ラテン車好きのT氏からプジョー605の中古情報を教えて貰った。
605は12年ほど前に所有していたが、買ってすぐに手放したほろ苦い思い出が残っている。ある人物の影響で急にマセラティが欲しくなり、その購入資金の犠牲となったのが理由だ。
その時の不完全燃焼を払拭したい!
そんな気持ちがどこかで燻っていたのだろう・・・
それが証拠に、すぐに見に行った!
シートに座った瞬間に反応した!
脳内の快楽細胞が刺激されたのだ!
シトロエンXM、プジョー605、ルノーサフラン
フランス車に共通する血統に違いない!
石畳の路面から生まれた必然なのだろう・・・
その軟らかい優しさは母性の類かもしれない・・・
ハンドル操作も楽しい丘陵地を走らせて貰った!
そのフットワーク身のこなしに魅了された!
605の魅力は運転する楽しみを味わえる事だ!
その点ではアルファ164と共通するが、
そちらは男度が少し強い。
605は中低速のパワーバンドと実働域の塩梅に魅力がある!
ドイツ車には能力や実力という言葉の方が似合うから不思議だ。
猫脚と称す足回りはフランス車の中でもプジョーにのみ許された言葉だ!
早速、ライブラリーに加わった。
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虜となったランチア・カッパも同じラテン車だが、気付くとそのチューニングには車両代の倍を超えるデート費用をつぎ込んでいた。彼女との蜜月は今も続いている。それと双肩するほどのパフォーマンスを、『私の方が魅力的でしょう?!』とばかりに605は踊って見せた。
タイヤは12年前のモノで、細かい亀裂が入りゴムの弾力は殆ど失っているはずなのに・・・
そんな馬鹿な・・・?!
如何にプジョーの足回りが優秀とは言え、
それだけでこんな走りをする訳がない?!
きっと、車好きの主人に可愛がって貰ってたのだろう・・・。
カイザー指標センサーが狂ってしまったか???
いずれにしても信じ難い事である!
そんな嬉しい誤算のまま半月ほどが経った。
明後日には車検に持ち込まなくてはならない。
新品のタイヤに交換する前にしておきたい事があった。
おんぼろタイヤに加速度組み立てを施し、
一日だけでもその走りの違いを見てみたいのだ。
その前に現状のタイヤ・ホイールのマッチングと、
方向性のデーター取っておこう。
有ろうことか!
4本のホイールの配置場所が完璧だったのだ!
タイヤのペアリングもしかりである。
手直しを要したのは後ろの左右タイヤを入れ替えただけ。
ホイールとタイヤの方向性
もっと驚いたのはホイールとタイヤの方向性だ。
重心の偏心によって起きる振動の抜けて行く方向の事である。
(Why does the direction of note vary? 4:56から御覧下さい)
前輪の位相角度が理想に近い形で揃っている。
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何十台と加速度組み立てをやったがこんな偶然は初めてである。
これぞ、 thousand of thousand!
100万分1の確立でしか誕生しない、
命中率の高い拳銃のことを言うのだ。
だからこその乗り味だったのだ!
その謎が溶けたことで私は安堵した。
改めて私が理想とする四足動物の走りをイメージした加速度組み立てを施したものとの比較をしてみた。上下動の関節の柔らかさに比べ、前へ進もうとするGの力は僅かに物足りなかったのだが、いつもの抑揚感が芽生え更に気持ちの良い走りへと進化した。ひとつ試みる度に確信の度合いが増してくる。
偶然の産物ではなく、thousand of thousandを狙って手に入れられるところまで加速度組み立ての精度が上がってきたのである。音のカラクリの研究の延長から始まった車の加速度組み立ても佳境に差し掛かって来たようだ。
この位相角の組み合わせも、色々なパターンを今後も試みたい!
明日は新品のタイヤで改めて加速度組み立てを行いたい!