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「小沢る」「菅る」「野田る」…どんな意味?

2011.12.14 MSN

政治への関心が薄いとされる今どきの若者だが、政治家を見る目は案外正確で本質を射貫(いぬ)いているようだ。大修館書店が中学・高校生から募集した「国語辞典に載せたい言葉」(応募総数8万4090語)から民主党政権に関する新語を拾うと、あふれるユーモアの中に適量のスパイスがぴりりと効いている。

例えば、小沢一郎民主党元代表を語源とする【小沢(おざわ)る】の意味は(1)裏で牛耳る(2)子分をたくさんもつ(3)子分を見捨てて雲隠れする−とある。都合が悪くなると側近や時の首相からの電話にも出なくなり、行方をくらます小沢氏の性癖をよく見ているものだと感心する。

また、鳩山由紀夫元首相からとった【鳩(はと)る】はとみると(1)無責任なことを言う(2)話すたびに内容が変わる(3)悪いと思わずにウソをつく−だそうだ。

鳩山氏は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、「最低でも県外」と無責任な発言をし、迷走の果てに元の名護市辺野古移設案へと戻り、最近になって再び「辺野古以外」と言い出して全く悪びれない。中高生にとって、こんな大人にはなりたくない反面教師役を務めているのではないか。

さらに、菅直人前首相に由来する【菅(かん)る】はというと(1)いつまでも同じ地位に居座ろうとする(2)何もせずにダラダラしている(3)無意味に粘る−とある。これも無為徒食で延命を自己目的化し、見るべき成果のほとんどなかった菅政権の約1年2カ月のありようをよく喝破している。

大修館書店によると、応募作品には特に菅氏に対してもっと辛辣(しんらつ)なものもあった。その中で「平均的なものを紹介した」という。確かに、【菅る】については(4)ペテンを恬(てん)として恥じない(5)思いつきで大風呂敷を広げてほったらかす−などの語釈もあっていい。

記者も中高生を見習い、仙谷由人政調会長代行をモデルに【仙谷(せんごく)る】(言わずもがなの暴言で相手を挑発する。法律用語を駆使しシロをクロといいくるめる)や、前原誠司政調会長から連想した【前原(まえはら)る】(口先で威勢よく言うだけ)などを考えてみた。政治の惨状にはもう笑うしかない。

もっとも、中高生の作品は応募期間が今年5月上旬〜9月下旬だったため、現状とはそぐわなくなったものもある。その代表が野田佳彦首相をもとにする【野田(のだ)る】だろう。

その意味は(1)泥臭く頑張る(2)上手にスピーチする−とある。だが、政権発足から100日余がたった現在、国民は首相にもっと厳しい視線を向けている。

首相は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など重要政策について、積極的に発信して自ら国民に説明することは避け続けた。民主党の選挙公約だった公務員給与引き下げも国会議員定数の削減も実施せず、経済成長戦略もあいまいなまま。それでいて消費税率アップなど国民に負担を強いることばかりに熱心だ。

「党内融和が第一」とばかりに起用した小沢氏に近い一川保夫防衛相と山岡賢次国家公安委員長は参院で問責決議を受けた。それでも首相は適材適所と強弁を繰り返す。当然、内閣支持率も急落している。来年の「国語辞典に載せたい言葉」では【野田る】はどんな意味となるだろうか。

「目先だけごまかして状況が一向によくならないこと」「官僚に取り込まれてしまうこと」「よく通る声で中身のないスピーチをすること」…。記者のブログには、【野田る】の新解釈について早くもこんな声が寄せられている。

辞を低くしてやり過ごそうとしても、国民の目は欺けない。(阿比留瑠比)

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