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AC-Music Conductor試聴記



 われ雷撃さる

 木曜日に例のブツが届いた。

 この悪魔の使いたる黒蛇は今までの黒蛇よりもスリムになり赤い縞が入っている。

 最近の細いニシキへびとも違う衣装。

 この赤い縞に毒を含んでいるのか。

 早速、悪魔の使い「コンダクター」を繋いでみる。

 事前の通告のとおり音楽の体をなさず、各プレーヤーがめいめいバラバラに演奏している感じだ。

 「ほれ、やはり悪魔の使いだわい。」と、そのまま30分、犬の散歩に出た。

 帰ってきて、どれどうなってるかなと再度スタートさせようとすると、

 なんと熊本の友人からの電話。出張でこちらに来ているから出て来いとのこと。

 こちらへの出張は滅多にないことなので、仕方なく夜の街へ向かいその日はそれで終わってしまった。

 翌金曜日は今日こそ!との意気込みだったのだが今度は上司からお誘いの電話。

 宮仕えの悲しさ、断るわけにもいかず、またまた聞けず仕舞い。

 神様の「汝、悪魔の声を聞くなかれ。」という無言のメッセージかもしれぬ、と、勝手に納得して大人しく床に就く。


 そして土曜日、いよいよ悪魔の使い、赤縞黒蛇との対決。

 朝から電源を入れておき、用事を済ませて、盤選び。

 
このコンダクターはカオスからロゴスに至るということなので、

 
それにふさわしいソースとしてかつて「悪魔に魂を売った」といわれていたころのサンタナに決定。

 
71年発表のサードアルバムだ。

 
1曲目、ものの10秒で衝撃が走る。

 
ラテンパーカッションが物凄いスピードで乱れ打ち、

 
そして、そのカオスは一糸乱れぬロゴスの世界へ、

 
陶酔のアンサンブルへと変化していくではないか。

 
「おお、す、凄い!」たかだか10cmのフルレンジスピーカーが、

 
まるで大型ホーンのようにラテンの男の雄たけびを上げる。

 
システム全体が数レベルも高い装置に入れ替わったようなさま。

 
こんな変化は初めてだ。

 
もう信じられない、声にならない、脳天を穿たれてしまった。

 
これは衝撃どころじゃない「雷撃」である。

 
それから寝食忘れて深夜まで聞きあさったのだった。


 翌日曜日はマーラーの9番を聴いた。

 90分ある長大なシンフォニーが全然長いと思わない。

 まるで今いる空間のディメンジョンが3次元にわたって3倍くらいに広がって聞こえる。

 この音はかつて聴いたことがあったなと記憶を手繰り寄せると、

 思い出した、あれはGOLDMUNDのン百万のアンプで巨大なMcINTOSH XRT-26を鳴らしたときのあの感触だ!。

 その領域に自分の8ワットの真空管アンプと10センチのフルレンジスピーカーのちっぽけなシステムが踏み込もうとしている。

 そう考えたら安いなあ・・・・貯金でも下ろすか、

 と、結局はあっさりと悪魔の使い、黒蛇、いや天の使者、黒い龍に白旗上げて全面降伏。

 おまけに貝崎さんは次は革命的な電源タップが控えているという。

 丁度、AC ConductorとAC-DA614でACケーブルが2本遊ぶことになる。

 この二匹の黒いドラゴン(陽)が新しい相手(陰)を求めている。

 ああ、困った困った。。。


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