トップ情報日本国民は日本という国をどんな国にしたいのか?>「中国はアメとムチで日本を調教、反日感情も政策に利用」米の大学教授ら

「中国はアメとムチで日本を調教、反日感情も政策に利用」
米の大学教授ら

2013.2.26 MSN [中国] 【ワシントン=古森義久】

中国の政治研究で知られるコロンビア大学のアンドリュー・ネーサン教授と、中国軍事研究の権威でランド研究所のアンドリュー・スコベル上級研究員は、新刊の共著「中国の安全保障追求」で中国の対日戦略への考察を述べた。その中で、中国は自らに同調する日本の政財界勢力には報奨を与え、反対する側には懲罰を加えるというアメとムチの「調教方式」の戦略をとってきたという見解を示した。

同書の「中国は日本を調教する」という題の章では、中国が「日本の台湾への支持、領土問題での対中衝突、米国との同盟に基づくアジアでの安保面の役割拡大」などを理由に日本への反対の立場を取ってきたとした。そうした中、中国共産党政権は一貫して「中国の政策や立場に同調する日本側の政財界の勢力や人物には経済的利権や政治的特権を与え、その一方、非友好的とみなす企業などには貿易や投資での妨害、政治家には冷遇や非難の措置で懲罰を与えてきた」との見方を示した。

さらに「中国当局は日本の政策が好ましくない方向に動くと、海軍、空軍を動員しての示威行動のほか、国民一般の反日感情を最大限に利用して反日デモや日本の戦時中の『残虐行為』の宣伝を強めるが、その民族主義的感情は強いとはいえ、当局がその表明の時期、長さ、強さを調整する」と述べた。また、尖閣問題などでの一般市民レベルの「反日」が当局に操作され、共産党の独裁支配の正当性誇示をも目的としている点を強調した。

そのうえで「中国当局は日本側から政治や経済での譲歩、修正を奪うために日本側の『戦時の残虐』を持ち出し、日本側の罪の意識をあおり、中国側の道義的優位を主張する」とし、「日中間の歴史や記憶をめぐる紛争は中国側の政策の動因ではなく、信号なのだ」とも総括した。

同書は、中国のこの対日調教戦略の多くの実例を日中国交樹立前の時代から示した。1990年代では、日本政府が天安門事件での国際的な対中制裁を破る形で対中融和策をとったことへの報奨として、日本側の尖閣諸島での灯台建設にもさほど抗議はしなかったのだ、とも記している。

また、当局が国民の反日感情を利用する方法には、その感情が中国政府への非難へと拡大するという大きな危険があると指摘した。

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