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妙なる世界を教えてくれた宇治のお茶 |
Kさんというお客さんから宇治のお茶を頂きました。 私は無類のお茶好きで、 車で出張の際には必ず500mlのプラボトルを5〜6本持って出ます。 とにかくどこにいてもお茶だけは欠かせないのです。 とはいえ、お茶についての知識というものは、 恥ずかしい事に全く持ち合わせていません。 次のようなメールのやり取りの中に出て来る「カリガネ」という言葉さえも知りませんでした。 >お茶の件ですが、私は酒をほとんど飲まない関係で無類のお茶好きです。 >願っても無いお話ですので、 >是非ご迷惑の無い範囲でお願い出来ましたら嬉しいです。 |
お茶がお好きでしたか。 それは良かったです。 遅ればせながら、今日お送りしておきました。 お気に召すかどうかわかりませんがお召し上がりください。 お送りしましたのは、煎茶の中でも、「カリガネ」と呼ばれるもので、 葉っぱの繊維を省かずに仕上げたもので、 切れ味は無いが、その分まろやかさがあります。 70度位の温度で2分くらい入れておくとおいしくいただけると思います。 箱のスペースを埋めるためにほうじ茶も少し入れておきましたが、 こちらは熱いお湯で20〜30秒位といったところでしょう。 また、カリガネを俸禄で中火で狐色になる手前まで煎ってみて下さい。 素晴らしいほうじ茶がいただけます。 |
教えて頂いたとおりに入れてみました。 その味は今だかって体験した事のないものでした。 新潟の魚沼産のコシヒカリの新米と伍する味です。 秋の初めになると毎年送って下さるのは宮家御用達のものです。 この両者の味は日本人に生まれた事に手を合わせて感謝したくなります。 その肝心なお茶の味とは・・・ 口内が宇宙になったが如くその内粘膜に、 時間の経過と共に、”じわ〜っ”と幾重にもにじみ込むんです。 ですから、舌の上でいつまでも楽しんでいられるんです。 その残芳香が口内全域に広がって消えないのです。 本当に凄い世界を体験しました。 何億あるのか知らないけれどその細胞の一つ一つが、 ”味わい”としての情報を刻み込んでいるような感覚です。 これこそが『一期一会』なのかと思えたのです。 価値ある出来事に出会った時には、 全て音に置き換えてみるのですが、 この度は本当に良い目標が出来ました。 更なる音のイメージが私には拡がったのです。 このところ車で磨いた感覚が大いに役立っているのですが、 また、新たな音の味覚のカイザーゲージが出来上がった瞬間でした。 早速私はKさんに次のようなお礼のメールをお出ししました。 >今日早速頂いております。 >品が良くて、奥ゆかしい味わいに驚きました。 >作者の人徳のようなものまでお茶に乗り移っているようです。 >この妙なる世界こそが、わびさびと言われるのでしょうか。 >この度の貴重な体験はこの上ありません。 >お父様によろしくお伝え下さいませ。 >有難う御座いました。 |
お褒めに預かって光栄です。 面白いもので、全く同じお茶を差し上げても、 ペットボトルのお茶の方がおいしいという方もいれば、 貝崎さんのような妙な世界を感じ取り、 わびさびの宇宙に遊ぶ方もいらっしゃいます。 貝崎さんの高いご見識に敬服いたしました。 父への見方も少し変わってしまいました。 父へは折をみてお伝えします。 きっと喜ぶことでしょう。 ありがとうございました。 |
あとでお聞きしたところによりますと、 Kさんのお父さんが作ったこのお茶は、 京都府で最高値がついた逸品だったそうです。 |
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