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 この度の出張は予期せぬことの連続 2002/03/14

 鹿児島、佐賀、福岡と1泊2日で出張に出ました。初日は朝の6時半に広島を出ていきなり鹿児島まで突っ走り、お昼過ぎにはもう着いていました。Tさんにはサウンドフロア−を暮れに購入していただいたのですが、慣れない大工仕事で果たしてうまく組み立てることが出来たのだろうか?気になって仕方がありません。

 それまでにも何かと沢山買って下さっている関係上、いつかは一度お伺いしておかなくてはという思いもあり、またそれに付け加えて、この度アナログプレーヤーPRO-JECT RPM-9の注文を貰っていましたので、ついでに配達してセッティングさせて頂くべく、当初の予定には組まれていない急遽の訪問と相成った次第です。


 引率のTさんのバイクの後をついて行く途中に初めて見る何か不思議な光景が目に入ってきました、それは屋根のついたお墓です。鹿児島の方はお墓にまで家を建ててあげるのかという感じをもちましたが、よく聞くと桜島から灰が降って来るからとのこと、なるほどそれで納得がいきました。

 家の前では可愛いシバ犬が尻尾を振って元気よくお迎えです。ステレオを置いてある部屋に入り先ずサウンドフロアーに目が行き、その施工のほどを見て私は一瞬自分の目を疑いました。


 「波打っている!」、

 「おかしい?」、

 ハードメイプルは強い木だから「反ったのかなぁ?」、

 恐る恐る怖いものでも見るように目を近づけて見ていくと色々と問題点がある。

 とりあえず現状での音を聴かせて貰う事とします。

 ジョーダンワッツのSP-JVEX、さすがフルレンジですからまとまり良く鳴っています。

 しかし私の頭の中はサウンドフロア-の施工状態が気になって頭の中から離れません。

 このまま帰れば、カイザーはろくな物を売らないという事になりかねない。

 生涯私の汚点となって付きまとう、

 何が何でもあってはならぬこと、「信用第一!思い切って腹を決めた!」。


 「ステレオシステムのセッティングは今日は止めにして」、

 「サウンドフロア-を全部剥がして夕方までに組み直しすることにしましょう」。

 「それでは全ての物を別の部屋に移してください」。

 私は戦闘モードに入ったみたいに顔が半分引きつっているのが自分でも分ります。

 工具箱には十分な物を持って来ていませんのでつぶれたネジ山を借りて来てもらったハンマーで叩き全体重をかけ外します。

 ネジの頭の無くなっているのもありますから最終的にはマイナスドライバーを入れてめくり上げるように外す板もあります。


 悪戦苦闘の末何とか仕上げし直し、出来上がったのが7時を回っていましたでしょう。次の約束がありますから、ステレオセットは組むこと無しに急ぐように失礼しました。

 2時間位経ったでしょうか、久留米あたりで事故の渋滞に巻き込まれいる時に携帯が鳴りTさんからプレーヤーのゼロバランスが取れない、カートリッジの自重が何グラムの物まで使えるのかも説明書には書かれていないという内容。

 とりあえず応急処置として10円玉をセロテープで貼り付け、「何とかやってみて貰えませんでしょうか?」と言うしかない。

 後にこの件は広島に帰ってから輸入元のオルトフォンジャパンに電話して、

 「適合範囲は何グラムまでなのか?」、

 「また重いサブウエイトはオプションとして用意されているのか?」、

 それらの資料をFAXして欲しいと頼むが、送られて来たFAXはナント白紙である。

 それまでに3度、その旨の電話を下さいとお願いしていたにも何の連絡も無いという伏線があったから、

 もうこちらは「プッツン切れてしまった」。


 「話にならん!」「社長と代われ!」、

 2分程待ったでしょうか、

 「前園です、ご迷惑おかけしているみたいで申し訳ありません」。

 「カイザーです、こんなことで初めて言葉を交わすのは残念ですが、おたくの社員はなってない!」。

 電話をくれと言って3度こちらから電話をしたが無しのつぶて、

 4度目に仕入先の問屋に私が「怒っている」と伝えてくれというと初めて電話が掛かってきた始末。


 またFAXがきたと思えばそれは全くの白紙、

 その紙に「白紙です」と大きな字で書いて送り返した。

 にもかかわらずまたもや待てど暮らせど欲しい情報はFAXしてこない。

 そして翌日しびれを切らして、「どうなっとるのか?」と、この電話をした次第です。


 「オルトフォンという名門企業の名が泣きますよ!」、

 「こうした厳しい時代ですから、お互いにいい仕事をしようじゃないですか」。

 「そうですね、これからすぐにやらせます」。

 そして、「説明書についてはその内容を追加致します」。

 また、「宜しければ私の方からお客様の方へ直接お詫びの電話をさせて貰いますので、電話番号をお教え頂けないでしょうか?」。

 さすがは社長、テキパキと問題を解決していく。

 それから、早速お詫びのしるしにと言ってサブウェイトを送ってきました。



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 サウンドフロア−を導入されたお客さんからの感想 2002/01/11

 ----- Original Message -----
 From: <T.T>
 To: <kaisersound@rosenkranz-jp.com>
 Sent: Friday, January 04, 2002 10:34 AM
 Subject: おめでとうございます


 明けましておめでとうございます。
 その後の経過を報告します。

● 聴き納めの「オーベルニュの歌」に毛穴が開く

 2001年の聴き納めはネタニア・ダブラツの歌によるカントルーブの「オーベルニュの歌」でした。このディスクはROSENKRANZ SP-JVの購入を決意した際のディスクでそのときの初心に帰ろうという趣旨です。

 この曲はフランス西南部山岳地方オーベルニュ(日本でいえば九州山地の奥深く宮崎の椎葉村といったところか)の民謡を基にした歌曲集で普通のフランス歌曲と違い民謡ならではの素朴さと20世紀フランスの作品である故の現代的で洗練された管弦楽、その両方が再現されなければなりません。

 4年前にSP-JVの購入を決めた際はシングルコーンゆえの定位の良さ、ジョーダンワッツのユニットの発する声の美しさ、ROSEN-KRANZならではの音楽の緩急の自在さが決定要因となりましたが今回はこれに加えて広大な音場の再現、今まで隠れていた奥の方で蠢く自然な低域が加わり、ダブラツの歌う様子やまだ見ぬオーベルニュの高原に遊ぶ牧童や娘達の情景が目に浮かぶようです。

 一番驚いたのは、ソプラノが声高く歌い上げるとき、まさに全身の毛穴が一斉に開いたことです。人間の身体全体が感覚器であることを体感しました。こんなことはどんなに高価なシステムでも体験したことがありません。


● 聴き初めのマーラーで百会を刺激される

 大晦日から実家に帰っていたため聴き染めは昨日3日からでした。夕べはジュリーニ/シカゴ響のマーラー第9番を聴きました。第一楽章が始まるや否やその甘美な響きに魅了されます。まるでマーラーが西方浄土を求めてさまようが如く、それは死と隣り合わせにある甘美さです。(これがバーンスタインだと浄土ではなく煉獄という感じですが)この曲は1.5時間にも及ぶ大曲ですが途中で眠気を催すこともなく音楽が淀みなく進んでいきます。

 10cmのフルレンジで巨大なマーラーのシンフォニーを聴く痛快さ!今までもこのスピーカーでマーラーを聴いていましたがやはり多少の無理があったのも確かです。 

 ところがサウンドフロア導入後はむしろ大型スピーカーでは再現できない世界が目の前に広がっています。音場は天地、前後左右に大きな卵型を描くように広がり、8畳の部屋が無辺の大地、いや宇宙に感じるほどです。

 一番弱点のはずの低音もむしろ38cmウーファーを持つシステムよりも量的に劣っても、その質はより生に近いのです。次第に聴きこんでいくうちになんと頭頂部、つまり東洋医学で言う百会の部分が反応しているではありませんか。

 ここまで来るともう驚きです。音楽の力は一体どこまで及ぶのでしょうか・・・このまま行くと良い音楽を聴くたびに身体の隠された部分の能力、つまり潜在能力に光が当たっていくのではないか、そんな予感がします。


 以上のようにサウンドフロアの及ぼす作用は予想以上のものがあります。これからどう変化していくのか、何を発見できるのかワクワクしてきます。時間ができましたらサウンドフロアの工作記を文章にまとめてみたいと思います。(施工前後の写真も撮ってあります。)この素晴らしさを多くの人に伝えたい。そのために少しでもお手伝いできたらと考えています。

 以上



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 色と音との相関性実験に参加して 2002/01/09

 レポーターはSさん


 今日は先月の「ネジによる音の違い」の実験に引き続き、色が音にどのような影響を与えるかを探る実験です。色や幅の違う結束バンドを数多く用意し、スピーカーケブル端末とスピーカーターミナルとの間に入れる「ローゼンクランツ製スピーカーアタッチメント」の結束バンドを変えていきます。左右のスピーカー、+−各端子、計四箇所、四本の結束バンドを変えての実験です。

 バンドの種類は4サイズ、全15種類にもなります。果たしてその微妙な差が判別できるのか。これはしっかりとメモをとらなくては・・・。

 ちなみに試聴ソースは前回に引き続きミッチーこと三橋美智也、素晴らしい歌声と楽しい雰囲気をどこまで表現できるのか楽しみです。

今回の実験の為に用意した豊富な結束バンド

 1.バンドのない状態

 これは一聴すると開放感を感じるいい音です。音場がサッと広がり伸びやかです。しかししばらく聴いていると開放感と感じていた部分が「音がスカスカ」といった風に印象が変わり、なんとなく粉っぽい散漫な音に聴こえてきます。これはよくありません。

 まずは幅2.48mm、厚さ1.01mmの小バンドから。

 2.透明に近い白

 これも音がスカスカ、音楽的な情報量が激減します。野球で言えば「空振り」の様な音です。

 3.緑、藻や藻草の様な少し濁った色

 色から得られるイメージ通り、田舎くさい濃厚な音です。故郷のイメージにピッタリで、三橋美智也の歌には合っているかもしれません。
 4.黄色

 明るく爽やかな音色で、音程が上がった様に聴こえます。この明るさはJ−POPの浜崎あゆみや宇多田ヒカルなどにはピッタリでしょう。特にモーニング娘は最高のノリかもしれません。
 5.青

 青いバンドでアタッチメントを縛ると、視覚的なバランスはとてもきれいで好印象です。音も見た目の通り、最初の一音からバランスのとれたいい感じです。ミッチーが姿勢を正し、腹の底からじっくりと歌い上げている様です。
 6.黒(リファレンス)

 ローゼンクランツがこれまで使っていたバンドです。透明感のあるいい音です。色付けが少ない分インパクトに欠け、少し面白みがないような気もしますが、これが最も自然でニュートラルな音なのでしょう。
 7.赤

 この音はいただけません。まったりとしつこく、聴いていて胸が悪くなりそうです。情報量も多く、どこといって欠点はないのですが、この落ち着きのない音は生理的に拒否反応を起します。やはり赤は血の色、危険な色なのでしょうか。

 ここから幅広、幅4.68mm、厚さ1.50mmのバンドになります。

 8.黄緑

 トーンは明るいのですが、音が詰まって縛り付けられたような息苦しさを感じます。ギクシャクしてテンポも遅くなったみたいです。これは色よりもバンドの幅が変わった影響でしょう。
 9.黄色

 黄緑よりもより一層明るく爽やかになってきました。しかしやはり幅広の影響でしょうか、無理やり押さえつけられた不自然な感覚が残ります。
 10.オレンジ

 バランスのよいほんわか暖かないい音です。幅広バンドに対するエージングが進んだのでしょう、押さえつけられた感じがだいぶ減ってきました。
 11.ピンク
 これはすごく面白い音色です。まさに音がピンクになっています。目を閉じればネオン街のイルミネーションが浮かんできそうです。ミッチーの歌う「故郷への憧れ」が「花街の誘惑」に変わってしまいました。

 続いても幅の広いバンドですが、こちらは100円ショップで購入したもので、材質のしなり具合、工作精度が劣ります。幅4.79mm、厚さ1.23mm。

 12.うすい緑色

 硬く、ひとつひとつの音が叩きつけられる様です。音楽のスムーズさに欠けます。これは明らかに材質の影響でしょう。
 13.黄色

 浮ついて落ち着きのない音です。これもいただけません。
 14.オレンジ

 10番のオレンジと同様にほんわか暖かムードです。歌い方がとても優しく、暖かみと華やかさがいいバランスです。
 15.ピンク

 音が薄くフワッと軽い音がします。一見華やかですが、暗く沈んだような面もある不思議な音色です。
 16.黒(リファレンス)

 すべてのバンドの中で最も結果のよかったリファレンスの黒を再度試聴します。どこまでも自然でニュートラルな印象は、やはりすべての色を吸収する黒の特徴でしょうか。しかし先程と比べると線が細くなり頼りなくなったような感じです。しかしここでしばし休憩を挟み、音を鳴らし続けていると段々と音が変化してきました。バンドのエージングが進んできたようです。より一層伸びやかになり、音量が上がった様に聴こえます。なかなかの音です。

 17.黒、幅2.60mm、厚さ1.11mm

 リファレンスよりもほんの少し幅広です。材質は多分同じ物と思われます。芯がしっかりしていて、安定感があり、ピントがピシッと合っています。音はキリッと締まってはいるのですが、ちょっと重く感じます。

 18.黒(リファレンス)・・・右方向

 今度はバンドその物の方向性をすべて右方向に揃えます。とてもソフトで優しい音色です。しかし締まりに欠け、テンポが遅く感じます。

    右方向・・・音の進行方向に向かって、時計回りということです。
 19.黒(リファレンス)・・・左方向

 スピーカーケーブルと同じく左方向で統一します。音はやっぱりこれが一番、どこまでも自然でニュートラルです。優しさ、力強さ、どちらも高次元で両立しています。

 20.青(5番目と同じ)・・・左方向

 黒で結果のよかった左方向に揃えます。
しかし黒を聴いた後ではどうしても色付けのあるキャラクターを意識してしまいます。無音部分も黒の様な全くの静寂というのではなく、何がしか気配のようなものを感じてしまいます。

この様に装着して実験いたしました

 <その他の実験>

 スピーカーアタッチメントには、アルミ箔の様な商品名、型番の書かれたシールが根元に近い部分にぐるっと一周する様に貼ってあります。それが手で触るとパリパリといった音がして、どうも共振している様な気がしてなりません。そこで今度はシールを外してみました。

 しかし外してみると予想が外れ、音は全くよくありません。メリハリがなくなり沈んだ音になり、音楽が楽しくなくなってしまいます。ミッチーの歌が「昭和枯れススキ」の様になってしまいました。
 再度新しいシールを貼り付けるととたんにスッキリとした元気のいい音になります。ほんの少し硬い印象があるのは、シールが新しいものだからでしょう。

 何箇所かにシールを貼ったり外したりしてみました。シールはケーブルでもアッチメントでも信号の入り口付近に貼ると音が元気になりますが、出口付近に貼ると詰まったような音になります。
詳しい原理はよく分かりませんが、デコレーションケーキの上にクリームを絞り込む道具が、入り口あたりを手で絞ると出口からクリームが勢いよく飛び出してくるのと同じ理屈なのかもしれません。

 ラック最上段にある真空管パワーアンプの上にお正月らしく三方が飾ってあります。この向きを逆、後ろ向きにしてみました。するとなんと音は全く前に出なくなってしまったのです。この結果にはビックリです。神様の偉力はすごいものです。

 他にも「宇宙パワーグッズ」や自然塩を持っていたので様々な実験を行ったのですが、すべて音にはハッキリと分かる変化として表れました。しかし恐れ多いことですので、結果は皆様方のご想像にお任せいたします。

正しい向きにした時 向きを反対にした時

 <まとめ>
  1. 色の持つイメージ通りの音が出る。
    • 黄色は明るく爽やかな音、オレンジはほんわか暖かい音、色のもつイメージがそのまま音として出てきます。そして最も結果のよかったのが黒、自然な音で、すべての面で高い表現力を持っていました。
  1. エージングの影響が大きい。
    • 細いバンドから太いバンドへ、太いバンドから細いバンドへ、換えた当初はどうしても音が馴染まず、不自然さ、違和感が残ります。本当に客観的な評価をしようとするのならば、しばらく鳴らし込むことが必要でしょう。
  1. 一聴しただけでは分からない。
    • 一聴してよいと感じる音は、何らかのキャラクターが乗っている場合があります。また逆に、ニュートラルな音調は初めは頼りなく聴こえることがあります。正確な音の調整をする場合、じっくりと時間をかけ、様々なソースで試聴してみることが必要でしょう。
  1. どんなわずかな違いも音に出る。
    • スピーカーアタッチメントの結束バンドの色を変えただけで音に変化が出るとは、通常なかなか考えにくいものです。しかしこの度の実験で、とても大きな音の変化が生まれるということが確認できました。特にシビアに調整されたステレオでは、どんなわずかな違いも音の差になって表れてきます。ステレオでいい音楽を楽しみたいのなら、先入観を捨て、どんな些細なことにでも果敢にチャレンジしてみてください。
  1. 振動の概念を超えて
    • 結束バンドの色が変わると物理的に何が変化をするのでしょうか。厳密な測定器で測ってもその振動モードにはほとんど差が認められないでしょう。しかし聴感上の差は極めて大きいものです。振動という領域を超え、それを統括するより幅の広い『波動』という概念を用いなければ説明のつかない現象のように感じました。

 この実験報告が、皆様方の豊かなオーディオライフを築く一助になれば幸いです。



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 オーディオシステムは4サイクルエンジンだ! 2001/10/23

 スピーカーから効率よく音楽エネルギーを取り出してやるためには、何がどうある事が理想なのか?また実際にアンプの中でどんな事が起こっているのか理解しにくいところがありますので、ここでは基本的なメカニズムとして解りやすい物に置き換えて考えてみる事にしたいと思います。そこで日常誰もがその恩恵を受け、お世話になっている車の4サイクルエンジンの一連の動きに目を向けてやると解りやすいと思います。

 それは吸入、圧縮、爆発、排気の4行程を繰り返しています。爆発によって得られたピストンの上下運動をクランクという回転運動に変える物によってタイヤを回し、進む仕掛けになっているのは皆さんよくごご存知のとうりです。オーディオ装置においては、CDプレーヤーを使ってその「音楽情報という燃料を(吸入)」し、スピーカーを動かせるだけの力を得るために「アンプで十分に(圧縮)」し、「スピーカーを(爆発)」させ、そしてその後出てきた「振動をきれいな状態で(排気)」する。 


 このように解釈して頂くと目に見える形で理解出来るのではないでしょうか。そして、もう一つ忘れてならない大切な物に、この4つの行程をスムーズに連携する為の伝送系=ケーブルがあります。これらのどの行程のコンディションが不調でも、オーディオシステムは上手く機能してくれません。とりわけ、その中でも大切な事は最後の排気のエネルギー処理に当たる部分です。

 大小様々な爆発を繰り返すスピーカーユニットその物から、空気中に向かって放出される音楽エネルギーをいかに無駄なく取り出す事が出来るかは、それを受け止めるインシュレーターに全てはかかっています。それによって発生した二次的なエネルギーの放出には二つの経路があります、その一つはエンクロージャーの6面から空中放出される事と、もう一つはインシュレーターを伝わって直接メカニカルな形の振動として床に放出される事です。


 オーディオ装置の中で一番大きなエネルギーを発するのは言わずと知れたスピーカーです。その為にそれを受けるインシュレーターが高性能でないと、微小音楽信号は大きな振動の余波にかき消されてしまい、デリケートな表情を感じ取る事など先ず無理です。そうならない為にも、一度スピーカーから放出された振動は二度と逆流してはならないのです。その事を実現出来るのは、世界中でも「歯と歯茎の構造」をしたローゼンクランツのインシュレーターしかありません。

 ある時、オーディオにおけるエネルギーについて、お客さんと談笑していた時に、俗に言う「交流の行きと帰り」の話になりました。電流はプラスからマイナスに流れるが、音楽として感じるエネルギーはプラスもマイナスも無く両者とも同じ向き=スピーカーから放出される行きっ放しである。だから「ケーブルの方向性は両者とも同じ向きでならなければならない」と、私の考え方を述べますと、経済学者であるその方は「その考え方よく理解出来ます」。と言って、そのあとこう続けられました。

 経済で言えば「出てきた利益がその音楽エネルギー」にあたり、「貸方と借方がプラスとマイナス」に当たり、常に「両者の収支バランスはゼロ」で無ければならない。するとその時、もう一人一緒にいたS氏が、「じゃぁ、会社が赤字の時はどうなるの?」と、面白い質問を浴びせてきた。それは「故障で音が出ないんだよ」といって全員納得して大笑いでした。



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 マランツパワーアンプPA-02を聴く 2001/10/17

 何の前ぶれも無く、この間のアンプの上級機種を持って来ましたので聴いて欲しいとの事。「それはまた楽しみだね!」、「早速聴かせて頂きましょう」と言って、ベストのポジションに設置して音出しです。かけた曲は前回とは違ってオーケストラをバックのジャズピアノ=オリバー・ジョーンズです。なるほど聴き憶えのある音、PA-01より更に一聴してワイドレンジで高性能な感じです、こんな時は要注意。

業務使用に耐えられるように強制ファン付き(フロントに吸気パネル)

 時間が経つにつれて少しずつ音に厚みと潤いが出てきます。しかし前回と何か少し違う感じです、音に一本筋の通った所が無い。ほんの僅かではあるが芯から外れた感じ、”上っ面”じゃありません、僅かにバットの”先っぽ”に当たった感じです。しかしこのPA-02の音の方を好む人のほうが多いかもしれません。ワイドレンジに感じる多くの場合は、ケーブルの場合も同じですが中音域に音の厚みに欠けます。

 今回はボンネットを開けて中を見てはいませんが、シャーシーの作りは同じ工法の様なのでトランスの位置関係等は底を見て解ります。それから想像すると、トランスがやや左前方(2/5ほど)に位置しております。これでこの音に納得がいきます。僅かな「音のにじみ」と「音の厚さであり、熱さ」に欠ける原因(最大のエネルギーを取り出せてないこと)は。

ローゼンクランツの最高級ケーブルにて試聴

 これは永年の私の「振動の時間軸の研究」の結果から直感的に判る事であり、他の方にはちょっと見抜けない事でしょう。何かの制約があってやりたくないけどこうしたのかもしれません。こうなると何を譲って何を譲らないかの序列の問題になってきます。もしも、私がやるなら先ずトランスの位置を最初に決めてから全てのコンストラクションを決めていきます。武道でいうなら、すきのない守りの体制でありながら、いつでも攻撃に入れる構え。

 PA-02の音を感覚的にいいますと、スピーカーの場合ならフルレンジと2ウェイの違い。アンプに例えますとシングルとプッシュプルの違い。これで解って貰えないなら、ちょっとオーバーにはなりますが船頭が二人いる感じとでもいいましょうか。しかし音というものは個人個人の好みによって違いがありますので、なんともいえない部分があります。でも、「どちらを買うか?」と尋ねられれば、私なら迷わず安い15万円の方にします。



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 SACDについてお客さんから頂いたメール 2001/09/02

 ----- ORIGINAL MESSAGE -----
 FROM: <T/T>
 To: <kaisersound@rosenkranz-jp.com>
 SENT: FRIDAY, AUGUST 31, 2001 5:20 PM
 SUBJECT: SACD


 ATTEN:貝崎様
 FROM:T.T

 HPにSACDのことを書かれていましたが、かくいう私もSACDプレーヤ(SONY SCD-1)のUSERであり、体験談を書かせていただきますと....

 購入時はP-0の購入者ではありませんが、どうしようもないくらい音がこわばっており、ああどうしよう、大変な捨て銭をしたと思ったほどでした。


 そこで電源ケーブルをROZENKRANZ、3EXに変更するとともにインシュレータにPB-REXを使用してやっとまともになりました。現在はREX-Aに変更してその素晴らしさを堪能しているのは前にもお伝えしたとおり。電源ケーブルはコストの制約上仕方がないとしても、オリジナルの偏心インシュレータで5点支持というのは音楽からパワーを削ぎ、濁らせているのではないか。貝崎さんが言うように、SACDの音はカイザーの助けなくしては本来の力は発揮できないというのは本当だと思います。

 個人的にはSCD-1のディスクスタビライザーを作ってほしいのですが....どないかなりません?


 追:おすすめSACDソフトまだ枚数は少ないのですが所有のもので気に入ったものは
  • モーツアルト交響曲第38番&40番/ワルターLPやCDで聞いたきた音とまるきり違います。特に低音弦が素晴らしい。
  • ラベル管弦楽曲集/ブーレーズフランス音楽はCDが苦手とする分野と思っていますが、ここではラベルの音楽の精緻さとフランス音楽独特の音の彩(綾)が見えてきます。
  • ファーストタイム/デューク・エリントン+カウント・ベイシー巨匠二人の品格と偉大さ、そしてお互いに対する深い尊敬の念が分かります。CDではなかなか聞こえてこない、エリントンの音楽の持つエロスが聞こえてきます。
  • レディ・イン・サテン/ビリー・ホリデイ最晩年のホリデイ。声の衰えは地獄の一歩手前。歌に対する凄まじい執念と一種の退廃を感じます。弦の浮遊感はCDではまず出ないと思います。

 発売元はすべてソニーです。1BIT高速刄ー録音によるものも買いましたが、Fレンジ、Dレンジはなるほどと思わせるものの、音楽としては????でした。まだまだ発展途上なのでしょう。

 SACDはソフトが増えてくれないとどうしようもないのですがそのソフトが最近は音楽的に下らないものが多いので気になります。すでに1BIT高速刄ー方式でマスタリングし直したCDも少なくないので、もっと発売できるはずなのですが....ソニーはSACDをどこへ連れて行こうとしているのでしょうか...


 

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 SACDの音に感激!! 2001/08/29

 今までSACDの音は何回かイベント会場で聴いたことがありましたが、いい印象を持ったことはありませんでした。昨日マランツの新製品SA-12S1をローゼンクランツのリファレンスシステムで聴く機会が得られました。先ずラックにキチンと置き、最近お気に入りのゴンザロ・ルバルカバのINNNER VOYAGEをセットして4曲目を聴きました。

 大変耳あたりの良い音でメリハリは感じられないが、好印象の部類です。聞くところによると全面フィリップスの物らしい、シャーシーごと利用して、外装を少し高級仕上げにしたそうですが、トレイをオープンしただけで「カシャ、カシャ、カシャ〜ン・・・?ξ∋ゞ‰∀≒」。サンキュッパの動作音です。これにはノーサンキューとの反応が私のセンサーに出てしまった。


 いかんせん、そんな印象から始まって聴くのだから私のオーディオ体温計は下がったままです。それに自慢ではありませんが、1枚もSACDのディスクは持っていません。「SACDのディスクを持っていたら聴かせてよ」。といって、聴いたのがDMPのデモディスクでした。「なんと!音が出た瞬間!、目の前には楽器を持って演奏しているミュージシャンが突然現れたではないか!」。

 こんな雰囲気はいまだかって経験した事の無いリアリズムです。生楽器の音を身体がよく覚えていますので、すぐに体温計はヒートアップです。これだけ冷え切った状態から一気に昇天したのは本邦初ならぬ、私にとって初体験です。いままでSACDに対していい印象を持っていなかったのは基本的なオーディオシステムのセッティングが良くないから感動しなかったので、実はSACDのせいではなかった事が判明しました。


 それと同時に如何にローゼンクランツのリファレンスシステムの能力が凄いかという事も改めて確信しました。そばにいたマランツの営業マンもビックリしてしまって興奮気味です。私もこんなフィリップスの量産モデルからこんな音が出るなんて信じれません。音だけなら文句なしに合格です。しかし、私にはそれでも満足できません。

 それというのも、私自身は振動の研究を根本からやっていますので、職人としての勘があるのです。私の振動に対する拘りからすると25点しか与えられません。そんな事で私のノウハウをこの中に入れたら、”さぞかし凄い音が・・・”そして、”空恐ろしいほどの音が出るのではと・・・”、今にもその音が目の前に、それも完璧にイメージ出来るのです。私もこんな事が平気で言えるようになったのですから、自分で言うのもなんですが、本当に成長したのか?、単なるホラ吹きなのでしょうか?。


 「そんな事で、今回は買わないよ!」と言うのが私の結論です。妥協しない私の考えを開発の方々に解って欲しいのです。「38万円でこの仕上げ・・・」。「う〜ん・・・安いか、高いか、もっとハッキリしてくれ」。「とにかく中途半端」。と言うのが、いつわらざる私の感想です。それと何と言ってもSACDのソフトを1枚も持っていない事がそもそもの原因とも言えそうです。

 これを機会にSACDのソフトを探しまくって買おうという気になりました。



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 音の良い製品を作れない理由 2001/08/15

 20年近く前になるでしょうか、その頃からカイザーサウンドではスピーカーに関してはほとんど国産の商品は展示しませんでした。聴いていて無味乾燥で音楽を感じなかった事が理由ですが、とにかく、音楽を聴きたいという気持ちにならないのです。

私はいつでも買い手の立場になって考えるようにしています。理由はただそれだけで何も他意はありません。当時は私のようにハッキリとした考えを商品展示に現す所は滅多にありませんでした。市場の動きと違う事を提案しているわけですから、理解をして下さるお客さんの数は少なく、それは苦労の連続でした。


 しかし、今となっては、信念を持って自分の考え方を自分の言葉で訴え続ける事に、応援をして下さる声がハッキリと聞こえてくるようになりました。当時優等生のようにメーカーのいう通りに従ってやっていた人達はほとんど商売を止めて行きました。

 難しいもので今日のような不況が訪れると、ただ真面目なだけでは生きて行けない世の中になってしまいました。社会構造そのものが変わって行こうとしていますので、市場の動きを自分の五感で感じ取る動物的勘を持ち合わせていないと上手く行きません。


 日本の社会構造そのものに問題があるのでしょう。進むべき道、すなわち目標がはっきり定められている時は、それに向かって真面目に努力をすればよかった訳です。そういう状況の時の日本は強いですが、何をするべきなのかを自分で決めなければならなくなった時は見事に弱いと思います。

 特に我々が置かれている環境の、趣味や、感覚のものとなると大所帯で決める会社は、小回りが効かず劣勢を強いられるのは必死です。また、先輩の作った物を否定する事が出来ない空気がある中で、革新的な物を生み出すには並大抵の事ではありません。


 この最近FASTのアンプT1-Xを買い聴きました。スピードあるサウンドとそのスピーカードライブ能力の高さには驚かされました。音が直線的で多少荒っぽいところがあるにせよ、これはどこの製品にも無い存在価値のある個性です。ROCK、POPS等、使い方次第では魅力的なサウンドを奏でてくれそうです。それに比べ、大手の製品はどれも横並びで何を聴いても悪くも無いが魅力もまた感じません。


 優秀な大学を出て、立派な研究室が用意され、予算も充分にあって、手本となる歴代の商品が並べられてあっても、何故か魅力的な商品が出て来ない。それは、つまらない縦社会がはびこっていて、一種の村社会が組織の中にあるからではないでしょうか。

 すなわち、能力があってもそれを発揮出来る環境が構築されない限りに於いてはどうやら無理なようです。



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