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中国、安保で米に対抗軸 アジア信頼醸成会議を活用

日本経済新聞 2014/5/22

【上海=島田学】中国の習近平国家主席は21日、上海で開いたアジア信頼醸成措置会議(CICA)の首脳会議で演説し、アジアの安全保障を巡り米国への対抗軸をつくる考えを示した。経済協力をテコに緩やかな連携を探り、欧米との溝が深まるロシアも組み込んで影響力を高める戦略だ。

「アジアの安全はアジアの国民によって守られなければならない」。習氏は演説で、アジアで同盟強化を進める米国を念頭に「いかなる国家も地域の安全保障を独占すべきではない」と強調。米国主導の秩序づくりに対して、中国がロシアやアジア各国と連携する姿勢を鮮明にした。

習氏の発言は、外交面でケ小平氏が唱えた能力を隠して力を内に蓄える「韜光養晦(とうこうようかい)」とする方針の転換を印象付ける。

兆しは習氏が国家主席に就いた直後からあった。習氏は昨年3月、就任後初の外遊で訪れたロシアでプーチン大統領と会談し、米国に対抗する新たな安保の枠組みづくりを話し合った。そこで白羽の矢が立ったのが、日米など主要7カ国(G7)が加盟せず目立たない存在だったCICAだ。

習氏は今回の首脳会議から中国が議長国となる時機を待ち、一気に中ロ主導の安保協議体へと衣替えを試みようとした。カザフスタンのナザルバエフ大統領も会議で「CICAをアジア版の欧州安保協力機構(OSCE)にしたい」と語り、同調した。

南シナ海情勢を巡って習氏は国際社会からの批判を踏まえ、平和的解決に尽力すると述べたが、「自国の利益のために挑発したり矛盾を激化させたりすることに反対する」とも表明。摩擦を抱える周辺国へのいらだちをにじませた。

「発展こそ最大の安全保障であり、地域の安保問題を解決するマスターキーだ」。習氏の約15分間の演説の中で「発展」という言葉を24回も使って経済発展の必要性を訴え、中国に協力の用意があると呼びかけた。だが真の狙いは影響力の拡大にある。

「中国からの経済支援なしに発展できるのか」。北京在住の東南アジア諸国連合(ASEAN)外交筋は、国際会議で中国側からたびたびこう問いかけられると明かす。摩擦を抱える国に「協力の縮小をちらつかせて『友好関係』を強いる」のが中国が狙う「新しい秩序」の正体と警戒する。

中国の強硬姿勢への周辺国の懸念は根深い。米国主導の秩序を批判する中国に、米国を上回る信頼を提供できるのか。カネを出すだけではなく、周辺国から信頼を得る努力が欠かせない。




▼アジア信頼醸成措置会議(CICA) アジア地域の安全保障を巡る問題を話し合う場としてカザフスタンのナザルバエフ大統領が提唱し、1992年に設立。今回の会議でバングラデシュとカタールの加盟が決まり、加盟数は26カ国・地域になった。日米のほか、国際連合や欧州安保協力機構(OSCE)などの国際機関もオブザーバーとして参加する。
 首脳会議と外相会議をそれぞれ4年に1度開く。中国は2014年から16年まで議長国を務める。英語名はConference on Interaction and Confidence building measures in Asia

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