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その37 「喧嘩相手のいない寺島さんは酢漬けのイワシみたい」


 「寺島さ〜ん、カイザーです」。

 『どうしたんだよ〜、カイザーさん!、めずらしいネェ』。
 
 「本当にすみません」。 

 「アバンギャルドを聴きにお邪魔させて頂くのを楽しみにしていたのですが、

 何せ忙しいもので延び延びになってしまいました」。

 「もう大丈夫です、すっかり一段落しましたから」。
 

 「それはそうと、この最近文章に迫力がないですネェ、特にアクセサリーの113号あたりは・・・」。

 『そうなんだよ!、この最近刺激が無くって』。

 「それはいけません、私が今回BIG JAZZのリターンマッチに伺いますから」。

 『久し振りにカイザーとバトルをくりひろげるか?』。

 『ほ〜ぉ、そしてまた、何かいい物作ったかね?』。

 「出来ましたよ!、ボス(親分)という名前のインシュレーターなんです」。


 「それはそうとアバンギャルドの音は、盟友だった安原さんと寺島さんと私の三角形の真ん中にある音だと思うんですけどどう思われますか?」。

 『そう言われてみるとなんとなく分る気もするネェ』。

 『カイザーさんはアバンギャルドのあのスカッとした抜けるような音は好きでしょう?』。

 「はい好きですよ」。

 「そのアバンギャルドは上手く鳴っているんですか?」。

 『そうなんだよ、あんまりにもすんなりいい音で鳴ってくれるもんだからする事が無くて困っているんだよ』。

 寺島さんにしては、信じ難いような言葉が返ってきました・・・。


 「いつお邪魔に上げればいいでしょうか?」。

 『ちょっと待ってね今予定表を見るから、今月だったら23、24、25が空いてるけど』。

 「分りました、それでは23日の2時ごろでいいですか?」。

 『広島からわざわざ来るんじゃないだろうネェ』。

 「いいえご心配なく東京からです」。

 『じゃぁその時、カイザーさんの本音の感想を聞かせてよ』。

 久し振りの寺島邸で何が起こりますやら・・・。


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