トップ考え方真実が根底に無いと物は売れない

真実が根底に無いと物は売れない



オーディオ機器の売れない理由

 オーディオワールドで久し振りに業界の多くの方達と顔を合わす事が出来、最近の動向についての話しを伺ったり、色々な意見交流が出来ました。その中でも、決まってどなたの口からも異口同音にオーディオ機器が売れないというのです。相当深刻な状態 みたいです。これには単なる不景気だけが原因ではありません。長年かかってやってきた護送船団方式に一番の原因があると私は見ています。「メーカー、評論家、マスコ ミ、販売店」の4者全てが売り手サイドの勝手=どうしたら売れるか、どうしたら儲かるか、という考え方で市場を支配してきた事への消費者の反発が主たる原因だと思い ます。


人の為になる物作り

 自分が身銭を切ってでも欲しい商品か?。これが物作りのなかに生かされていなければ、消費者から認められるはずはありません。野菜作りに於いて、形の悪い茄子や胡瓜が売れないからといって、見栄え優先の、きれいな形の、農薬を使った野菜ばかりが棚には並ぶ。作った農家の本人は怖くてそれは食べないという。売れないから作らないのではなく、売れても作ってはならない事もあると思います。


言葉による情報と、出来上がった製品との整合性

 物の本質や真実としての情報を発信し続け、正しい方向に消費者を啓蒙しつづける勇気を持った者だけが、これからの時代は支持されるのではないでしょうか。私たちのオーディオ業界に於いても、自分の考え方をはっきりとした形で言葉に表し、強いリーダーシップと信念で商品開発をしている所は、確実に消費者の支持を伸ばしています。このようにして攻守交替が起ころうとしています。


スペックだけで訴えようとしても限界がある

 今までは良いといわれるままに、薦められるままに、けなげに信じて買い物をし、高額商品へとグレードアップをしてきました。鳴らないと見るやバイアンプにしましょう。それでも上手く鳴らないとなると、今度は人間の可聴帯域以上の周波数が再現出来なければ駄目だといって、やれ次世代CDだDADだの、またそれを再現する為のスーパーウーハーやスーパーツイーターを勧める。

 その音のどの部分に上手く鳴らない原因があるのか、なぜ良い音に感じないのか?そこの徹底した突き詰めと検証をしないで、目に見える形=スペック面で導いていこうする。どうやら売れない原因はこんな所にもあるようです。


人間の耳と脳の関係

 人間というものは、何も高い音から低い音まで幅広く聞こえる事が、音や音楽に対してリアルに感じたり感動を覚えたりするものではありません。むしろ広くなる事によって、真中が薄く感じるようになり、かえってそれが判りにくくなるのです。人間の耳は人間の声、すなわち人が何を考えているのか?その感情を聞き分ける為にあるのです。

 もっと積極的に私の考えを述べますと、生命の危険を感じた時に発する悲鳴、また赤ちゃんの鳴き声、これらの音域が音として一番遠くへ届きます。すなわち人間は生きて行く為にこの音域を基軸に声を発生したり、聞き耳を発達させてきたのです。


何の為に人間の耳は付いているのか?

 そうである以上、スピーカーもそうあることが自然と思います。あらゆる動物に対しては、武器を持ってすれば打ち負かす事が出来るので、今ではさほど怖い存在ではないのですが、人間は最初から、だまそうという考えを持って近寄ってくる事もあるので、それを見抜く事が一番難しいとされています。すなわち人間にとって、悲しいかな人間が一番怖い存在でもあるのです。その為に人間の耳はあるといっても言い過ぎはないと思います。


生命感にあふれた音

 ここで私が何を言いたいのか?それは、「エネルギー軸」と「時間軸」に対してリアルな音が、人間にとってその心の奧の感情まで感じ取るのに、何をおいても一番重要な要素なのです。それを一言でいうと、すなわち生命感に溢れた音という事になります。 この生命感に溢れた音が先ず最初にありきなのです。そうでない音は、いくらワイドレンジであっても私には何の魅力も感じません。ワイドレンジはそれが出来た後の問題です。


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