トップ情報最近のニュース最近のニュース2001>権力というものが正しく使われた例。

権力というものが正しく使われた例。


 ハンセン病訴訟・全面勝訴・・・『国の隔離政策、違憲』。

 判決を下した人の名は、熊本地裁の杉山正志裁判長です。これほど勇気ある人は滅多にいないでしょう。その時私は、とっさにその人の名前に目がいっていました。”正しい志”なるほど、恐らくこの方は片時も自分の名前の尊厳を忘れた事の無い強い信念の持ち主なのでしょう。私にはこの方の心の中が透けて見える気がします。立派な方であると同時に、三権分立が機能した見事な例です。権力というものはこういう人に与えられるべきであり、またこうした形で果たされるべきものだと思います。

 その内容を見ると、全く明快な判決で、90年にも及ぶ国の政策が患者の人権を著しく侵害し、差別や偏見を助長したとしている。「法律の規定ですから」といって、何もしないままの『行政』のみならず、『立法府』の国会に対しても、明らかに間違っている法律をそのままにしておいた、と厳しく叱責した。結果として法律そのものが、差別や偏見を助長してきた事になるわけです。家族と切り離され、親族に迷惑がかからないようにと、自分の名前も語れない人生を余儀なくされたことを考えるにつけ、当事者でないと他人の痛みに気がつかない、無知さや、また自分の事で精一杯の、何ともいえない無力感を感じます。私も自分の置かれている立場というものをよく自覚し、社会の迷惑にならないように、また少しずつでも何らかの形で役に立てるよう生きていきたいと思います。


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