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第9回 電気の時間軸について
 A&Vvillage 7月号 第62号 P64〜P65

貝崎静雄(カイザーサウンド)

 ● スピーカーアタッチメント誕生の秘話

  約12年程前、眼前からスピーカーの姿が消えるという触れ込みで当時話題になったスピーカーの話です。その名は「エクスカリバー」。マーリンというメーカーのフラッグシップモデルで背丈ほどはあろうトールボーイ。

  構造は8インチウーハーX2、3インチミッドX2、1インチドームツイーターX1の3wayバーティカルツインタイプ。その主な特徴は、タイムアラインメントも完璧なメカニカルフェイズを採用しています。さらにエンクロージャーの不要な反射波を嫌ってそのぐるりを黒のサランネットで覆っています。

ジャンパーケーブルから始まった研究


  ジャンパーケーブルの実験をしていて、あまりにも音のバランスが変わってしまうので困り果てていました。バイワイヤリング方式の走りの頃ですから、やる事なす事、初めてのことが多く、頭を抱える日々が続き立ち往生しておりました。

  そんな繰り返しのある日大きな発見をしたのです。それはどちらのターミナルからスピーカーケーブルを結線しようとも、片方には必ずジャンパーケーブルが直列につながる事は避けて通れないということです。そうであるならば、ダイレクトに信号が入る側にも同じようにジャンパーケーブルをその先端に継ぎ足してやった方が、むしろ条件が同じになるではないかという発想です。

  作戦はまんまと成功です。その時初めてスピーカーから出て来る音が一つになりました。今まではどうしても「ハイ!貴方低音」、「私!高音」というようにバラバラだったモノが不思議なことです。この出来事が後のスピーカーアタッチメント誕生につながっていくのです。そして、それから気の遠くなるような日々が続こうとは私には想像も出来ませんでした。


 ● ケーブルは「空気中で振動しても」、「電気を流しても」同じような変化

  15センチぐらいの長さで色々な線径のケーブルをブレンドしては聴きを繰り返しているうちに、ある一つの法則に気づくことになります。それは、線径の違いによってグラフィックイコライザーのように、音域エネルギーバランスが変化するということです。ですから、ある線径のケーブルを増やすと「テナーがアルト」のように変わったり、また線径のバランスが変わると、今度は逆に「アルトがテナー」のように変化したりするのです。

  今までは「太いケーブルは量感が出る」くらいの概念しか持っていませんでしたから、まさかこのような変化が音に現れようとは思ってもみませんでした。その時にとっさに感じた事は、ギターの弦をつま弾く時に太い線から細い線に移行するに従って音程が高くなっていく、丁度そのイメージなのです。
 

線径の太さと量に比例


  それから夢中になってその関係を調べる事になるのですが、結論としてはケーブルを「空気中で振動させた時も」、「電気を流した時も」、その「線径の太さと量に比例して音域エネルギーバランスが変化する」ということです。

線径とエコー成分の関係


  それと細い線を増やすとエコー成分が多くなります。その事は時間のずれが多くなる事を意味しています。そしてケーブルの長さが長くなるほどそれが顕著になります。またそれとは逆に、ある程度の太さ(0,4〜2,0ミリ)の単線を使うと、力強く締まった音で今度はエコー成分や揺らぎは感じなくなります。しかるに、このことは時間のずれが少ないということになります。

位相ずれを起こさない線径


  位相ずれを起こさない基本の線径は電話線に採用されている0.4ミリの単線にあると考えています。この太さが人間の「感情」を聞き取れる基軸となって構成されればしめたものです。ただ、感情以上の「魂」までも表現しようとしますと、もう少し低域よりにシフトしてやる必要があります。その肝心な「音楽の命」を伝送してやる為の線径というと、私の判断では0,6ミリという結論に達した訳です。それ以来ローゼンクランツではケーブルの基本を成す線径を0,6ミリにおいています。

ケーブルブレンドの難しさ

 
  元々楽器には色々な音の個性や表情を持っていますが、その多彩な表情をある一つの線径だけで出来たケーブルで表現する事は無理だということが、この一連のケーブルブレンド研究の過程から解ってきました。

  ならばその良いとされるブレンドされたケーブルそのもので、スピーカーケーブルを作ればいいじゃないかという考えが一般的な発想です。かのいう私もそう思いましたので、実験はしてみましたが、音のにじみが如何せん大きくすぐに頭が痛くなってきました。

  とてもじゃないが、ハーモニー点を見つけ出すことは難しいという感じ(尋常ではないストレス)が直感的にしましたので、結局この手の物は3本作っただけで止めました。それより、たった10数センチの長さで充分実験出来るわけですから、もっぱらその方法で毎日のように実験を繰り返したのです。


 ● スピーカーアタッチメントという物の考え方
線形の太さ (エネルギー) 順に並べる
スピーカーアタッチメント SP8N(Perfect)

  先ずスピーカーケーブルの先端に別のケーブルをわざわざ取り付けるという事に多くの方は先ず抵抗を感じるでしょう。出来るだけ余分な物は付けないというのがオーディオの基本中の基本ですから。ただ私の場合は色々と実験しているうちに、その方式に大きな可能性を感じたから出来る事なのですが、もしそうでない過去の私でしたら、人一倍口を”トンガラして”「とんでもない事だ」、と言い張っていたでしょう。


  それと似たような事が実は以前にあったのです。それというのは今では有名になったオーラルシンフォニクスのACケーブル(ML−CUBED)を輸入元の社長に勧められた際、聴きもしないで反論したものでした。「配電盤から壁コンセントまで安いVAケーブルで配線されているのに、元から換えないで末端だけ換えたって意味ないでしょう!」と。彼曰く、『まぁいいから!だまされたと思って聴いてみてよ!』。シブシブ差し込んで聴きました・・・。途端に!「これ売る!、沢山売って見せる!」、といって大量に注文していました。

  当時としては国産の機器は未だ100%ACケーブルの交換は出来ませんでした。ですからドリルで機器のシャーシーに穴を開け、その後ヤスリで削って苦労して取り付けて売っていました。そんな事をしてまで各メーカーにこれからは絶対必要になるから着脱式にするべきだと強く訴え続けたのです。

  私なりにこの音の良くなる現象をどのように解釈したら良いのかじっくり考えてみました。そして、混んだ一般道路からバイパスに入って一気に車が流れ始める時の状態を思い浮かべました。わずか最後の数キロであっても、車の流れがよくなればいい気分になります。ですから余分なモノと思い込んでいる事自体に落とし穴があるのであって、流れをいい方向に誘発するものであれば、プラスオンする事は大歓迎という考え方がその時以来出来るようになったのです。

E.T.C効果


  すなわち道路(ケーブル)というものは、車(音楽)がスムーズに流れやすいように作ってやる必要があります。盆や正月に高速道路のゲートが混雑しますが、スピーカーアタッチメントの役割はそのゲートの流れを促進する効果と考えていただければといいと思います。今で言うところのE.T.C効果によって一気に音楽が流れ始めるのです。

多彩な音楽表現


  それと常日頃から説明する時にもう一つの例えとして、水道のホースの先に取り付けるアタッチメントとしての役割もお話します。霧状の水であったり、ジェットノズルのような勢いのあるものであったり、音楽の場合のその多彩な表現を1種類のケーブルで実現することにはとても無理があります。

  その為に、ローゼンクランツのスピーカーアタッチメントは6種類の線径のケーブルから構成されておりますので、オールマイティーかつ、打楽器、弦楽器、木管、金管楽器、人の声とそれぞれの魅力を余すところなく存分に発揮してくれるのです。


 ● 「波動のモーメントの正体」を発見!

  線径の違うケーブルを何種類かブレンドして、長くしたり短くしたりして明けても暮れても試聴を繰り返していた時のことです。身体に電気が走ったように「ピタッ」と音が決まったのです。その時の長さが「52.5ミリ」でした。とうとう「波動のモーメントの正体」を発見したのです。

  それ以来「52.5ミリ」の長さの研究に没頭し、「振動の時間軸の研究」と平行しながら、「空間の時間軸の研究」、そして、「音楽エネルギーの波動パターン」=「カイザーウェーブ」へと発展して行くのです。


 ● 今までの常識が崩れ去る

とどまるところを知らないカイザー理論


  ケーブルの長さは必要にして最小の長さが良いと言われているのは明らかに間違いです。音にとって良い、必要な長さが存在しているのです。またケーブルがトグロを巻くのは良くないというのも正しくもあり、間違いでもあります。

加速がエネルギーを生む


  むしろ巻き方であり、重ね方によっては加速を生み、音楽にエネルギーが出てくることが発見出来たのです。これも「カイザーウェーブ」の原理の一つです。この事についてはこれからじっくりと研究していくつもりですから是非楽しみにしていて下さい。

  長さの違うACケーブルがあった時に、「CDトランスポート」⇒「DAコンバーター」⇒「プリアンプ」⇒「パワーアンプ」とこのように信号の流れの順に短いものから次第に長いケーブルをつないでやると音楽エネルギーが「ラベルのボレロ」のように高揚感が出てくるのです。

A&Vvillage 7月号 第62号 P64〜P65に掲載されています。

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郵便番号 135-0045
住 所 東京都江東区古石場2−14−1
ウェルタワー深川606
社 名 カイザーサウンド有限会社
担 当 貝崎静雄
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