上海のオーディオショウは素晴らしかった
第20回上海国際高級Hi-Fi演示会が、PULLMAN酒店という高級ホテルの、2F,3F,8F,9F,10F,11F,47Fの7フロアーの規模で、4月13(金)14(土)15(日)に間催されました。入場料は50元、日本円に換算して約700円です。ラスベガスで年始に開かれるCESのオーディオ会場ベネチアンホテルに匹敵する充実した内容です。
25〜40平米程の広さの個室は遮音性に優れているので、本格的な音を訴求するピュアオーディオにとっては素晴らしい環境です。13日の午前と14日の午後を利用して全部屋を回りました。日本ではこのようなスタイルがどうして出来ないのか不思議でなりません。
圧倒的な音を出していたブース
一番印象に残ったのは9Fの17号室の上海博遠音響制造有限公司の音でした。ソナスファベール社のミニマに似た(AV-181)という小型2wayのスピーカーを、EL34Bプッシュプル(BY-8000C)でドライブしていました。
男性歌手(バリトン)の声が素晴らしくその場に釘付けとなりました。声量、音色、音楽の抑揚等、何をとっても素晴らしく、とにかく完璧なステレオ再生でした。私がセッティングする音と瓜二つの音に我が耳を疑いました。
瓜二つどころか、一部には私の創り出す音よりも上回っている部分がありました。チェロの音域あたりの野太い男性的なサウンドです。私の音楽脳をフル回転させてセッティングデーターを取ると、誤差は1ミリ弱でほぼ完璧でした。
オーディオの達人と遭遇
ネットワークの入ったこのサイズのスピーカーからは、絶対に出る筈の無い音が目の前で出ている訳ですから、その謎を解かなければなりません。同行の作家であるJ.T氏に頼んで英語でコミュニケーションを取ろうとしますが、社長の魯さんは全く英語が喋れません。
筆談を交えながら、「このセッティングは誰がしたのですか?」 と尋ねたところ、自信に満ち溢れた顔で自分を指差し頷いているので、どうもそうらしい。鍛え抜かれた武芸者のようなその顔が、紛れもない実力者である事を物語っています。
しかし、どういう立場であれ、このようなセッティングが出来ている場面には、過去の如何なるオーディオショウであろうとも、私のセッティングを除いて只の一度も出会った事がなかったからです。
指揮者・社長・教授の一人三役
もどかしい時間が過ぎようとしている時に、主催者側の通訳と思しき女性がやって来ました。彼はオーケストラの指揮者だという話を聞かされて、私の謎がやっと解けたのでした。完璧な調和は指揮者の耳が引き出したのです。エレクトロニクス技術に優れいるだけでは決して出せる音ではありません。
更に彼が凄いのは電気工学の大学教授であり、音響メーカーの社長でもある一人三役のスーパーマンなのでした。とにかく一番重要なのは音楽を深く理解する芸術的な耳と脳です。
電源にまつわる諸問題を研究中
9Fの17号室だけではなく、どの部屋も総じて音にエネルギーがある点が最後に残った私の疑問点でした。このところ当社では水面下で、電流磁場と各種ノイズの関係等、電源にまつわる諸問題を深く深く掘り下げて研究しております。
それらのデーターから推測すると220Vという高い電圧が有利に働いているとしか思えません。流す電流が半分で済みますから、ケーブルの出来不出来に関しても寛容だと言えるでしょう。もう一つは電源の汚染度合いが日本ほど進んでいないのではないかとも思います。この二つの問題も手伝って良い音が出ていたのではないでしょうか。
今研究中の生きた電源環境を復活させる!
これを最大のテーマに研究しております!
更に高い目標が出来た事は幸せな事です!