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お披露目デモンストレーション


 目の前で「音のカラクリ」を公開

 エンゼルポケット始まって以来の大入り満員となった今回のイベントは、アッシャー製スピーカーS-520カイザー・モディファイバージョンのお披露目です。先ずはその音の出来栄えを聴いて貰います。そして、続いてオリジナルモデルを比較の為に聴いて貰う事から始めました。

 カイザーモデルは外観上まったくオリジナルと区別がつきません。それが、音となると”似て非なる物”に仕上がっているのです。その音の凄さに度肝を抜かれた人達の目の色があっという間に変わってしまいました。そこで今回の一番大きなテーマは、皆さんの前でその「音のカラクリ」をオープンにする事です。

 そこで私が採った方法は、新品のS-520を皆さんの見ている前で開梱し、その”素の音”を先ず頭に叩き込んでもらった上で、モディファイの一部始終を公開しようという試みです。オーディオファイルにとってこんな新鮮な出来事は今までに無かったはずです。

 音のプロが料理すると1本14.000円のスピーカーがどのように変身するのか?、興味が湧かないはずがありません。

 「それでは、皆さんによく見えるように会場の真ん中でやりますので、スピーカーを囲むように輪になってご覧下さい。」。

 ユニットとエンクロージャーの方向性

 4つのスピーカーユニットを取り外し、それぞれどの向きに取り付けてやったら音が良くなるのかを説明しながら、後で間違わないようにマグネット部分にマジックで矢印を書き込んでおきます。

 ウーハーユニットのコイルから出ております錦糸線の向きは左用は上向き、右用は横向きと見た目に不揃いでなんとも格好の良いものではありません。

 続いてエンクロージャーの響きの方向を調べてL.R用を指定します。

 吸音材のアイデアとノウハウ

 今度は吸音材の入れ替えです。予め持参していたシュレッダー(書類裁断機)を準備し、その中に入れる材料の説明に入ります。

 用意したのは、余ったカイザーサウンドのカレンダーと新聞紙です。

 ブレンドする紙の固さや長さ、またその量によって周波数のエネルギーバランスを取るのです。

 その長さはカイザーゲージで

 決めた数字はカレンダーの固い紙の長さを0.3カイザー(31.5センチ)、新聞紙は0.5カイザーの(52.5センチ)。お客さん参画型のイベントですから、すぐ近くの若い方の手を借りて満遍なく絡ませながら混ぜて貰います。

 元はといえば紙は木から出来た物、エンクロージャーとの振動の関係はベリーグッドです。「皆さん!、実際にその感触を手で触って確認してみてください」。「スピーカーの振動や背圧が掛かった時に、如何に受け止め、両者が良好な関係を保ち合うのか?」。

 エネルギーが加速する為のネジ締めの順番

 もう一つ今回の大きなトライアルは、各ユニットを止めている7本のネジの順番を決めて、エネルギーが加速するように止めて行くと言うものです。その場で私が見せたネジの相性の確認方法は会場に居られた方達だけが知る特権です。

 最後にスピーカーターミナルを連結するジャンパープレートの上下裏表の方向確認をして今回のモディファイは無事完了です。説明をしながらですから、この間約1時間ちょっと要しました。

 今仕上げたばかりの出来立てのホヤホヤのS-520を、これから音出しする事になります。皆さん自分がモディファイしたような気持ちなのでしょう、音が出るまでドキドキ、ハラハラしながらの楽しみな一瞬です。

 鳴り始めた音は既にモディファイ済みの先ほど聴いた音となんら変わらない鳴りっぷりの良い音が出ました。細かい事を言えば、半密閉型になるようにと意識してダクトに詰め物をしたのが少し利き過ぎのようでしたので、もう一度開けてその量を減らし調整すると、今度はちょうど良い感じになったようです。

 確かめ算によって得られる相互信頼

 私自身もネジの順番による音の違いというものは、さすがに一般の人達の理解の範疇を超えたものだろうという事はしっかりと感じておりました。自分としても、その反対の最悪の組み方でネジを締めた時に一体どう音が変わるのか?、皆さんと同時体験をしてみたい気もありましたので、確かめ算的にやってみる事にしました。

 左のスピーカーだけ、1〜7の順を7〜1の反対に組み直してから再度聴いてみることにします。すると如何でしょう?。まったく音が詰まって出て来なくなったのです。これで何とか私の信用は保たれた訳です。

 これをしなかったらカイザーは怪しいという風に吹聴されても困りますので、最初から公開するのは止めておこうかなとも思っていたのですが、何とかお披露目した事に意義があったと思っています。胸をなでおろしながら、もう一度元の順番にネジを組み直して復元した音を確認してお開きとなりました。

 満足頂けた今回のイベント

 早速、記念のモデルをその場でお買い上げ頂いたり、既にS-520をお持ちの方はモディファイだけの申し込みを頂いたりで大成功でした。気がついたら予定を2時間以上もオーバーしておりました。その間一人も途中退席者がいなかったのは、内容の充実したイベントだった事を物語っています。

 A&Vvillageの雑誌の中で「音のカラクリ」と題して、私が研究してきた事をこつこつと発表しているのが少しずつではありますが、浸透してきているのが実感出来ました。何事も継続が大切だと改めて感じています。

 大勢のご来場、誠に有難う御座いました。

 追記

 この文章を書き終えた後、NHKのプロジェクトXを見ました。

 桂離宮の修復に携わった人達の物語です。

 皆さんの顔から正直という二文字が私にはくっきりと見えました。

 もっともっと、自分には心の修行が必要だと感じました。

                                 貝崎静雄


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