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胴体力


 ジョーダン、ウッズ、玉三郎の「胴体力」/(スーパーボディーを読む)という本を、当社のお客(S)さんから頂き大変楽しく読む事が出来ました。日頃から商品開発の際にはエネルギー=運動力学的な事を基本に考えながら研究しておりますので、大変参考になり勉強になりました。また私のもの作りと相通じる事が多く、更なる確信を深める事にもなりました。聞き慣れない「胴体力」という言葉に先ず引き付けられるのですが、基本的に胴体の動きには「丸める/反る」、「伸ばす/縮める」、「捻り」の三つしかないということから始まります。


 胴体の動きは手や足に比べて見えにくいのが難点だが、「全ての身体表現の源は胴体にある」と説いています。特に胴体から出る力はしなやかで強い。何百段もある階段を歩いて上るのに、女性でも「内部の筋肉」をうまく使える胴体の動きの良い人は、ウェートトレーニングで鍛えてあっても、「表面的な筋肉」しか使えない動きの硬い人と比べれば、息切れしないで楽に登れるという。

 また水に恵まれない地域に住む人達が頭に水瓶を乗せて何キロも平気で歩く事が出来るのは、無意識のうちに胴体の力を上手く使っているからこそであり、いくら筋肉隆々の首の太い男であっても重い水瓶を乗せて歩くのは容易な事ではない。この様にいわれると”なるほど”と納得出来ます。  


 滞空時間の長いジャンプで有名なマイケル・ジョーダンの魅力は「丸める/反る」の胴体力が成せる技。無駄の無い動きの出来るサッカーのロナウドについては、脱力状態から最高の飛び出しが出来るからだれもついて行けない、その彼は「伸ばす/縮める」が優れている。また重心移動をスムーズにする走りのマイケル・ジョンソンも同じく「伸ばす/縮める」が上手い。「捻り」が強いパワーを生み出す格闘家のフランシスコ・フィリオ等々。キラ星のようなその道のスーパースターたちを挙げた上で、著者の伊藤昇氏は玉三郎の動きに勝る者はいないと言い切る。


 正しい立ち方=「股関節で地面をとらえる」という感覚、それが出来ているのはゴルフのタイガーウッズ、彼は子供の頃から父親に「体重が両足に自然に乗る正しい立ち方」を細かく指導された。隙のない立ち姿=(重さと軽さ、強さと柔らかさを併せ持つ)、その代表格の相撲の双葉山は,力みが消えあらゆる動作に移れるニュートラルポジションにあるという。また剣豪を思わせるようなイチローの立ち方は、「全ての力が中心軸に集まっている」。


 そのイチローのフォームは毎年少しずつ進化している。彼が打席に入る前に強振するのを見た事がない、あくまで柔らかくスムーズにどんな球にもついて行けるようにという気持ちがうかがい知れる。この最近は地面すれすれにまるでゴルフのスイングをしているようです。この事から彼は、「野球のスイングもゴルフのスイングも突き詰めれば同じなんだ」という心境に達しているのだろう。

 如何にイメージトレーニングとはいえ、あんなスイングは野球選手では見た事がありません。とにかく武士道を極めるように自分を厳しく見つめ、内から出て来るイメージを大切にしているのでしょう。そして私の直感ですが、その姿から将来イチローは現役を引退した後、2年以内でプロゴルファーとしてデビューするのではないかと思っています。


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