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首相、消費増税を表明 来年4月8%に

2013/10/1 13:38 日本経済新聞

安倍晋三首相は1日午後、首相官邸で開いた政府・与党政策懇談会で、来年4月から消費税率を8%に引き上げると表明した。「国の信認を維持し、持続可能な社会保障を次の世代にしっかり引き渡していくため、消費税率を5%から8%に引き上げる判断をした」と述べた。同日夕の閣議で消費増税に備えた5兆円規模の経済対策を決定する。設備投資や賃上げを促す企業向け減税が柱で、消費増税に耐えうる経済環境を整える狙いだ。

消費税率の引き上げは1997年4月に3%から現行の5%に引き上げて以来、17年ぶりとなる。閣議後に記者会見を開き、正式発表する。

首相は懇談会で「経済対策パッケージの実行により、税率を上げたとしても影響を極力緩和できる。再び成長軌道に早期に回復可能だと考える」と語った。

首相はこれに先立つ午前の産業競争力会議で、経済対策に盛り込む成長戦略の当面の実行方針を決めた。引き続き開いた経済財政諮問会議は消費増税に関する意見を集約。来年4月に8%に上げる予定を変えれば市場が混乱し「政策対応が困難になるリスクがある」との懸念を表明した。

閣議決定する経済対策は「消費税率の引き上げによる反動減を緩和して景気の下振れリスクに対応する」と明記。「経済の成長力の底上げと好循環の実現を図り持続的な経済成長につなげるため、デフレ脱却と経済再生に向けた道筋を確かなものとする」と打ち出す。

景気の腰折れを防ぐための歳出項目としては、低所得者に現金を配る簡素な給付措置や住宅購入者向けの給付金のほか、2020年の東京五輪に向けた物流網などのインフラ整備への予算措置なども盛り込む。

首相は記者会見で、法人実効税率の引き下げに関して「今後速やかに検討を開始する」方針を表明する。15年度からの引き下げを想定している。復興特別法人税の1年前倒し廃止については、対策に「経済成長を賃金上昇につなげることを前提に検討する」と明記。与党での議論を経て12月中に結論を得る。

企業に賃上げを促す法人減税について、現在は「給与総額を5%以上増やした企業」としている税優遇の適用条件を、13〜14年度は「2%以上」、15年度は「3%以上」などに緩和する。

設備投資を促す減税では、15年度末までに先端設備を導入した企業に、減価償却を1年で行い初年度の税負担を軽減する「即時償却」か、5%の税額控除を認める。将来の企業の競争力向上に結びつく研究開発も税制上の優遇措置を拡大。企業の事業再編を進めやすくする施策も盛り込む。

自民、公明両党は9月30日、消費増税に備えた与党税制改正大綱で合意した。設備投資や賃上げを促す減税などの規模は国と地方を合わせて1兆円となる。

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