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アルファ・164 3.0Lとランチア・カッパ 3.0L

この最近'90年代の車に無性に惹かれる。そこでデイムラー 4.0Lを多摩まで見に行った。デイムラーの角目の存在は知らなかったから興味があった。'91だが程度はとても良い。勿論試乗させて貰った。

11年前にジャガー XJ6 3.2を乗った事があったが、その時は車格と吊り合わない自分に気づき手放したしょっぱい思い出がある。それ以降10台程の外車を乗り継いだ経験からなのか、今回はそんな気持ちにはならなかった。

ゆとりを持って乗れたのは車との触れ合い方が身に付いたからだろう。'90年代の車には手作り感が残っていてホッとする。この感覚はオーディオ機器についても同じ事が言える。当時の車はメーカーの個性や主張がハッキリと汲み取れるのが素晴らしい。

思わず欲しくなった。


アルファ・164 3.0L

試乗から戻るやいなや、

『こちらには、もっと魅力ある車がありますよ!』

と言って、車庫を開けて見せてくれたのが、

アルファの164という車だった。


デイムラーに向きかけた気持ちは、

どこかへ吹っ飛んでしまった。


155は私の友達が乗っているので知っていたが、164の事は全く知らなかった。スタイリングの美しさが際立つ166の旧モデルに当たるらしい。一時期とても欲しいと思ったものだ。車好きのわりには知らない事もかなりある。

今回の164は'91式だが22年も経っている車とはとても思えない。実走行は僅か20,000キロ。外装、内装、エンジンルーム等どこを見ても信じられないほど綺麗であった。奇跡の1台と言って良いだろう。

デザイン王国のBang&Olufsenを彷彿とさせる、

そのシンプルな内装は私好みである。

ピニンファリーナによる生粋のイタリアンデザインである。

シートの座り心地はシトロエンを思い出す。

走らせてみて、そのクイックレスポンスにまた驚いた!

後で知った話だがオイルでトルクコンバートするのでは無く、

ミッション車と同じようにギアが噛み合うオートマなのだ。

いつ繋がったか分からない昼行灯フィーリングとは違うのだ。


『運転席側のパワーウインドウが壊れていますが、

その状態での価格となります』。


そんな事はお構いなし、後で何とかなるだろう・・・

瞬間買いとなった!

訳あって、この車は多摩ナンバーのままだ。


ランチア・カッパ 3.0L

閑話休題、ここで、ランチア・カッパというイタリアの車に話題を変えよう。

つい数日前に、栃木の宇都宮まで行ってその場で買う事になった車である。あとで調べて分かった事だが、164は、アルファロメオ、フィアット、ランチア、サーブの4社がコストを抑える為に共同開発した、”ティーポ4”というプロジェクトの時の車らしい。又、一方ランチア・カッパはその時のランチア・テーマの後継車に当たる。

エンジンはアルファからの供給だが、

今回の2台の車は全く正反対の仕上がりなのだ。

これも何かが引き寄せた縁なのだろう。

人生とはかくも面白い。


”キリッ”と走るレスポンスの良い164と、

ランチア・カッパは”はんなり”としなやかに走る。

このアタックとリリースの感覚が、

オーディオの音楽表現設計に役立つのだ! 


普通は、現車を見て、試乗してみて、買う! 買わない! を決めるのだが、その日は乗りもしないで買う事にした。どんな仕事をするのか、その人の話を聞いただけで判るようでなければ、こんな古い車を買う事等出来ない。後のコンディショニングを含めて買うのである。

こうした買い方の使い分けが、売り方の勉強にもなるのである。どちらも訓練しなければ、相手の内面まで分かるまでにはなれない。損も何度となく経験しなければ、成功への道や法則性が身に付く事はない。人生は常に勉強であり修行なのだ。

その社長にアルファ164も買った事を告げると、

『自分も4台ほど乗り継いだ』と教えてくれた。

頼もしい限りである。

「よく壊れますか?」

と、尋ねると・・・


『よく壊れるのではなく、164は最初から壊れているよ!』

『夜の雨の日には何かのトラブルに見舞われるから・・・』


「そんな、脅しを聞かされていたのだ・・・」
 
そして、数日後には電車に乗って立川の先まで164を取りに行った。

その帰り道で急に夕立が降って来たので、早速ワイパーを動かした。

4〜5回は何でもなく動いたが、すぐに左のブレードと右のブレードがカマキリのように喧嘩し始めたのだ。応急処置をしようにも道幅が狭い片側1車線で、後ろは数珠つなぎで停車しようにも出来ないのだ。

意を決してハザードを点灯し、車を歩道に半分ほど乗り上げた状態で止めた。左手でワイパーブレードを押さえつつ、右手でワイパースイッチを止めたいのだが、例によって窓が壊れているので手が届かないのだ。後ろの車には申し訳ないが待って貰った。無理やり押さえ込む形でカマキリの喧嘩は収まった。

ノークレームが条件での販売、と書かれている書面にサインをしたばかりだからどうしようもない。しかし、基本的な動作部分の良否はしっかりと告げておいて欲しいと思ったが、最初の何回かは実際に動いたから先方も不備には気づかなかったのだろう。しかし、実際にあった事だけはその場で電話して伝えておいた。

そんな事も織り込み済みだから、

愚痴らないし気にもしない。

人生にハプニングは付きもの、

だからこそ楽しいのだ!


今の時代、こんな考え方の人間がどれくらい居るだろう?!

恐らく、極端に少ないのではないだろうか・・・

現代人は打たれ弱い人間になってしまっているのだ。


色々な事に出くわしながら利口になって行く。

164をドックに入れて健康に太鼓判を押せるようにしてやろう。

164の事を勉強しながら付き合いたい

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