵切りを誤った最大の原因です。

 人間の耳は日常生活においてそんな音を必要としていないので、その方面に向っての進化もしていませんし、聞き馴染んでいないから耐性すらも出来ていません。

 これは豊富なオーディオクリニックとセッティングを通して得た、お客様の反応や動向等から至り着いた私なりの結論であります。


フラットな周波数特性を求めるほど音は死にます

 それよりも必要とされ優先されるべきは重要な帯域、すなわち人が声として発生出来る部分が先ずバランスされていなければなりません。順序としては常に中音である声帯域(音楽の魂)を起点にした上での低い音であり、高い音を作って行くべきです。

 端的な例としてワイドレンジかつフラットに作られた補聴器を例に挙げてみます。少し感度を上げただけで、エアコン、照明器具、パソコン等の周波数ノイズを拾うので、人の声が聞き取り難く頭は痛くなりやがて付けていられなくなります。

 測定上のフラットを求めれば求めるほど、生命力の無い音になります。くどいようですが、口を酸っぱくして更に声を大にして申し上げたいのです。


オーディオの基本はフルレンジスピーカーにあります

 低音とは一番大事な音から低い方に外れた音であり、高音は一番重要な音から高い方に外れた音であると認識し直してスタートした方が絶対上手く行きます。

 何事にも通じる事ですが、基本をシッカリ身に付けなければなりません。その為には技術開発者はもっともっとフルレンジのスピーカーで耳を鍛える必要があると同時に、両端ではなく、意識を常に真ん中に向けるべきです。


音楽を音楽たらしめんとする魂に訴える音とは?

 音楽のファンダメンタル部分よりも、うんと低い音や異常な高音に気持ちを奪われると、他の帯域に比べて人の耳が何倍も高感度に出来ている2〜6kHzの部分に向く意識が殺がれてしまうのです。

 ですから、人の意識は目的を外れたところの部分に向き、肝心要の音楽のセンサーが「Out Of Work」状態になるのです。人間の耳は特にこの部分が他の帯域に比べて何倍も感度が高く出来ています。その点でも声帯域をカバーする中音のミスは絶対に許されないのです。

 ナローレンジであっても、ワイドレンジであっても、周波数レンジに関係なく、”音楽を音楽たらしめる魂”のど真ん中にストライクを投げ込む事です。それが出来た時には倍音が下に上に伸びるので、自然で本物のワイドレンジが出来ているものなのです。


命と直結する我が本能に照らし合わせれば答えは自ずと出ます

 ミュージシャンや音楽家が高価なワイドレンジ型のオーディオを買わないのが何よりの証明です。彼らは音ではなく本能的に音楽を聴きますから、価値観の優先順位が全くもって違うのです。

 話しは飛びますが、最近の車についても同じような事が言えます。コンピューター設計のウエートが高くなればなるほど個性は失われ、運転する楽しみよりも強制的に運転させられているような気持ちにさせられてしまいます。それはとてもストレスですが、何よりも走行中にコンピューターがバグった時は命の危険すら感じます。

 もう一つ加えれば、食についても同じです。生命力を失った胚芽を捨てた白米や農薬漬けの野菜、はたまた質の悪い動物性油で出来た料理等を食べていたのでは成人病を誘発し命まで落としかねません。


戻る