ALFA ROMEO 164を加速度組み立て
カイザーサウンドのお客様には、オーディオと同等かそれ以上に車が好きという方が多い。加えて、私自身の車遍歴も多分に影響しているのか、ラテン車好きが少なくないようである。
そんなラテン車ファンの皆様には、あのアルファはどうなったのかとやきもきさせたかもしれません。ご心配なく、少し遅れましたが、今までの経験をフルに活用させてチューニング中です。
7月にゲットしたALFA ROMEO 164だったが、点検整備等諸々の事情で加速度組み立てを施すのに3ヶ月以上掛かってしまった。最近は新品のタイヤではいきなり行わないようにしている。
わざと遠回りしているのは、データーやノウハウ、スキル等を失敗も含めて沢山手に入れたいからだ。この164もカッパと同様に二段構えで加速度組み立てを考えている。
現在付いているタイヤは残り溝こそ充分だが、数年近く前のタイヤ故、ゴムの硬化が進んでいる模様だ。予定通りというか、カッパにタイヤを新調したのでその外した物を164に充てがおうというものだ。
164の加速度組み立ては、
カッパの時とは対照的に全てが上手く進んでくれた。
人生同様、迷う事もあればトントン拍子に行く事もある。
ボルトの左右前後の位置の選別時に、
思わず「オオッ!」という声を発した!
素晴らしいボルトに驚いたからだ!
手にした感触と輝きがまるで違う!
このコーナーではお馴染み、タイヤ屋のトドちゃんも、
締める時の手応えが明らかに違うと言う。
ボルト一本一本にも本物を奢るこの164が、
どんな仕上がりを見せてくれるのか?!
加速度組立後の運転が楽しみだ!
carviewに於ける164に関するレビュー
その前に164が如何に魅力的な車であるかを物語るコーナーを紹介したいと思う。carviewというウェブには以下のような評価がずらりと並ぶ。今夏に私が164を瞬間買いした時は、恥ずかしながら164という車の存在すら知らなかったのだ。用意周到に下調べしてから買うのではなく、運命、出会い、感動、一期一会を大切にしたいと常々思っている。
・運転が楽しくなる
・官能的な3L V6エンジン
・フェラーリよりエンジンがよく回る
・エンジンの音が素晴らしい
・快速、快適、快音と何拍子も揃ったセダン
・五感に訴えかける乗り味は他では有り得ない
・ピニンファリーナデザインの素晴らしさ
・所有した者にしか分からない
更に素晴らしい車へ164が大変身!
3リットルのサルーンでありながら164の走りはクイックレスポンスで、ライトウェイト・スポーツカーのような走りをする。生れつき駆けっこが好きな子供のようだ。そこが164の最大の魅力だと思う。これに若干のしなりと粘りが加わってくれたら申し分ない。これが今回のチューンの目的だ。
果たして164はどう変わったのだろう・・・。
元々車が持っている方向性こそ同じであるが、
ここまで上手く行くものか!
嬉しい方に私の予想は外れてくれた!
かっ飛びの走りはそのままに
首都高の複雑なカーブや路面に、
ピタリと吸いつくように走る粘り腰には、
本当に驚かされた。
コントラストが見事に噛み合った!
さしずめ相撲なら、すり足の稽古が実ったと言うのだろう。
座りの良いモケットシートの恩恵も大きい。
行き止まり故、車の量が極端に少ない目黒線では、
車線変更やコース取りを好きにさせて貰える。
ワインディングロード走行は最高に楽しい。
最近の3Lクラスの車重は1,700kg超が相場だが、
164は1,420kgと軽いのでキビキビ走るのだ。
アクセルに触れただけでトルクフルにグイグイと加速する。
マフラー内に触媒が全く無いと感じる程の抜けの良さだ。
それにしてもよく吹き上がる。
ミッションが繋がる時のフィーリングはまるでマニュアルのようである。シフトアップする度に、「ウィ〜ン♪」と、エンジン音が心地よいサウンドを奏でる。「車はこうでなくっちゃ!」と、思える瞬間である。
164のハンドルの手応えには覚えがあるのだがどうしても思い出せない。調べてみるとラック&ピニオン式とある。シビックのハンドルがその方式だったのを思い出した。適度な重さのステアリングフィールは最近の車には無い素晴らしさがある。車を実際に操舵しているというこの感覚は30年以上忘れていたものだ。
己の力で動かす感覚がこんなにも嬉しいものだろうか・・・
自転車に初めて乗れた時の喜びにちょっと似ている。
'90年代の車はとても魅力的
初期型の164/'91式はSOHCのシングルカム。本当によく回るエンジンである。しかし、良い事ばかりではない。大のガソリン食いなのだ。知るのが辛いから一度も測った事はない。魅力ある走りに惹かれて、半分はただドライブするだけの為に給油しているのである。
傍から見ればなんと阿呆なことだろう!(造った奴も阿呆だ!)
こんな事は過去になかった事だ。
ここまで来ると、○○症候群という新しい名前が誕生するかもしれない。
(誰かこの病気に名前をつけてやってください!)
65歳にもなると一日一時間がとても貴重に思えてくる。若い時とは違った味わい深さがあるのである。エンジンが脈打つ瞬間、コーナーを駆け抜ける瞬間、車に鞭打ち加速する瞬間・・・、ひとつひとつがまるでスローモーションのように皺だらけの脳に刻まれて行くのである。
そんな一期一会とも言える貴重な価値ある時間へ向けて、スロー・ラヴしたいとの欲求の表れではないかと自分を見ている。この始末に負えない浪費は、この先どんな肥やしになってくれるのだろう・・・。
それにしても、この大都会で164の走っている姿を今までに一度も見かけた事がない。それぐらい珍しい車だが、私の164は走行21,000kmしか走っていないので尚更貴重である。恐らく日本国内では一番コンディションの良い164なのではないだろうか。
そんなアピール力満点のこの164は、
アルファ乗りの視線を釘付けにする力を持っている。
気分が良いではないか!
ちょっぴり悦に入れる瞬間だ!
今の時代、古い車に愛情を注いで大事に乗るのが粋なのだ!
進化するコンピューターによって、無人運転が可能となる時代が遅くない内にやって来るだろうが、惹かれるものは何一つ無い。技術革新という点では否定しないが、そんな事が夢であり価値があるなんて世の中に持って行こうとするならば、「愚かなるは人間なり!」と結論づけたい。
人間を劣化へと導くだけだからだ。
車だけではない、オーディオ然りである。
人は何を手に入れ、何を失うのか・・・
時代や世間に主導権を委ねてばかりでは、
己の人生を悔いるだろう・・・
アルファを運転していると脳髄から抹消神経まで、私の感覚がどんどん研ぎ澄まされて行く。電子化、自動化がヒートアップする現代の車とは逆に、このアルファは時代に逆行している分だけ、私の知覚と身体が退化するスピードをワインドアップさせてくれているらしい。
深夜の都心を駆け抜けながら、
老いぼれたくない!
と、悪あがきし、一人吠えるのだ!
「アルファ万歳! 万歳、ローゼンクランツ!」