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クライスラーのHEMI 5.7L エンジンの虜に

二つの新製品、Sound Revolverと電源コンディショナーの性能テストとセッティングを、志賀高原のK.Y氏宅で行う事になった。ここでの仕事はアグレッシブそのもの。もっぱらカイザーサウンドの志賀高原研究所的要素が色濃い。

現地での仕事は設計担当の息子に任せるているので、私はいつもリクライニングチェアーで休憩させて貰っている。今ではそれがルーティーン化してしまった。それは道中の運転に徹する為でもあるし、音の冷静な判断をするのに都合が良いからでもある。

いつもは一泊するのだが、今日はサウンドワークスの中川社長も一緒なので、息子と3人の日帰りドライブとなった。かくして、クライスラー300Cの能力テストを兼ねたロングツーリングの初機会を得たのである。 


志賀高原では、本場のそばを食するのがもう一つの楽しみとなっている。

数店あるそば屋は、どこもそば畑直結の手打ちだから、その香りと歯応えは最高だ! この北志賀のそばをそばと呼ぶなら、一般に口にするそばは、そばの姿こそすれど、まるっきり別の食べ物としか思えない。それぐらい味に天地の開きがある。

夏休み真っ盛りのその日は子供連れの車が目立った。こういう時は高速慣れしていないドライバーが出没し、中途半端な速度で追い越し車線を延々と走ってくれるから車の流れが一気に悪くなる。そばの元祖栄忠の予約時間もあったので、その日は急ぐ必要があった。

登坂車線から抜くべく左にレーンチェンジすると、
 
碓氷峠(うすい)のきつい勾配をもろともせず、

豪快な登坂力で一瞬にして抜き去ってしまった。

これには唖然とするしか無い!


購入前は、燃費の面で3.5Lモデルに傾いた時もあったが、この場面一つで5.7Lにした決断に我が意を得たのであった。速いのは勿論だが、HEMIの怒涛のビッグトルクには驚かされた。

甲子園初登場の江川の唸りを上げる豪速球を思い出した。

快速球とはちょっと違って、

豪速球は砲丸のようで手も足も出ないのだ!


アイドリングに毛が生えた程度の1500回転で80km/hが可能である。100km/h巡航時でも1700/rpmでO.K。ランチア・カッパは2200/rpmだからその余裕感は呆れんばかりである。息子と中川氏を乗せて志賀高原まで一気に走った。2トン近くもある車体を軽々と走らすHEMIエンジンには感服させられっ放しであった。


ある速度域に入るとアクセルなど踏まなくても走るのだ!

慣性力だけで走っている感じである。

高速道路でも2000回転を上回る事はない。

この王者の走りと風格は、The Voice Of Theater と言われた、

アルテックサウンドときっちりと符合する。 


HEMIエンジンはアメリカ人の誇りだそうだ。

キャデラックやリンカーンのオーナーであっても、

HEMIエンジンだけは憧れの存在なのである。


どこまでも余力を残して走っている! ボルトが70メートル辺りから力を抜き、後ろを見やりながら笑みを浮かべて走っている光景を思い起こして貰うのが一番分かり易い例えだろう。

かのマセラティーがHEMIを積むとの噂を最近耳にした。フィアット・クライスラー社となった今では何の不思議でもない。現にランチア・イプシロンがクライスラーブランドで売られているのだから・・・

HEMIエンジン恐るべしである。

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