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ケーブル試聴における問題点


 本の発売1日前にオーディオアクセサリーからこういう電話がありました。ローゼンクランツさんのケーブルが今回試聴の結果良くなかったので、試聴レポートを載せないほうが良いだろうということで、「今回は載せませんでした」というのである。オーディオアクセサリー104号の重点アクセサリー研究=RCAオーディオケーブルスクランブルテスト28モデルでのこと。この話はオーディオアクセサリーの方から何か一つ提供して欲しいという打診のあったものです。

 今回の件には問題がいくつかあります。その一つはどんな試聴結果が出ようがその場で出た音を出来るだけ歪曲することなく公表するということ。これがなくなったら記事の信ぴょう性はなくなり自分で自分の首をしめることになります。ですから今回のことは私にとっては、いや、読者にとってもハッキリ言って有り難迷惑なことです。

 少なくとも出品者の顔色をうかがいながら仕事をするようでは評論家も出版社もその存在価値はないでしょう。中にはこんな記事を書かれたら「物が売れなくなるではないか」と、クレームをつけてくるメーカーがあるそうです。私もそういう人間と同じに思われたのでしょうかねえ!

 今回の件に関してはもう済んだことだから仕方ないけど、次回からは少なくともローゼンクランツ製品は試聴の結果が悪く出ようとも、アリのままを書いて下さるよう全評論家の方にお伝え願いたいと言いました。良いケーブルであっても、ある環境の中に入れたら他の問題点が露呈され、かえって良くない結果が出る事などしばしばあります。何も隠すことなどないのです。

 どんな方法で試聴(テスト)しようとも公平という事はありません。オーディオファイルも今までに幾度となく失敗を経験していますから、それらのことも含めてかなり「見る目」、「聞く耳」をもっています。「要らぬ心配などご無用!」、そして何より真実が報道されない限り、情報の対象源として相手にされなくなるでしょう。お互い保身に明け暮れるようになったらおしまいです。

 元々ケーブルの音決め、判断は半端ではなく難しいものです。先ず振動に対するベストのコンディションが構築出来ていずして、ケーブルの良し悪しの判断をするということ自体ハッキリ言ってナンセンスです。機器が体調悪くしている状態でのテストということになりますから、正しい判断は出来ません。

 今回試聴したのは、下図の様なシステムブロック図です。これを見て私が感じるイメージは、言葉の違う人間が苦手な英語で話して意思の疎通が図れないでいる状態・・・。このシステムで音は聴いた事はありませんので、あくまでイメージです。


  

 ケーブルにおける「音のカラクリ」


 団体スポーツの場合、意思統一のとれたフォーメーションプレーがどんな場面に遭遇しても、チームとしてシッカリ出来ていることが何より重要です。すなわち「リーダーとプレーヤー」、「プレーヤー同士」、「ファンとチーム」の心が一つになっていないといい結果は出ません。

 個人能力に優れた個性の強い者の集まりであるチームを、各々プレーヤーに任せて試合に挑んでも絶対に勝てません。「何故そうするんだろう?」、「どうしてこうしないんだろう?」・・・。このようにしてチームに亀裂が生じてきます。

 オーディオにおいては「各コンポがプレーヤーに相当」し、「フォーメーションプレー」がセッティング、特に「ケーブルプランニング」に相当します。ヒットを何本も打って塁上をにぎわすのですが、牽制球で殺されたり、ダブルプレーに倒れたり、サインを見落とし塁間で強殺されたり、といったちぐはぐなことが沢山出るようであれば、本来の能力も発揮できず残塁の山を築くだけでとても勝てません。

 特に打者走者が前の走者を追い越したらアウトになってしまいます。伝送速度の速いケーブル=(特にエネルギーの強いもの)が間に入った時にこういう症状が起こります。ケーブル内では目には見えないけどこのようなことが実際に起こっているのです。

 <ここで伝送系、ワイヤリング技術の私なりの答えを披露致します。>

 すなわち2人3脚、5人6脚とあれば、「一番足の遅い人に、速い人達が合わせてあげるしか方法はありません」。これがチームとして一番速く走る秘訣なのです。しかしながら、間違えてもらっては困るのですが、音楽を奏でるということが目的ですから、テンポを合わす事がそのキーワードになります。そして、それを実現するには音楽を音楽として感じ止めることの出来る感性も要求されることになります。すなわち、エレクトロニクス理論と技術だけでは成しえないという事です。

 勿論、理想のワイヤリングは全部が伝送速度の速い物で揃えることに越した事はありません。しかし、ここでもう一つ強く頭に入れて、気をつけなければならないこととして、「手を付けられる所」と「そうでない所」(機器の内部)がありますので、それらも含めて目標を立て、見極め、そして地道に計画どおりにやっていくしかありません。


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