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価値ある音の変化にローゼンクランツの心を見る


● ネジ1本まで方向性管理

 今井明

 A&Vビレッジ 52号

 独自の理論と構造でさまざまな製品を送り出しているカイザーサウンドから新作のインシュレーターが出た。例により上下・垂直方向のエネルギーの方向を揃え、形状により定在波の発生を抑えるという説明がなされている。信じられない人には「そんな事があるものか」と一蹴されそうな理論だが確かに置く向きによって音が変わるのだ、これだけは実際に聴いてみる他はない。かくいう自分も聴くまでは信じていなかったのだから。

 さらに今回のインシュレーター、PB-FRIENDの特徴はネジ止め式となった事である、つまり機器の足を直接交換するタイプなのだ。インシュレーターの真中に穴が貫通していて、ネジは3ミリか4ミリか選べるという事だ。この付属のネジが方向性管理済みというのだからすごい。今回は他のネジとの比較はしなかったが、ここでも音が変わるのは間違いないだろう。

PB-FRIEND 5,000円(1個)方向管理済みネジ付き

 そしてネジ止め式になったことの最大のメリットは方向性の管理が楽になった事である。どういう事かというと、従来の同社のインシュレーターはAマーク(方向性の指示)を機械の後ろ側に合わせる事を推奨されているのだが掃除などで機械をちょっと動かしただけで向きが変わってしまい、戻すのが一苦労だったのだ。

 それが今度の製品は一旦取り付ける際に方向を合わせてしまえばずれる心配はない。素材は強度と加工性に優れるシリコン入りの真鍮、エコブラスである。この素材は以前同社のPB-BABYというスパイク受けでも使われていたのを聴いたが、素直で暖かい雰囲気を持っていた。またメッキをしたように見える綺麗な表面だが、これはエコブラスの地金の色だそうである。真鍮のようにすぐに酸化してくすむ事もなく使い勝手の良いものだ。、

● 一聴して解るのは、うるさくなくS/Nのよい音量の増大

 さて今回のインシュレーターを試したのは、リビングに置いてあるデンオンの1650である。当時この価格帯でベストセラーと言われており、確かにそれなりにしっかりした音でありシリーズは現在まで受け継がれている。だがさすがにシャーシーにまではあまりコストがかけられないようで、付属しているのはただの樹脂成型の足であり普段はサクラ材の1センチ角のサイコロを足代わりにはさんでいた。木材の響きの良さから暖かく聴きやすい方向を狙ってのもので、別段不満はなかった。

 そこでとりあえずサイコロの代わりにPB-FRIENDをはさんで再度聴いてみる、ソフトはマーカス・ミラーのM2である。一聴してまず違うのが音量感、ボリュームなど一切いじっていないのに音が大きくきこえるのである。そしてそれがうるさくは感じられずむしろ心地よい。音が膨らむようなこともなくフォーカスも一段と決まってくる。金属でありながら音はどちらかというと柔らかさを持ちながらS/Nを良くしてくるような印象がある。BABYとも比較してみたが今回の方が音の厚みと安定感がこちらの方が良い。

 FRIENDでは大きすぎるという人の為に姉妹機であるPB-CHILDも発売された。これはFRIENDの高さと直径を2廻りほど小さくしたものだ。軽量小型なコンポではこれで十分だろう、音は同傾向である、特にジャンルを選ぶ事もない。どんな音楽でも音楽そのものを聴かせてくれる、とにかく付属の足などでは聴いていられなくなる。

PB-CHILD 3,000円(1個)方向管理済みネジ付き

 ネジ止めして聴いてみたが、ややカチッとしてくるかな、ぐらいで思ったよりその変化は少なかった。まあ取り外す必要もないのでネジ止めしてしまったほうが楽だろう。それにしてもこのバランスの良さは、もしかしたらローゼンクランツのより上級のインシュレーターよりも良いかもしれない。これを読んでも信じられない人は、自分で是非確かめてほしい。カイザーサウンドでは随時無料貸し出しを受け付けている、また同社のHPでも社長の音楽に対する熱い思いが語られている。この熱さは絶対に聴いてみる価値がある。


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