まみそぶろぐで、Ultrasone e9ヘッドホンのモディファイの事を知り、M.Tさんという方から問い合わせを頂きました。何でも高級ヘッドホンを20本ほど持っているそうです。聞きしに勝るヘッドホンおたくです。
音楽に対する楽しみ方や音の拘りを、メールのみでなく電話による念入りな打ち合わせを経て取り掛かりました。ヘッドホンおたくの方は良くも悪くもネット情報を縦横に操るので、良い仕事をすれば口コミの広がり方が違います。現にまみそさんがその例です。
内容までは触れませんでしたが、M.Tさんはかつて死と隣合わせになった事があるそうです。ギターを弾くことが何よりも好きだったはずなのに、音楽から遠ざかっている自分に気づき、今では音楽と向き合う幸せな人生を送れているのだそうです。
自分にとって何が大切なのか!
その時にハッキリ見えたそうです。
あらゆるシチュエーションを想定して、
私自身もオーディオの技術を磨いて来たのですから・・・。
今こそ、腕の発揮のしどころだ!
と思って取り組みました。
結果を先に言うと、
神が舞い降りたのではないか!
と思えるほど素晴らしい音が作れたのです。
出来上がったのは深夜の12時が近い時間でしたが、
時の経つのを忘れ、
東の空が明るくなるまで音楽に没頭していました。
アメリカのFM放送局から放出された、
2Tr/19cmのテープが私の貴重なコレクションですが、
素晴らしい音が耳に飛び込んで来ました。
テープサウンドは言葉には表せません!
惚れ惚れするような音がしています!
モディファイに関する内容が後になってしまいましたが、M.Tさんはe9を2本持っていると伺いました。個体差は当然あるでしょうが、どちらもメーカーでのモディファイ済みの物との事なので、どうせなら私も勉強になるので両方送って貰いました。
両者の音は正反対のバランスの鳴り方をしていました。先に届いた物はメリハリの効いた音ですが、もう一つの方はもやの中から音が聞こえて来るような寝ぼけた音がします。
ちなみにケーブルの長さを比べてみると数センチ違います。左右のハウジング部から出ているケーブルを束ねて撚り合わせ始める場所も無頓着のようです。最後にアンプに繋がるべくXLR端子の直前の束ね場所も決まっていないようです。
推測するに、使用するケーブルの音の違いにしか、目が行っていないのではと思われます。同じリケーブルでも、統一してあったのは左撚りという点のみでした。
今回のカイザー流モディファイは、他所様がリケーブルした後にするものなので、手が打てる事には自ずと制限があります。
ざっと拾い上げても次の事ぐらいしかやりようがないのですが、それでも目を見張るような音に仕上げなくてはなりません。こんな条件で音を作れ! と言われたら誰もが逃げ出すでしょう。
しかし、技を極めれば、この条件下だって出来るのです。
カイザー流モディファイは、
居合い斬りの如く一瞬を極め抜いています。
@ケーブルをどれ位切り落とすか!
答え:音の良い場所を4番目まで探し番号を打ちます。
間違いがないか、何度もイメージします。
確信を得られたら一気に切断します。
Aどんなネットを掛けるか!
ローゼンクランツのネットからは3種類の候補があります。
基本は緑・赤・黒です。元に使われているネットが黒なので、
緑地に赤のネットを使うことに決めます。
Bネットの長さとどの場所にするか!
実際に宛てがいイメージを計った上でヒートカッターで切ります。
先ず左を決め、次に右用の長さを決めます。
Cどの場所で束ねるか!
各々どの場所にネット掛けするかは、
方向性も含めて実際に通して勘で決めます。
収縮チューブで止める場所がこれまた重要です。
特に音のテンポや抑揚と関係して来ます。
D左右のどちらに捻るか!
元々は左に捻ってありましたが、
音抜けを良くする為に右捻りに変えました。
E半田の技術!