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「耳と口の関係」


 耳が先にあって口がある

 その人の耳から入った音は耳骨の形状や鼓膜の厚さ、また頭蓋骨の形等によって聞こえ方に微妙な違いがあるようです。それは25年間ステレオ屋をやってきた多くの体験の中から至った考えです。親子や兄弟の声が似ているのは、同じような聞こえ方をしているからこそ声が似てくるのです。すなわち耳と口は一体の関係にあり、常にゼロバランスを保っていると思います。

 耳と口とは逆相関係

 そして、その耳と口の周波数スペクトラムの関係は逆相関係にあるようです。ちょうど低音を圧縮して記録した物をフォノイコライザーアンプの逆相カーブによってフラットにする仕組みとよく似ています。また、ノイズリダクションの様に高域を持ち上げて記録した後、下げるのも同じメカニズムです。

 好みの差よりも耳の構造による違いが大きい

 少音量でも音楽を充分に感じ取れる高性能な耳の持ち主は、その振動膜が軽く、速く反応します。スピーカーでいう所の高能率タイプに当てはまります。逆にその反対の人は、大音量にしなければ満足出来ません。したがって、同じ音を聞いても感じ方が違うのは決して好みの差ではなく、耳の構造や性能による理屈の違いだと思う部分が今の私には強いのです。 

 高性能なマイクロホン(耳)の持ち主こそ、オペラ歌手などに見られる声の通りのよい人です。豊かなダイナミックレンジを感じ取れる耳があって初めて、迫力のある歌声が生まれるのです。

 レコード会社による音の違い

 そのスタジオのレコーディングシステムの特徴が音に出るのはいうまでもありませんが、一番の大きな要因はレコーディングエンジニアー自身の耳の性能によるものと考えます。周波数バランス、エネルギーバランスに違いが出るのは、あくまでその人にとってのウェルバランスで録られていると思うのが常識的な見方でしょう。

 ステレオのセッティングにも現れます

 それを証明するもののひとつとして、どんなオーディオシステムであっても調整した人のキャラクターが音に出るものです。これは私自身がお客さんからよく言われることでもあります。不思議な事ですが、機材がまったく違っても同じような音楽表現になります。


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