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2002東京インターナショナル・オーディオショウ


 9月22日(日)有楽町の東京国際フォーラムで開催されているインターナショナル・オーディオショウに行ってきました。時間の都合上全部はゆっくりと聴く事は出来ませんでしたが、私が総じて感じたことは、どのブースも「凄い音はしているのだけれども、いい音に成っていない」という事です。

巨大な温室のような吹き抜け空間

 物作りとしては進化のあとが充分に見えるし、向上して行っているのですが、何か大きなもの、一番肝心なものが何処にも共通して欠落している様に思えてならないのです。それは「いい音を導き出す腕が未熟である」と言うことです。

 「腕のいい演奏者は沢山いるのに、楽団を一つにまとめ素晴らしい音楽を作り出す指揮者がいない」。このような感じに受け止めて頂いたらと思います。

 ここ10年、その事のみに重点をおいて研究してきましたので、私の耳のセンサーには、ほんのちょっとしたズレや遅れ、歪み、そしてエネルギーロスと言った風に感じ取れるのです。私もイベントの度に思う事なんですが、にわか作りの会場でいい音を出すのは大変難しいんです。それはよく分かりますので、その事は理解し引き算をした上での感想でもあります。会場側に原因がある事と、腕に原因がある事ぐらいの見極めはつくようでなくてはなりません。

ライトアップされているのが話題の33DER

 皆さんの夢を砕くような事になってはいけませんが、当日一番音楽を感じたのはBOSEの33DER(1本24,900円)近日発売予定のスピーカーでした。なぜこのように感じたのかを私なりに色々と考えてみました結果次のような結論に至りました。

 大型スピーカーになればなるほど、自分が発した大きな2次振動にさらされることになり、奏でなければならない楽器の微弱音振動を殺してしまう矛盾に悩まされます。私の耳に音楽として感じることが出来なかった一番大きな理由はそこにあったのです。

プロジェクトのアナログプレーヤー

 この事はオルトフォンのブースでより明らかなこととなりました。それはピアニシモに有利と言われているアナログサウンドで、微弱音、特に音の消え際に圧倒的な音楽の差を感じてしまいました。デジタルの方が秀でた部分もあるのですが、しかし、如何にビット数を上げ細分化したとしてもどうしても超えられない何かのようです。それは『心のひだの部分』と言ったらよいでしょうか。

 これを超えずともほぼ同じとする為には、ローゼンクランツのインシュレーターのように瞬時に振動処理を可能にする物無くしては無理のようです。そのインシュレーターを使って、存分にオーディオ機器の能力を発揮する音に慣れている私の耳は、今日のようにすぐさま反応してしまうのでした。
音響パネルの第一人者QRD

 そんな今回のショウの中で、いくつか印象に残ったものを取り上げてみたいと思います。大場商亊のブースではホッと安心するような音楽を感じさせてくれました。これはQRDを使った音響処理によって音楽のエキスが失われなかった事が理由でしょう。

 また意外だったのが、他と比べてタンノイの音がとてもよく感じたことです。これは、技術や方式論等を越え、50年以上に渡って一つの技術を積み上げて来た人間のバランス感覚の成せる技であります。

久しぶりに日本にお目見えのアンプ・アンプジラ

 それと、実際の音とは少し違うように感じるものの、マッキントッシュでドライブするATCの奏でる芳醇な音にも、どこか引きつけられるものを感じました。これらは自分のスタイルが確立されたものとして発する魅力の一つなのでしょう。

B&W805シグネチャー

 B&Wの805シグネチャーも流石に高性能で説得力のある音を聞かせていました。知らぬ間にB&Wも老舗の仲間入りになったみたいですネ。自分もイベントに参加していると他のブースの音を充分に聴いて回るという事が出来ませんが、今日は久し振りに第3者として冷静に見て取れる事が出来、価値ある体験でした。

ジャーマンフィジックス インフィニティー CHORD
JBL NHT ALR/ジョーダン
ナグラ ラックス ダリ
ウエストレイク ブーメスター ゴールドムンド

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