エンジン洗浄後初となるランチア・カッパの長距離クルージングが突如降って湧いた。富山と名古屋の車絡みの用事を一気に済まそうという無謀なプランである。状況・体調次第では宿泊も勿論考慮に入れている。
果たして体力が持つのか?!
そんなことはお構いなし!
真っ暗な空の東京を2月3日午前3時に出発した。前夜は途中で目を覚ます事無く熟睡出来たから体調は稀に見るグッドコンディション。心配した長野・新潟県境の妙高高原の峠も雪の量は驚くほど少ない。
ルートはこうだ。
関越道 → 上信越道 → 北陸道 → 東海北陸道 → 新東名
三つのアルプスを反時計回りにぐるっと一周する形である。
富山には10時に着けばよかったのだが、8時に既に魚津まで来ていた。その間ランチアは快適な走りを見せてくれた。高速クルージングこそランチアカッパの魅力が満開となる時だ。走る宝石と言われるランチアは、京都風に言えば、たおやかではんなりした乗り味なのだ。
有磯海SAで朝定食を頂いたのだが、飛びきりの美味しさだった。さすがは魚の宝庫と言われる富山だけのことはある。フォッサマグナの糸魚川も過ぎているから、ここは60Hz関西圏の影響の方が大きいのだろう。小鉢の盛り付けと上品な味は京料理そのものと言って良い。サービスエリアで逸品を味わえて嬉しい事この上なし。
Benz W124-300TE
ベンツが「最善か無か」の精神を貫いた最後のモデルとされる、W124-300TE目当てで富山にやって来た。メンテナンスが細部まで行き届いてるのが分かるように、交換した数多くのパーツが取ってあった。
あろうことか、リフトで持ち上げた車の底から指さしながら隅々まで説明してくれた。揺るぎない自信と仕事っぷりを感じた。人も含めて本物を見つけたり出会うには、本気になって自らの足で行動するのが一番である。日本海まで足を伸ばした甲斐があった。
これには伏線があった。直前に手に入れたW124-320TEが僅かだが私の思いと違っていたのである。残念ではあるが、それは私の勉強不足が招いたことであった。
そこで私に思いっきりスイッチが入ったのだ。
『電話があって、その翌日に即行動とは・・・
何というフットワーク・・・』。
富山と名古屋のお二方は驚いていた。
白川郷
さて、昼も過ぎたので次の目的地名古屋に向けて出発。東海北陸道を通るのは今回が初めてだ。山深い景色に釘付けとなる。最近買ったばかりのミラーレス一眼レフで走行シーンを動画に収めてみた。臨場感のある映像が撮れていてこれまた満足である。デジタルの世界は日進月歩で技術革新が本当に凄い!
白川郷の合掌造りの集落にはかねてより行ってみたいと思っていた。その山深い地形には本当に驚かされた。通信も交通も発達していなかった時代に、この孤立した環境での生活は大変だったろう。人々の生きる強さや助け合いの大切さについて改めて考えさせられた。
さて、次の目的地の名古屋に17時に着くにはそろそろ出発しなければならない。宿を取って地元の人達とゆっくり触れ合ってみたいとの思いに後ろ髪をひかれつつ白川郷を後にした。
BMW 525i Touring
名古屋にはBMW 525i Touring M Sport Limitedがお目当てだ。何故このモデルなのか! と問われても閃きとしか答えられない。何せBMWに関しては全く無知なのだ。しかし、これまた出色のコンディション。
それにしても皮肉なものである。よく見かけるベンツとBMWは意識して避けて来た私なのに、ここに来てどちらも初物である。昨夏のアメ車然り、私のへんくつと意固地もここで白旗を上げつつある。
残りの人生を意識し始めたのかもしれない。あれも知らない、これも知らない、でこの世とお別れするのは忍びない。そんな気持ちがぼちぼち覗き始めたのだろうか・・・。
さてさてどんな結末が待っているのだろう!?
妄想の嵐に襲われながらの1.000キロ超の日帰り強行軍であったが、ランチアのドライブで疲れを感じる事は微塵もなかった。ラグジュアリーカーとしての面目躍如といったところだ。
次のオートマ洗浄でどれだけ伝達駆動力が向上してくれるのか楽しみである。