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意欲なく仕事嫌いな従業員9割も 世界23万人調査

2013/10/31 日本経済新聞 (2013年10月10日 Forbes.com)

仕事が好きではない? 大丈夫、あなただけではないようだ。ワシントンDCに拠点をおく世論調査会社、ギャラップ社が10月8日に発表した大規模な調査結果(“State of the Global Workplace”)によると、世界中で、意欲も積極性も持たず、他人の足を引っ張る従業員は、仕事に愛着があり、意欲を持っている従業員の倍も存在すると分かった。

日本は仕事に意欲を持ち、幸せを感じる従業員はわずか7%


1990年代終わり頃から、ギャラップ社は世界の被雇用者の満足度を調査してきた。これまでに、189カ国、2500万人の被雇用者の調査を実施。今回発表された最新版では、142カ国、23万人のフルタイム、パートタイムの従業員の情報を集めた。


仕事を嫌う従業員は約4分の1

総合的にみると、意欲があり積極的に仕事に取り組む(注:英語でエンゲージド「engaged」)従業員はわずか13%だったことが、ギャラップ社の調査で明らかになった。「エンゲージド」するとは、仕事への情熱を感じ、雇用する側と固い絆があって、日々、新しいことを考え、会社をさらに前進させようと過ごしているということだ。

大部分の約63%は意欲がない(注:「not engaged」)としている。幸せとは言いがたいが、ひどく不幸というわけでもない従業員だ。つまり、こうした人たちは、気持ちが仕事から離れている。彼らはなんとなくダラダラと日々を過ごし、仕事にほとんどエネルギーを傾けない。

24%が、ギャラップ社が定義する「意欲を持とうとしない(注:「actively disengaged)」従業員、つまり仕事をかなり嫌っている人たちだった。仕事が嫌いであることを隠さず、さらに同僚の成果をも台無しにする。

「意欲がない」「意欲を持とうとしない」を合わせると、世界の労働者の87%に達する。ギャラップ社の調査はこうした人々を「気持ちが職場から離れていて、生産的であろうとしない」とみる。言い換えると、世界の労働者の9割近くにとって、仕事は達成感ではなくフラストレーションの源になっている。これは、ほとんどの職場は本来もっている能力よりも生産性が高くなく、安全でもなく、雇用者は新しい仕事を作り出せずにいることを意味する。

仕事にエンゲージする、つまり意欲的に取り組むようにするために必要な12の条件を、ギャラップ社が提示している。ここに条件を挙げるので、参考にしてほしい。

1 職場で自分が何を期待されているか知っている
2 仕事を間違いなくこなすための材料や道具をもっている
3 職場で、毎日、自分が最も得意なことをする機会がある
4 この1週間に、職場で良い仕事をしたとして認知されたり称賛を受けたりした
5 上司やその他、職場のだれかが、自分のことを一人の人として気にかけてくれているようだ
6 私が進歩していくのを励ましてくれる人が職場にいる
7 職場で、自分の意見をくんでくれる
8 会社の使命や目的が、自分の仕事は大切だと感じさせてくれる
9 同僚たちは質の高い仕事をしようと努力している
10 職場に仲の良い友人がいる
11 過去6カ月の間に、私の仕事が進歩したと職場のだれかに言われた
12 昨年、仕事で学び成長する機会があった

ギャラップ社は調査の中で、数値を地理別に分析した。その結果は驚くほどではないとしても目立った違いが現れた。142カ国すべてを網羅することはできないが、いくつか例を挙げてみよう。(編集注:以降、記事中では、「意欲があり積極的に取り組んでいる=幸せ」、「意欲がない、気持ちが離れている=あまり幸せではない」、「意欲を持とうとしない、仕事が嫌い=まったく幸せではないあるいは不幸」と言い換える)


「仕事が嫌い」が多い北アフリカ、中東

仕事に意欲を持とうとしない人、つまり仕事が嫌いな人々の割合が一番高かったのは、中東と北アフリカだ。内戦があったシリアで、45%がまったく幸せではないのは予想通りだ。しかし、アルジェリアでは52%、チュニジアで54%にのぼり、幸せではない従業員は両国でさらに多いことになる。意欲を持ち、職場で幸せだと感じる従業員は、シリアではゼロ、アルジェリアは驚くことに12%、チュニジアはわずか5%だ。カタールは良い結果を残している。意欲を持ち、職場で幸せだと感じる従業員は28%、そうでもない従業員が62%、仕事が嫌いな従業員が10%となった。

筆者はイスラエルでは幸せと回答する労働者が多いと予想していたが、わずか6%が意欲を持ち積極的に取り組んでいる従業員で、73%は仕事から気持ちが離れており、22%は仕事が嫌いという結果になった。


意欲ある従業員の割合が最低の東アジア

仕事をするうえで幸せを感じる意欲ある従業員の割合が最低だったのは東アジア地域で、全体でわずか6%となった。この数字は中国の結果でもあり、中国では、仕事で幸せだと感じる従業員がわずか6%だった。約68%は仕事から気持ちが離れていて、26%はひどく不幸だとしている。

日本の結果にも筆者は驚いた。日本にはもっと幸せを感じている従業員が多いのではないかと考えていたが、結果は7%。中国をわずか1ポイント上回っただけとなった。69%は意欲がなく、24%は仕事が嫌いだった。

中南米では、経済規模が最大のブラジルが最も幸せで意欲的な従業員が多かった。驚くことに、27%が意欲があり積極的に取り組んでいる。しかし、62%は意欲がなく、12%は仕事が嫌いという結果だった。

ブラジルの結果は、西ヨーロッパのどの国よりも良い。例えば、フランスでは仕事が好きな人はわずか9%。65%は仕事から気持ちが離れており、26%はひどく不幸だという。ドイツの結果は少しだけ良く、幸せな従業員は15%、意欲がない従業員が61%、まるで意欲を持たない従業員が24%だった。


世界一幸せな従業員が多い国は…

米国は全世界に比べると良い数値がいくつかあった。幸せな従業員が30%、意欲がない従業員が52%、仕事を嫌う従業員が18%だった。この結果は満足できるものではないが、世界のほとんどの地域よりは良い結果だった。

幸せな労働者が一番多いのはどこか? パナマだ。37%が仕事を愛し、意欲がない従業員は51%、ひどく不幸せな従業員は12%だった。

この結果をどう考えるべきだろうか。ギャラップ社は120ページにわたり、多くのアイデアを紹介している。多様な手法でデータ分析しているが、多くは驚くものではない。教育水準の高い従業員は、教育水準の低い従業員より幸せだとする割合が高い、といった具合だ。

不幸せな従業員への確かな処方箋は、前に挙げた12か条に集約される。従業員とのコミュニケーションを図り、何を期待しているかを伝えよう。よい成果が上がったら褒めて、さらに前進させるために励まそう。必要な道具を与え、チャレンジしていると感じられる機会を用意しよう。従業員の側からみると、幸せのカギはこれら12か条に配慮してくれる雇用主をみつけることだ。




意欲があり積極的に仕事に取り組んでいる人の割合が、

世界平均で13%なのに対して、

日本はその半分の7%という数字に私はショックを覚えた。


好きな事を職業にし、やり甲斐や達成感を感じながら仕事をしている自分にとっては、そのデーターが信じられない思いがしてならない。この数字を見るにつけ自分の人生に感謝しなければと強く思った。

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