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「加速度組み立て」の詳細とその理論

第1章 オーディオの常識の裏側に着目

地球上にはさまざまな生き物や物質が存在します。その中の一つに我々人間がいます。その60億の人間の各項目毎に、序列が厳然と存在する事は誰も否定出来ません。それを計測出来る出来ない、あるいは分かる分からないは別にして・・・。

年齢の順番
  背の高い順番
  体重の重たい順番
  速く走れる順番
  息を長く止めていられる順番
  記憶力の良い順番・・・

こうしたミクロレベルの内容に於いて、序列等を含み無限の組み合わせや妙によってさまざまな現象が起こります。カイザーサウンドではオーディオという分野において、何がどうなると音楽的に素晴らしい音になるのか?、感動するものなのか?を絶え間なく研究し追求しています。

今回取り上げた「加速度組み立て」という考え方は、世界最高レベルの音を達成せんとして生み出された、カイザーサウンドが誇るユニークでオリジナリティーに富んだ技術であります。

それは西洋にはない東洋独特のもので、全ては自然との調和と共生から成り立っているという考え方に基づいています。長年掛かって磨き上げた感性を要す職人技であると同時に匠の技でもあり、人の経験や能力に頼らなくて済む、システム化した現代の物作りとは一線を画します。

そのアプローチは独特で、「灯台元暗しな部分はないか?」、「見落としている事はないか?」、といった風に未踏の地に一歩を記す事を命題にしています。従いまして、今ある世の常識からすると理解し難い言葉や内容になるのは止むを得ないと思っています。特に「加速度組み立て」などはその最たるものだと思います。

第2章 何事にもレベルの違い、ランクの違いがある

作り手や売り手としての立場で考えると、物を販売する上において「同じ型式の物は同じです」と口を開けた方がやり易いのは分かりきった事です。また混乱を招き難いというのも理由に挙げられるでしょうが、上記のような真理や科学といった見地から考えるとそれは誤りと言う他ありません。

例えば、何かを買おうとしたお客さんに対して販売員が、「それぞれ個体差があって音が違います」と馬鹿正直に言ってしまったら、買う側は不安を感じて売れるものも売れなくなってしまうでしょう。

カイザーサウンドは理念追求型です

でも最高の物を作ろうとすればするほど、その問題に真っ向から向き合わざるを得ません。何事も上には上があり、その磨かれた技術や才能に対して、感性豊かな人達は素直に感動し賞賛する事も忘れません。また、そんな素敵な瞬間に出会うと、人はお互いに生きる喜びや希望を感じ明日への英気に変えて行けるのです。

価値に対して応分の対価を払える人もいるでしょう
  価値は人一倍分かっても無い袖は振れない人もいるでしょう
  また、金持ちであっても豚に真珠の人もいるでしょう

第3章 加速度組み立ての詳細とその理論

ネジのトルク調整

2ウェイのスピーカーを例に加速度組み立ての説明をしてみましょう。ウーハーとツイーターはネットワークで3kHz近辺で繋がれています。人の声でも楽器でも大概の場合両者のユニットにまたがって音が出ています。

ウーハーを取り付けているツイーターに近い上側のネジが、下側の物より強いトルクで締め付けられていると、振動は硬い方から軟らかい方へと向かう習性を持っているので、ウーハーのバッフルを伝わる振動(エネルギー)は下向きに流れるようになりツイーターとのハーモナイゼーションが生まれません。

こうなると本来一つであるはずの個人の声が、全く別の音となって各々のユニットから聞こえて来ます。これはツイーターとウーハーがお互いに反対の方向へ向かって走っている状況になるからです。これが”最悪”のパターンです。

”可”の状態と言えるのは、各ネジがほぼ均一に締め付けられた物です。ウーハーの下部のネジからツイーターの上方に向かって抑揚をもって振動(音)が流れるようになるのが”良”です。

指揮者が振るタクトと共通

更に高度な技術は、その逆方向の流れと無限大に∞字を描く感じで振動が行き来出来るようになるのが”優”ですが、これはピアノの調律師が必死になって訓練してやっと出来るレベルです。

指揮者がリハーサル時に指揮棒を振っていて、外れた音を出されると今までスムーズに振られていたタクトの手が止まります。その感覚と全く同じなんです。スピーカーに向かって色々な音楽を聴いていると、タクトが流れる時と止まる時があり、その都度トルク調整をして行くと徐々にタクトの流れが良くなるのです。

この”優”の状態以上を私は「加速度組み立て」と呼んでいます。

ネジその物の違いを見極め適材適所に配置換え

更に高度な技術が、ネジの個体差を見極め適材適所に配置換えする方法です。ここらあたりになると、どうして出来るのかと問われても説明のしようがありません。かえるに向かって「何故そんなに泳ぎが上手いの?」と尋ねるようなものです。

警察犬のように匂いに対して敏感で正解率の高い犬から、まるっきり駄目な犬まで様々です。そのような鋭い感覚を私の場合生まれながらに持っていたのかもしれませんが、音に対して人の何倍も努力したのも事実です。出来なかった事も徐々に出来るようになり、またその数も内容も知らぬ間に上がって行ったのです。

方向性が生じる原因

地球上で物を作る限りは地磁気(重力)の影響は避けて通れません。スピーカーの後ろに付いているマグネットは棒状の鉄を輪切りにした物が殆どです。真っ赤に焼けた鉄から鉄棒を作る段階で比重の高い順に重力に引っ張られ、下から順に冷え固まって行きます。従って大根のおでんの様に輪切りにした面で見ると重心は円の中心より少し下に位置します。

見た目には円形ですから円の中心から同心円状、あるいは放射線状に均一に広がるイメージを持つのですが、実はそうではなく分子レベルで見ると土砂が堆積したかのように水平な並びになります。早く冷え固まった下の部分から最後に固まる上の方へと誕生した順(戸籍簿順)に振動及び熱の伝わる方向性がこの時点で形成されます。

そのスピーカーの音が不揃いな理由

着磁の工程を経てマグネットになるのですが、この偏芯がスピーカーのコーン紙にいたずらをして、エネルギーの流れる方向が強くなったり弱くなったりする原因を作るのです。その誤差は私の聴感上で約3%になります。これが侮れない差なんです。「左と右のスピーカーの音の強さの差がどうしても解消しないんです」とクリニックの相談を受ける8割〜9割はマグネットの偏芯(方向性)が引き起こしているのです。

この不均一も使い方次第では素晴らしい効果を発揮します。ウーハーユニットとツイーターユニットのエネルギーの方向性を時計の12時の方向に合わせてやると低い音階から高い音階へとスムーズに繋がって行くのです。このように左右のスピーカーを揃えてやると、たちどころに音の強さの違いが解消されます。この項目まで行ったものが「加速度組み立ての最終形」です。

結論

オーディオシステムを「皆既日食」状態にするというのが、イメージとして一番近い感じです。

うう・・〜ん、もうちょっと、そこ、そこ、今のところ!
  あぁぁ、行き過ぎた!、ちょっと戻して
  そう、そう、そこ!、あお正にそこ!

こんな感じです。