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日本の大陸棚、沖ノ鳥島が基点 国連大陸棚委が勧告要旨公表

2012.6.7 18:43 [領土・領有権] MSN

国連の大陸棚限界委員会は7日までに、日本の大陸棚延長申請に対する勧告の要旨をホームページ上で公表した。沖ノ鳥島(東京都)を日本の新たな大陸棚の基点として認めている。外務省は4月、勧告により「沖ノ鳥島を基点に大陸棚延長が認められた」としたが、中国は勧告全文が非公開なため「日本の主張は何の根拠もない」と反発していた。

政府は勧告要旨が「大陸棚委員会の認定を対外的にも裏付けるもの」(外務省筋)として、「沖ノ鳥島は島ではなく岩にすぎない」との中国側の主張を退けたい考えだ。ただ、中国側は日本の権益拡大により沖ノ鳥島海域での海軍活動が制約されることを警戒しており、勧告要旨は「沖ノ鳥島を想定していない」などと反論する可能性もある。

勧告要旨は太平洋4海域の計約31万平方キロメートルを日本の新たな大陸棚として認定。大陸棚の基点の一つとして「九州・パラオ海嶺上の日本領土」と明記した。この海域に属する領土は沖ノ鳥島以外にない。外務省は「この領土は沖ノ鳥島であり、日本の申請通り大陸棚の基点に認められた」との見解をまとめた。

要旨は英文で、添付資料など計200ページ近くに上る。勧告全文は原則公開しないが、要旨は大陸棚委員会の規定に基づいて公表しなければならない。


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中国は沖ノ鳥島周辺で資源採掘を開始する
2012.4.21 12:00 [笠原健の信州読解]

東京都の石原慎太郎知事が明らかにした、尖閣諸島の購入計画に胸がすく思いを覚えた人は多かったはずだ。強奪すると腹を固めた中国の強圧と政府の無策の前に、尖閣諸島がわが国固有の領土だという紛れもない事実は淡雪のように消えてしまいかねないような状況になっていた。政府は、国が購入することもあり得るとの考えを示し始めたが、「今更、何を言うか!!」といったところであろう。

石原知事が構想を明らかにした直後の政府の狼狽ぶりは目を覆うばかりだったと言っていい。寝耳に水とはまさにこのことだろう。石原知事に外交の有り様を批判された玄葉光一郎外相は「何もやっていないということは全くない」と反論したが、尖閣諸島をめぐる政府のこれまでの対応を見てきた者にとってはむなしく響くだけだ。かつて外務省を取材していたときに「日本の外務省は中国外務省の日本出張所でしかない」と誰かが言っていたことを思い出してしまった。

野田佳彦首相は18日の衆院予算委員会で国による尖閣諸島の買い取りに含みを持たせる発言をしたが、政府の本音は国有化によって、わが国による尖閣諸島の統治強化を図るというよりも石原知事の構想に何とかして横やりを入れることができないか、というところなのではないか。

石原知事による東京都による買い取りと、政府がほのめかしている国による購入は「公有化」では同じだが、月とスッポンほどの違いがあると思う。石原知事の構想によって船舶接岸用の岸壁整備、ヘリポート設置、研究施設の建設、自衛隊の常駐などの計画が広がってくるが、政府のそれは「とにかく事は荒立てたくない」という一点につきるだろう。

政府はあらかじめ認める場合を除いて尖閣諸島への上陸は認めていないが、国有化したとしても政府はこの方針を変えないのではないか。国有化によって政府がこれまでの弱腰を突如、返上して尖閣諸島の統治強化を図る施策を次々と打ち出すと思っている人がいたら、失礼だがその人はかなりのお人よしだ。政府は一切、そのようなことをせずに、「大局的見地に立って冷静に対処すべきだ」との念仏を唱えるだけで、具体的な施策は何一つ実行せず、ひたすら現状維持を図ろうとするだけだろう。これこそ、あらゆる手段で尖閣諸島をわが物にしようしている中国の思う壺だ。

海洋覇権を目指す中国の圧力は強まりこそすれ、弱まることは絶対にない。この点についていささかも幻想を抱くべきではない。その中国の標的の一つになっているのが西太平洋の沖ノ鳥島だ。

東京から南へ約1700キロメートルの西太平洋上にあり、米国オアフ島のホノルルとほぼ同じ緯度にある日本最南端の沖ノ鳥島の周辺には天然ガスを含むメタンハイドレードや希少なレアアースなどを含む高品位のコバルトリッチクラストが大量に存在していることが期待されている。

政府は沖ノ鳥島を基点に排他的経済水域(EEZ)を設定している。EEZは、沿岸国が石油や天然ガスといった天然資源の探査や開発、漁業など経済活動に対して主権的権利を持つ水域で、沖ノ鳥島を基点としたEEZは約40万平方キロメートルに及ぶ。この広さをすぐに実感できないかもしれないが、わが国の国土面積が約38万平方キロメートルだということを考えると沖ノ鳥島の重要性が理解できるだろう。ところが、中国は2004年から沖ノ鳥島をEEZが設定できない「岩」だと主張し始めた。

それどころか、中国は沖ノ鳥島周辺のEEZ内で調査活動を続ける一方、2009年には中国艦艇が沖ノ鳥島の北東海域に出現して訓練を実施。中国艦艇は2010年3月、そして同年4月にも沖ノ鳥島の西方海域に現れ、軍事訓練、対艦演習を実施した。

沖ノ鳥島は、中国が米海軍の接近を阻止するために設定している第1列島線と第2列島線の間にあり、沖縄県那覇市からは約1100キロメートル、米領グアム島からは約1200キロメートルとほぼ中間に位置し、西太平洋の戦略的な地点にある。中国の調査活動は単なる海洋資源の探査ではなくて潜水艦の航行に必要な潮流や水温分析のデータ収集が目的だ。

中国はすでに十分なデータを集めたはずだ。沿岸諸国の抗議や非難を無視しての海洋調査の続行とそれに続く資源探査の強行、そして資源探査や施設保護を名目とした海軍艦艇の出動…。東シナ海のガス田開発の例を挙げるまでもない。中国が沖ノ鳥島の周辺海域で資源探査に乗り出しても何の不思議はない。

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