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ますます病みつきになるシトロエン


 先日の高速道路での故障は駐車場でのトラブルとは関係なく、燃料ポンプの単なる故障だと判明。これも11万キロを走っているので、交換して当然の時期に来ているそうです。底に傷をつけた事が大きな問題につながるようではなく、ひとまず安心しました。

 12月の初めに車検が切れるので、予定通りそのままドック入りです。整備や部品の交換を必要とする主だったところの説明をして貰ったわけですが、大体において手入れがよく行き届いているという報告を得ました。具体的なその対象ヶ所は、ドライブシャフトブーツの破れ、ブレーキパッドの磨耗、そしてハイドロポンプの圧の低下の3点ぐらい。

 一方、ながらく車検整備で預けていたもう1台のXMセダンが出来上がっていたので、ブレークと入れ替えに乗って帰りました。今回特に気をつけた事は、オートマオイルを一気に全部交換しないで、慎重に半分だけ入れ替える方法を採りました。万が一不調なようであれば、直ぐに元の古いオイルに戻せるように取って置いて貰ったのです。少ししっくりしないような場合は、もう一度ブレンドすれば新しいオイルの占める割合が1/4になり、なだらかな変更に抑えることが出来ます。いわゆる、2段構えで対処したのです。

 それを元に戻すようなことはありませんでしたが、おかげで、エンジンの調子は大分良くなった感じです。また、そこへ夏に頼んでいた3台のナイアガラが出来たという電話を貰ったので、これは好都合。ちょうど、発注していた14本のミラクルサウンド・スクリーンのマストを取リに行く鉄工所と方向が同じですから、1回で済みます。

 呉へは高速とまではいきませんが、有料道路がついておりまして、今回の仕上がりを見るのに格好の試運転コースです。市内では、オートマのシフトアップがいまいちスムーズではないのですが、信号の無い広島呉道路では良い調子で走ります。

 左ハンドルのオリジナル仕様の物にだけ、真っ直ぐな走りを求めたシトロエン独特のセルフセンタリング機構が付いています。これのおかげで、すこぶる直進性が良いのです。また、シートも程好く、ふわっと体に密着する優しい心地良さです。「人馬一体」と言う言葉がありますが、このXMはまるで生き物に乗っているような気分になるのです。
 
 特に舗装の継ぎ目のショックの感触は、”真綿でくるんだ”様に、”まろやか”で、”滑らか”に、”丁寧”に越えて行くのです。有森選手がドリンクを飲んだ後、ボトルを道路の端にそっと置くように、手を離したあの気配りと同じような感覚です。後にも先にも見た事の無い、心に残るシーンでした。あれで一気に日本女性の評価が高まったと聞きます。

 そうした感触がシトロエンの何とも言えない魅力で止められないのです。これほど足回りに情熱を傾けた車は、他には無いのではと思います。人から聞いた話ですが、「フランスの誇りだ!」とドゴールが言ったそうです。

 もう一つブレークと大きく違うところは、ショートデッキの関係から来ているのだと思いますが、ハンドル操作に対して車体の挙動レスポンスがいいですから、より一体感を感じれるのです。とにかく全てにウェルバランスです。

 また、これは両車に共通した事ですが、前席の窓を全開にして80キロくらいで走っても、ほとんど風切り音はせず本当に静かなものです。よくよく見ると、ハメ殺しの三角窓がほどよく湾曲しているのです。これも快適さを感じさせてくれるものの一つです。 

 反面、乗り方が気に入らなければ、お尻をモッコリと持ち上げ、しっくりくるように促しているような動きをするから不思議でなりません。シトロエンという車は機械とは思えない、何か生きている動物を感じさせる独特のものを持っているのです。

 ですから、今回のようなハプニングに見舞われても、お互いに愛情が通い合っていますから、少々の事では決してたじろいだり、躊躇する事はありませんでした。むしろ、こうしたトラブルも共に乗り越えて行こうといった気持ちが、逆に芽生えてくるのです。本当に、このシトロエンXMは魔性のようなところがあります。


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