トップ情報シトロエン・CXというパンドラの箱を開けてしまった!>アンビリバボーなシトロエンCX '87

アンビリバボーなシトロエンCX '87

シトロエン好きな私

私がシトロエン好きだという事はこのコーナーで色々と書いているので、皆さんよくご存知だと思います。その中でも'90以前のオールド・シトロエンだけには絶対手を出さない! と自分の中で決めていました。その理由は二つあります。魅惑のデンジャラスゾーンに足を踏み入れない事と、部品調達の難しさによるメインテナンス面の不安です。

シトロエンの本当の魅力はCX・DSにあるとよく言われています。シトロエン・フリークから聞かされる、その乗り心地と走りの魅力が、私にとっては麻薬に等しいからです。

それはそうでしょう!

空飛ぶ絨毯!

走る宇宙船!

地の果てまで走りたくなる!

フランスの誇り!

大統領が乗る車!

とにかく、CX・DSは別格だと聞かされますから・・・。

当時はCX・DSなんて車種の事など全く知らず、C.Gの小林彰太郎さんの、エグザンティアが最高だ! 実際にプライベートでも乗っている! その一言に感化されて始まったシトロエン病ですから。

一番最初に乗った'93エグザンティア・左ハンドル仕様の乗り心地と走りは未だに忘れられません。4年落ち位で買った記憶がありますから、シトロエンとの付き合いが始まったのは'97だと思います。その後に乗った'94XMセダンも勿論良かったですし、2台同時に乗っていた'94XMブレークも最高でした。


オールド・シトロエンはご法度

シトロエンの故障に関する話題なら事欠きませんが、その中の一つのエピソードをお話しましょう。数年前の深夜の1時頃、群馬の山奥をXMブレークで妻と一緒に走っている時、運悪くエンストし、まったく動かなくなってしまったのです。仕方なくパーキングエリアに車を放置し、タクシーを呼んでホテルを探したのですが、山奥であるがゆえ適当なところがなく、二人で近くのラブホテルに泊まった事があります。

50半ば過ぎてバツが悪かったのでしょう。その時に妻からきついお灸をすえられたのです。『2台も3台も持たないで、高くても壊れない車1台にしたら!!』 その事があるから、オールド・シトロエンはご法度なんです。如何に誘惑されようとも、日光の三猿になるしかないのです。

山の神に角が生えたのも、3年で修理代に250万以上突っ込んだという前科が伏線としてあったからです。もう一つ購入に踏み切れぬ理由があります。オールド・シトロエンは車高がぺしゃんこに下がるので、我がマンションの機械式駐車場に入れられないのです。

その使用不可の実例を作ったのが外の誰でもない私だったのです。パレット式の駐車場に初めてXMを入れた翌日の事です。車を出そうとすると・・・。

『ご迷惑お掛けします。只今修理中なものですから・・』
『あと一、二時間掛かりそうなんです』

「機械式はこういう時が困るなぁ!」

『申し訳ありません。入庫後に車高が下がる車が原因で故障してしまったのです』

「ひょっとして、○○○○番の車ですか?」

『はいそうです!』

「私の車が犯人だったの?!」

それ以来、XM用として外部に駐車場を借りていました。だけど、人生いつ何があるか分からないので、今のマンションに入居以来、平置きの駐車場も空きが出たら借りようと思って申し込んでいます。もう随分前から私が一番権利を持っているのに、9年経った今も空きは出そうもありません。


C6ディーゼルを終の車にしようと心に決めていた

C6ディーゼルを'11/1月頃試乗した時に、低速時の粘り強いトルクにとても魅力を感じました。一番残念なのはセダンしかなく、仕事車として使いたい時に載せられる荷物の制約を受ける点です。それさえ除けば申し分ない車です。そんな長・短もろもろを考えた上で、この車を私にとっての終の車にしようと心に決めていたのです。

ある日、シトロエンC6ディーゼルの出物はあるかな?、と軽い気持ちでGoo Worldを見ていたところ、何に魔が刺したのか、CXを検索してしまったのです。100万〜150万位が大方の相場でしたが、どれも程度は悪そうだし、やっぱり'80年代の車は程度に問題ありだなと思っていたその時です。


CXという悪魔のささやきが聞こえる

何の因縁なのか、次をクリックしたら!
http://www.humannet.com/parnass/index.php?e=1602

アンビリバボーな、2オーナー30100Km
1987 シトロエンCXシリーズ2 ファミリアール

そんなキャッチコピーが目に飛び込んで来たのです。

こいつは良さそうだなぁ! しかし、その情報が公開されたのは7月17日だったので、とっくの昔に売れてしまってるだろうと思い、売れてくれてた方が諦めがつくから、半ば売れて無くなっている事を祈りつつ、又、残っていたらそれはそれで怖い物見たさもあってそわそわしてきました。

「CX、まだあれば見てみたいのですが・・」、とメールを入れると、翌日に、まだあるという電話での返答です。『私、今広島にいますが、明日には東京へ帰りますので是非見に来て下さい』。

「えっ! 広島! 私も広島ですよ!」

『両親が広島で子供の頃何度も里帰りしました。私の実家は己斐ですけど、貝崎さんは?』。

「横川です!」

『すぐ隣じゃないですか!』

「本当に奇遇ですね、しかし、こんないい個体がどうして残っているんですか?」と訊ねると、

セカンドカーとして使って貰える事、屋内車庫保管が出来る人に譲って欲しいというのが、この車のオーナーの意向なんだそうです。そんな条件を満たす方は中々いなくて既に12人も断ったというのです。何ともハードルの高い車です。

本当に大切にされていた事が伺えるエピソードです。

ステレオでも同じです。私もつい最近大事になさっていたスピーカーの売却を任されたので、そのお気持ちがよく分かります。分かるだけに、そんな話に私は弱いんです。


逃げも隠れも出来ない時がやって来た

「では、○○日に伺いますから、CXとC6ディーゼルの両方拝見出来るよう用意して頂けますか?」。

そう、お願いした言葉の裏には、二人の恋人を前にした時に、果たしてどんな行動を取るのか? 自分で自分を知りたいが為に、自分を実験台に載せて見たかったのです。

問題を起すのが怖くて、何の意思表示も出来ないのか?

あるいは、熟・若どちらかを、お姫様抱っこするのか?

当日がやって来ました。ル・パルナスさんの事務所に伺いますと、CXとC6ディーゼルが2台並んでいます。思わず2台とも下さいと言ってしまいそうです。CXの状態を窓ガラス越しに見ますが、本当に信じられないコンディションです。

エンジンルームを見せて貰って二度ビックリ! ベルト等、今交換したばかりと言っても通用しそうなほどピカピカです。ほこり一つありません。もう一度言います。本当に信じられない程度の良さです。"アンビリバボーなシトロエンCX"の言葉に偽りはありませんでした。

果たして、そのお値段は?!

すべてぶっ込みの300万です。

なるほど、世間にある物に比べると2倍〜3倍ですが、その輝かしい固体の価値を考えると安いと思いました。それより何より、お金を幾ら積んでも、これだけの物を探し当てる事の方が遥かに難しいと思いました。

従って、こうした物には相場など無いのです。欲しいと思った値段! 売っても良いと思った値段! の合意が売り値であり買い値なのです。そういう意味から考えると圧倒的に安いと思います。一先ず、買います! という返事は喉の奥に引っ込めたまま試乗させて貰いました。


私自身の内部に、凄い収穫が蓄積し根付いていた事を発見

1年前に試乗した時のC6ディーゼルの印象は別格だとさえ感じた筈なのに・・・。今回は特別これは凄い! とも何とも思えず、ごく普通にしか感じなかったのです。個体差でそこまでの差があったとは思えないし・・・。という事は、知らず知らずの内に私の車に対するコンディション作りが、高いレベルに成長していたという事実を自覚する場となったのです。

我ながら、今乗っているカイザーオペル号とプジョー407Sは恐るべき調教だと思いました。ステレオという人間の感情を表現する高度な装置を日々触っている事が、ここまでの高みに昇っていたのだという事を、ステレオではなく車で証明出来たというのが、何とも皮肉ではありませんか!。

これは凄い収穫です。CXという超レアーな価値を手に入れる事もさる事ながら、知らない間に説明のつかない感覚を掴んでいたとは、自分でも驚いていています。

伊達に車にも金をつぎ込んではいなかったのです。車の足回り乗り心地に、振動の時間軸を覚え、ロングツーリングという時間の経過の中で快適性というフィーリングをも掴んで行ったのは、音楽のメロディーや調和にも繋がる事であったと確信を得た次第です。

その結果は、言わずもがな、即買いでありました。

C6ディーゼルもいつかは乗ってみたいと思っています。


車庫も無いのに買った強引さが、9年越しの駐車場を引き寄せた

最後に、奇跡的出来事があった事を皆様にご報告したいと思います。CXを購入する事は決めたものの、未だ駐車場の確保が出来ていません。

それは当たって砕けろ! と考えておりました。

平置き駐車場の持ち主の方に、○○号室の者ですが、"折り入ってお願いがあります"、というメモをワイパーに挟み、謝礼金で権利を譲って貰うべく、平身低頭行動を起そうと考えていました。○○万円だったら了解してもらえるだろうか? □□万円まで出そう・・・、頭の中には具体的金額までしっかりとイメージしていました。

すると奇跡が起こったのです。買うと決めた僅か三日後に、管理人室から"ピンポーン!"とチャイムが鳴りました。何事かな? と思って受話器を取ると、『貝崎さん、平置きの駐車場が空きましたので、手続きをお願いします』という知らせだったのです。

9年待って空かなかった平置き駐車場です!

皆さん信じられますか?!

その話をすぐ、ル・パルナスの渋谷社長に電話すると、

『貝崎さん引きが強いですねぇ!』

『凄いですねぇ!』

「何か、持ってますかね!」

『車庫が確保出来て本当に良かったです』

『それとは別件ですが、私も音楽が好きですから、私の車にカーオーディオを着けて頂けませんか! ブログに色々と書いて行きたいので・・!』という話に発展したのでした。

車を愛するル・パルナスのお客様達にも、上質にチューニングされたカーオーディオで聴く音楽の喜びを知って頂きたいものです。

この話続きます・・・

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