トップ考え方カーオーディオ業界に参入してみて気づいた事

カーオーディオ業界に参入してみて気づいた事



 カーオーディオの場合はショップが腕の良いシェフで、メーカーが美味しい素材の提供者のような感じがしてなりません。顧客にとっては、どのメーカーの商品が音が良いかというよりも、むしろどのショップでインストールして欲しいかの方が上回るようです。センスのある提案型のショップには顧客をグイグイと引っ張って行くエネルギーを感じます。それはショップの持っているノウハウやスキルが簡単に素人の真似出来るものではないことを意味しております。
 
 数多くの設備機械や道具も必要ですが、とにかくプロの腕をまざまざと見せつけているのです。大手のメーカーでさえ、自社のデモカーもショップにインストールを頼んでいるのが実情です。たまにしかないその為に、人材と設備を保有するほどのメリットもなく、それならば、必要な時に外注に出した方が得策というのが本音なのかもしれません。

 いずれにしても、ショップの持つ技術や感性面の影響力が大きいのです。

 
 当然専門誌の取り上げ方もショップがどんな作品を作るかにスポットを当てるようになります。ホームオーディオとの決定的な違いはここです。ホームオーディオの場合製品による音の違いに重点が置かれ、紙面作りにショップを大きく取り上げるなんて事はありません。まして、セッティングによる腕や音の差についてはほとんど評価されません。評価しないというよりも、むしろ公平な形での評価方法がいまだに見つけられないでいるのが大きな理由なのでしょう。

 ホームオーディオにおいては、顧客から重要視されているのは安さと品揃えであり、一部の方を除いて、お店にセッティングを期待している様子は見受けられません。特に都心部ではそのような感じを持ちます。

 これらの事が満足感に到達しない原因の一つでもあります。腕による差が大きく出ないのなら「自分でやろう!」、あるいは、「配達は運送屋任せ」になるのです。下手なプロの歌手よりカラオケで自信を付けた素人の方が歌が上手い場合があるのが良い例です。明らかなる腕の違いを見せつけられるセッティングのプロが存在し難いのがホームオーディオにおける問題点です。

 顧客から有り難味を感じて貰えなくなったらもうプロとは呼べません。



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