2012.10.25 15:17 MSN[【石原都知事辞任表明】]
東京都の石原慎太郎知事は25日、都庁で記者会見し、知事を辞職して新党を結成、国政に復帰する考えを示した。一問一答は次の通り。
「お呼びかけしましたけれども、ありがとうございます。今日をもって都知事を辞職することに致しました。なんで辞めて、何をするのかということでしょうけれども。私はあしかけ14年、正確には13年と8カ月にわたって、都知事を務めて参りました。
日本の心臓部に当たる大都会の行政を監督する間に、ほかの県と違って、強いて言えば、日本の心臓部である東京の問題は日本全体の問題になる。それを踏まえ、東京のためだけではなくて、日本のためになる。
国との関わりに関しては、国の妨害にあって苦しい思いをして参りました。新党を作って、仲間を作ってやろうと思ってますが、これからやろうとしていることは、都知事として14年間やってきたことの延長です。
私は共産主義が嫌いでして、国父とされている毛沢東が書いた方法論「矛盾論」「実践論」がある。私も学生のころ見ました。 テキストがありまして、特に矛盾論。目の前にあるやっかいな問題ということだが、矛盾を解決するためには、目の前の背後にあるもっと大きな問題を解決しなければならないと言っている。まさにその通りだ」
【PDF号外】石原都知事が辞任表明
http://sankei.jp.msn.com/pdf/2012/10/20121025ishihara.pdf
発想なき中央官僚の独善 会計制度を世界並みに
「具体的な行政となると日本の財政はピンチというが、まだまだ余力がある。それを引き出せないし使えない。中央官僚が把握していながら、それを隠している。東京として国家との摩擦の中で感じてきたことは中央官僚の独善。発想力がないことが欠点だ。ないからこそ自分で責任を持って判断し、解決しようとしない。尖閣の問題でも全て官僚は自分の手で解決しようとしない。こうした通弊を変えなくてはならない。メディアは何で批判しないのか」
「また、国の会計方式は単式簿記だが、こんな会計方式でやってるのは北朝鮮とパプアニューギニア、フィリピン、マレーシアとかくらいだ。なぜ複式簿記にしない。なぜかほとんどの自治体も入れていない。外部監査を入れればいい。そういうことをどうして役人がやらない。経済界もうとくて歴代の経済団体の会長にいってきたが、『はあ』というだけでよく知らない。だからバランスシートがない。財務諸表がない。健全な財政ができるわけない」
「東京は複式簿記で合理化し、財政再建をした。何で同じことを国がやらない。会計方法を世界並みに変えたらいい」
教育、子育て、会計制度…石原知事、持論を展開「国民へ最後のご奉公をしよう」
石原知事の会見は続いている。教育や子育て、外交、国の会計制度など石原節が炸裂(さくれつ)する。
「それから、たとえば文部省(現・文部科学省)。これが主導したゆとり教育はどうなったか。たちまち学力が落ちた。私立は全く(文科省の)いうことを聞かなかった。自分の犯した過ちを文科省が取り消しましたか。そのばかなリーダーシップを」
「厚生省(現・厚生労働省)。子供が減って、人口が減って、都会で幼稚園作ろうと思ったら、国の規格ではとてもできない。(東京の地価では)べらぼうな値段になる。何で、国鉄がいろんな資産を持っている。(民間が)もてあましてる資産もあるから、そこで子供を遊ばせようと動いたら、猛反対を食った。土地の値段を踏まえた保育行政を国がやらなければだれがやるのか。一切、役人は現場を見ない。こういう行政が続いている」
「私が代議士のころから、横田の基地の問題がある。皆さん行ったことがないでしょ。行ってみろよ、みんな。アメリカ軍に占領される形でもある。何で活用できないんですか。(官僚は)『国防総省だけは刺激しないで』という。タブーってのはいろいろあるんでしょうな」
「(こうした問題は)国民全体のためになることだ。国民や市民を、国は全然無視。苦い経験から逃げてきたからだ。私はこれは限界に来たなと。私はいい年ではありますけども、中央集権を削除しないと受け入れられない。有志の方と協力して、大阪にも機運がある。徳川時代が終わり、中央は47都府県へ知事を派遣し、支配を徹底してきた。徳川時代以上だ」
「国は会計制度もやり直して、外部監査を入れたらいいじゃないですか。公認会計仕入れて、やらしたらいい。なんでやらさないのか。ちゃんとしたバランスシートでてくる。ちゃんとしたバランスシートもないのは、基本的に先進国は日本だけだ。性根を据えて、地方の役人と戦っていかないといけない、そうでないと窒息死すると、辞任を決心しました。国民へ最後のご奉公をしようと思っています」
「猪瀬さんで十分」 後継者に副知事を“指名”
東京都の石原慎太郎知事の記者会見は質疑に移り、焦点となっている新党構想や後継者の話に質問が集中した。
−−辞任の時期、新党結成の時期はいつ
「辞任の時期は今日ですよ。新党結成は昨日でも今日でも準備はできている」
−−次の衆院選では新党からどのくらい候補者を立てるのか。自民と連立を組むつもりはあるのか
「いやいや、自民は過半数をとれないと思う。私は自民にいた当時、苦い思いをした人間。自民に戻らないし、戻りたくもない」
「新党の候補者については、この前、平沼(赳夫衆院議員)さんたちと一緒に塾を開き、30−40人を育成した。当選するかどうかは分からないけど、レベルは高かった。やっぱり日本は選挙制度が悪い。中選挙区制に戻さないといけない」
−−今回、任期を残してやめることになったが、獲得した260万票分の都民には、どう説明するのか
「仕方がない。もっと役に立つ仕事をするから。必ず役に立つ。都政を放り出す訳じゃあない」
−−都知事の後継候補者で、具体名は上がっているのか
「私は猪瀬(直樹副知事)さんで十分だと思っている。あんな優秀な人はいない。官僚じゃないし、同じ物書きでも私よりよっぽど優秀。言ったことは全て着手してくれた。(知事になれば)私の代わりに行動を取ってくれると思う」
−−万が一、石原知事が首相になったら形を変えての徴兵制、最低でも青年海外協力隊みたいなものを導入するのか。新党を結成したら柱の政策にするのか
「もうちょっと若い人に人間の連帯感というものを感じてほしい。自衛隊に入ってでもいいし、警察ででもいいし、無償の行為をする経験をしてもらった方がいい。実際にやるかやらないかは仲間と相談する」
−−日本国憲法は無効と話していたが、次期衆院選では公約にするのか
「(『無効』というだけでは)言葉が足りない。今の憲法のどこに合法性があるのか。(メディアも政党も)それぞれ草案を持っている。草案を持ち寄ってブラッシュアップし、それに変えればいい。占領軍の憲法が独立後も通用する事例なんて聞いたことがない」
−−無効とすると憲法に基づいて、これまで国会で成立した法律の正当性はどうするのか
「それは考えるしかない。変えるとはそういうことじゃないのか」
新党での役職は「代表」 連携相手は明言せず
東京都の石原慎太郎知事の記者会見は終盤にさしかかったが、さらに新党構想についての質問が続く。その中では具体的な連携先の話題も出てきた。
−−石原知事が次期衆院選で比例候補として立てば当選すると思うが、政策を実行するには他の政党と組まないとならない。そうした場合は自公との連立を中心に考えているのか
「先のことは分からない。愚問だよ」
−−次期衆院選に向けて色々な動きがある中、日本維新の会とはどのような連携を考えているのか
「政策については(同会代表の橋下(徹大阪市長)君と話し合ってきた。連合を組むかどうかは分からない」
−−辞表を用意したのは、いつどのようなシチュエーションで書いたのか
「辞表は1年前から書いていたよ。(それは冗談で)1週間前くらいに」
−−日本維新の会は2030年代に既存の原発を全廃する政策を掲げたが、その点についてはどう考えているか
「経済をどう再生していくかについて、10−20年先まで緻密な計画を立てて、これだけの電力がいるということをシミュレーションすることが必要。それもなしに、いきなりの乱暴な提案は提案にもならない。そういうシミュレーションをやれっていっても民主も自民もやらない」
−−政策の主要点で一致しないと連携はないのか
「そうおいう話はしてきている。(互いに)異論を唱え合って、初めて連携ができる」
−−新党での石原知事の役職は
「代表だよ」
石原知事は会見場所から離れる動作を取りながら、最後の質問にそう答えて会見場から姿を消した。