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電気の時間軸の研究


電源タップの内部配線は直列と並列のどちらが良い? 2003/08/13


 私は迷う事無く、直列が良いと答えます。

 並列派の言い分はどの機器にも平等にエネルギーが送り込めるというものです。なるほど、その言葉だけを聞けば正論のように思えますが、実はそこには落とし穴があって、接続する機器にはそれぞれ負荷する力が違います。

 すなわち、パワーアンプのように沢山食べる人と、少ししか食べない人が現実にはいるという事です。その場合どういった現象が起こるかといいますと、ポンプの力の差によって流れる水量に大きな差が生じてしまいます。現実には、栄養の行き届かない機器が悲鳴を上げてしまうのです。

 したがって、一見平等のように聞こえる並列接続は負荷する機器の欲しがる量が同じ時のみに有効であって、現実には有り得ない世界の話です。昔から水利権を巡って、もめごとが尽きない田んぼへの引水と同じです。
 
 ポイントは同じ村の者同士(接続機器)が納得出来るまで話し込んで決める事しかありません。これには、いつ、誰が、どのように、どれだけ利用するかといった現実に沿った話をするしかないでしょう。その為には、使い方次第で良くも悪くも大きな差が出ますが、ノウハウや知恵が生きる直列接続に軍配が上がります。
 
 どうある事が現実面で平等かという論議です。もう一つの例として、だれにも同じ負担率でかかる消費税と所得税の累進課税方式の両者を採用するという現在の税徴収方法。これなどは、収入の多い人、少ない人のどちらの立場も納得させる上手い方法です。

 もちろん、ローゼンクランツでは直列接続方式をとっておりますが、その配線に於けるノウハウは決して他の真似の出来るものではありません。「方向性」、「線径」、「序列」、「振動対策」、「3次元パラレル撚り」、「f特エネルギーバランス」、「音の良い長さのカイザーウェーブ理論」等、数多くのものです。


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「老・若・男・女」の真ん中の音 2003/06/26


 地味な存在ではありますが、オーディオシステムの音質向上の構成上、大切なアイテムとして決して忘れてならないのが『ジャンパーケーブル』です。ローゼンクランツの「JP-105」は開発も相当古く、発売当初からの高い評価を今日でも維持し続けております。

 先日もクリニックにお伺いした先で、JP-105に替えた途端に音がまとまったという経験をしました。既に当社のスピーカーアタッチメント=SP-8N(Perfect)を装着していたのですが、電気的なタイミングに僅かなズレがあったのでしょう、どこかシックリこないでヤキモキしていました。

 それも20万近くもする高価なジャンパーケーブルを装着しておられたので、私自身が3万円のJP-105に変更する事をお客さんに気を使って躊躇ったのです。それが最後まで尾を引いて、何をやっても音がモドカシク、良い音にならないで苦労したことがあります。


 私に似合わず、その時こう切り出したのです。

 「今付いているジャンパーケーブルよりも当社の物は大分安い物なんですが、

 一寸試しに交換させて貰っても宜しいでしょうか?」。

 『勿論構いません、どうぞやってみて下さい』。

 付け直した瞬間に、

 私の ”音楽専用の脳” が答えを出しました。

  < O.K!それを待っていたんだ!・・・・・ >。


 その前に、話をもう一つ前に戻さなくてはなりません。

 スピーカーケーブルについては極細線を使っておられたので、

 「この線を何とかしない限りは、タイトなリズムのスピードあるリアルな音楽は得られないですよ!」、

 と言う私の助言に対して、スピーカーケーブル=SP-1S(8NPerfect)の注文は頂いていたのです。

 ですから、今までの話は極細線のスピーカーケーブルが基本での話です。


 それから何日かして、スピーカーケーブルが出来上がり納品にお邪魔すると、”音が暴れてきつい”と言う理由でジャンパーケーブルを元に戻しておられました。そうなんです、ここでの判断が一般の方と私の判断に違いが出てしまうのです。

 効果が現れると同時に、時間の経過とともに副作用も同時に出てきていたのです。この状態を私は「母性の音」と「父性の音」の違いと見ております。どちらを選ぶかと言うと、私の場合は優しい母性寄りの音よりも厳しい父性の方を必ず選ぶようです。

 常にそうではありませんよ!、理想は「若い音」、「渋い音」、「優しい音」、「厳しい音」、「老・若・男・女」の真ん中のバランスの音を目標にしているのです。

 
 真に私が求める音の世界は、

 全てがあるがままにある事なんです。

 言い換えれば、

 「有ると言えば有る」。

 「無いと言えば無い」。

 色即是空の音の世界です。


 スピーカーケーブルが入った事で全てにタイミングが取れ、激しい音から優しい音まで自然に出るようになりました。この音が出るのが解っている私には待つ事が出来るのですが、イメージ出来ないお客さんにとっては、目の前で実際に音を作り出し、証明するしか方法はないと改めて強く感じた次第です。

 副作用や、リバウンドの先にある音までもは、理解しろという方が無理な事ではあります。しかし、こうした事があるという事も知っておいて頂きたいと思います。

 忘れるところでしたが、もう一つの結論は、ローゼンクランツのジャンパーケーブル「JP-105」を先ず使ってみて下さいと言いたかったのです。


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スピーカにおける風呂敷現象 2002/02/12


 「風呂敷現象とは?・・・」フィルム型スピーカに見られるある現象を称して私が勝手につけた名前です。そのある現象とは、両手で風呂敷を広げた状態で空気を思い切り前に動かそうとすると、それ以前に自分のほうが空気の抵抗という反作用によって先に動かされるという事実に出会います。

 いきなり逆相から始まることになります。即ち、勢いよく叩いた太鼓の音も「ドーン」ではなく、一瞬後ずさりして「ドワ〜ン」になります。高速道路を走っている時に窓を開けて手の平を進行方向に向かって広げた状態にすると腕も折れよとばかりに後ろに持っていかれそうになります。今度は手の平を下に向けて空気抵抗を少なくしてやると何でもありません。

 ですから畳1枚分の広さもあろうかという大型のプレナー型スピーカーの場合、旗が風にたなびくような音がわずかに付きまといます。特に速くアグレッシブでビートの効いた音楽になると苦手意識がハッキリと出てきます。そうした理由から、この手のスピーカーを聴いておられる方は決まってミディアムテンポからスローテンポの曲を選んで聴くように自然になって行きます。

 ただ欠点だけではありません。ユニットのつなぎ目に感じる違和感みたいなものは無く、とてもつながりが自然できれいな音が魅力的です。一般のスピーカーに見受けられがちな箱特有の附帯音等はまったくありませんので、長所に目をやり、得意な曲であり、好きな曲を厳選して楽しむという向きにはもってこいです。


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ディスクに紫外線を照射するとどうなる? 2001/09/20


 1年程前のことです。どんな構造の物かも充分に確認しないで、ある方から大変良いと聞かされ「CDの音質改善機」という物を買ってみました。その名はインパクトディスクメーカーといって、ディスクに紫外線を照射させるものでした。音が良くてその当時の1番お気に入りであったDee Dee Bridgewaterの「Dear Ella」をどんな風に音質が改善されるのか楽しみにタイマーを15分に設定しました。何かをしている間に、ほうっておいて出来る場合は別段何てこと無いでしょうが、これから聴きたいものをじっと待つ15分は耐えがたいほど長いもの。

 5〜6秒でディスクが一回転するぐらいのゆっくりとした速度で回転しながら、その下からブラックライトが青白くディスクを照らすのですが、じっと見ていたら目が疲れます。とりあえずタイマーが切れるまで待ちました。

下のツマミが60分のタイマーになっている

 さぁー!出来上がったディスクをセットして軽快な曲Mack The Knifeを聴きます。如何にアレンジがゆっくり目のテンポとはいえ、全くスイングしない。「完全に音楽が死んでしまっている」、「困った事になったぞ!」。説明書には時間を掛ければ掛けるほど効果が出る、というふうに書いてあったので、タイマーをセットし更に待つこと15分。

 もう一度同じ曲を聴く。「前より更に生気のない音になったではないか!」、ダイナミックレンジは落ちるしテンポも乗らない、なによりJAZZのエッセンスが欠けらも無くなってしまった。もうこれ以上は何もする気がしなくなった。それっきりこのインパクトディスクメーカーというのは我輩のところではほこりをかぶったままである。

 数日して薦めてくれた人から電話がありました。「あれ良かったでしょう?」。私は小さい声で「それがですねぇ」、こうこうで「大人しくなりすぎて物足りなくなったんですよ」、というと。「えっ!音のいいディスクに掛けたんですか?」、実はそれはテストしてなかったという、音がキツクて聴きづらいディスクを5〜6枚処理して聴いたら暴れが取れて大変聴きやすくなったのだと。私の場合は更に生き生きとなることを期待して使ったのに対して、彼の場合は反対の目的に使っていたということが判明。この商品も長所を伸ばすものではなく、欠点を押さえ込む向きのものでした。使いようによってはプラスもあると思いますが、私の価値観には相容れないものでした。

 この時にとっさに思いついたのが「紫外線は人間にとってよくない」ということ。なるほど、ならばその逆に腰痛の治療等にいいといわれている赤外線を当ててやればきっといいはずと思い、遠赤外線ライトを借りてテストしました。案の定いい方向に変化、その音は紫外線の時とは反対に音が生き生きと快活になるではありませんか、この時も「色の持つエネルギー」というものを強く意識しました。更に調子に乗って、「低周波治療器も身体にいいといわれてるよなぁ?」、早速オムロンを買いました。一瞬ではあったがこの両面作戦で商品開発してやろうかなと思ったことがありました。しかし、その後はなんとなく気が乗らずいまだにその件は何もしておりません。でもそれは腰や肩に当てて本来の目的でしっかりと役に立っております。


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「色」と「音」の関係 2001/09/17


 インシュロックタイ(結束バンド)、いつも使っている黒色を切らしたので、やむなくその日は白色を使いました。するといつもと音が違うのです、上手く表現出来ませんが「音が散る」、といいましょうか、「ハジク」、といったらいいでしょうか。どこの部分に使ったかといいますと、スピーカーアタッチメントの最後の仕上げに黒いネットを掛けるのですが、その上に結束バンドで音のまとまりを良くする為に程よい加減で締めるのです。またこの締め加減によって音が「ゆるく」、も「きつく」、もなります。本当に不思議です。あるがまま成すがままなんですねぇ!

 その白と黒の音の違いが気になってしょうがないので、すぐに黒のインシュロックタイを買いに出ました。すぐに交換して聴きますと、いつもの安定した落ち着きのある堂々とした音になりました。いくらかは音に違いがあっても理解出来るけど、こんなにも大きな違いがあるとは夢にも思いませんでした。オーバーに聞こえるでしょうが私のシステムは少しの違いも見逃すことなくさらけ出してしまいます。

 それ以来、事ある毎に色による音の違いを研究しますが、解ってきた事は色から感じるイメージと音も同じ関係にあるということでした。緑色は新緑のように瑞々しいし、茶色はコクがあって渋い感じ、赤は色のとうり熱い。青は爽やかな清潔さを感じるといった風です。色の波長の違いがそれぞれのエネルギーを生むものと考えられます。この様に自然界にあるものは、何か強い摂理やバランスの上に成り立っているのでしょう。


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壮絶なスピーカーアタッチメントとの格闘物語 2001/09/16


 やれども、やれども、音がゴロゴロと変わるスピーカーアタッチメントに振り回され、ケーブルの中で何が起こっているのか突き止めようと研究の最中にあった'92年12月に過労で倒れて入院しました。当時店と自宅は20キロ程離れており、何度も徹夜が続き、家に帰らないで店のソファーで仮眠する事がしばしばでした。食事は不規則、コーヒーは1日に10〜15杯、タバコに限っては60本ほど、それも根っこまで吸っていました。体重は減り、頬はこけ、顔はどす黒く、会う人会う人に「顔色が悪いですね」、と決り文句のように言われていました。

長さ、配合等、微妙な違いのスピーカーアタッチメント群

 そんなある時自分でこれはもう限界だと感じ、その日は家に帰ってゆっくり寝ようと思い、自宅まであと1キロ程に差し掛かった所あたりから、今までに経験した事の無い強い睡魔が襲ってきました。ほんの数百メートルの間で10回位ヒヤッとしましたが、もうあと数百メートルのところまで帰っていましたので、一時も早く布団で横に寝たいという気持ちの方が強くそのまま運転を続けました。その瞬間、「ドカーン!」という衝撃に目が覚め、気がついたら電柱に激突し新調したばかりのFIATは大破、完全にスクラップです・・・。
 
 それから何日も経っていないでしょう、ある朝これから出勤しようという時少し咳き込み、その次の瞬間胸が苦しくなり呼吸困難になりました。一瞬心臓に手を当てましたが痛いのは右の背中です。その痛さをどのように形容したらいいでしょう、経験はありませんが「拳銃で撃たれたような痛さ」、という表現しか出来ないのです。健康には人一倍自信を持っていた私も、その時ばかりは死というものを覚悟しました。

 やっとの思いで自力で救急車を呼び、近くの市民病院へ運ばれるのですが、道中車が揺れる度に激痛が走りわずか10分ぐらいがそれはそれは長く感じました。病院へ着くとインターンらしき青年がどうしたらいいか不安そうに話しているのが耳に入ってきます。そうこうしていると2〜3分位で女医さんが現れすぐにその場で手術して一気に楽になりました。その時さっそうと馬に乗った騎士が現れ助けてくれたような印象を持ちました。

 病名は「自然気胸」。肺に穴が空きその外に空気が漏れ呼吸出来なくなるもの。手術は胸に少し穴をあけ肺に管を通しポンプで漏れた空気を吸い出し、安静にして自然に穴が塞がるのを待つ。集中治療室に1週間ほど居ましたので、それをきっかけにタバコは止められました。その後肺の状態の説明を受けましたが、伸びた風船のような状態になっていて強く収縮する力がなくなっているそうです。

 大部屋に移ってからは、ちょっと楽になったかと思うと、今すぐにも退院させてくれと看護婦さんに無理を言っては困らせました。その頃からやっとジタバタしても始まらないという気持ちになり、また病院の規則正しい生活にも慣れ食事の時間が待ちどうしい位になりました。毎朝売店に新聞を買いに行くのが楽しみで、ある朝、「貴乃花」と「宮沢りえ」が婚約という大きな見出しにビックリしました。年が明けると今度はすぐ「皇太子さん」と「雅子さん」の婚約のニュースが立て続けにあったのが強く印象に残っています。

 丁度1ヶ月の入院生活の間にゆっくりと自分を外から見つめ直す事が出来、それをきっかけに思い切った大改革をする決心をしました。健康管理をするには自宅と店舗を一つにする事が何よりです。先ず自宅を売りに出します。幸いにも東南の角地で人もうらやむような日当たりの良いところでしたので、妻がダンボール紙に「家売ります」と書いて庭のフェンスにぶら下げますと何人かの人から引き合いが有りあっという間に売れました。

 それと並行して半年後に町の中心部から2キロ以内で今の便利のいい場所を見つけ、そこに1階を店舗、2.3階を住まいとして100日ほどの突貫工事で完成させました。車も2台あったのを1台に、ワイヤレス子機で3階まで届く事を確認して電話も1本にしました。とにかく固定経費を押さえ今までの半分の売上でもやっていけるように、そして引越しを機に映像関係はやめてオーディオ1本に絞って自分の得意な分野だけでやって行くようにしました。もっとも店舗面積が1/3になった訳ですから物理的に入らないという事もありました。

 以前住んでいた所は避暑地のように涼しく夏でもクーラーをつけたことは無く元々クーラーは嫌いな関係上寝る時にお世話になる事もありませんでした。そんな関係とお金も能力以上に使ってしまっていましたのでこの度の自宅にはクーラーは付けておりませんでした。想像以上に瀬戸内の夕凪は風が無く不快指数は全く大変なものです。それに追い討ちをかけるようにそこで迎えた初めての夏は記録的な猛暑が襲い、60日間ほど熱帯夜が続き、ひどい時は室内の温度計が40度を超える事も何度かありました。完全に体調を崩し、平衡感覚はやられ、真っ直ぐ歩けない自分はまるで酔っ払いのようでした。そして半年ほどは果物しか喉が通らないほど衰弱し苦労しました。しかしそんな中にあっても相変わらずコツコツとスピーカーアタッチメントの研究だけは続けました。


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ACパワーディストリビューターの使いこなし 2001/09/14


 NIAGARA(電源タップ)を使っていて発見した事なのですが、まだ試作機が一つあるだけですからアナログ系とデジタル系とを別けて使う事が出来ません。ですから仕方なく同居して使わざるを得ないことから今回の出来事に出会ったのです。いつもの事ですが不自由な状態の時にえてして問題解決の糸口が掴めるものです。ですから私の場合、上手くいかない時こそチャンスだと思うようにしています。

 最初の試みは一つのセオリーであるデジタル系のものをお尻に持っていき、頭にアンプをつないで聴きました。このパターンで聴いたのがナイアガラの初めての音でした。今思えばあの時にもう一つパッとしない印象を持った事が、私の頭の中でシッカリと整理出来るに至りました。

 それというのは、もう一つのセオリーである電気をよく喰うパワーアンプを後ろに持っていくというものです。最初は、デジタルの嫌な影響を避けて聴こうという意識がその時働いたからでしょうが、いつもの私の考えの序列からいくと違う事から始めたわけです。それは「短所を嫌うより長所を伸ばす」。というもの。

 翌日になってですが、頭にCDトランスポート、2番目にDAコンバーター、一つ空けてパワーアンプという順です。全ての物の流れの方向を徹底して強力に設計しているからでしょう、頭に持ってきたデジタル系のデメリットなどみじんも感じさせない見事な鳴りっぷりです。このことからも「長所を最大限に引き出してやる」、という考え方は確固として証明出来ました。

 この音を聴いた時点でナイアガラに限っては、デジタル系とアナログ系を同居させても、そのことによる不具合はかけらも感じません。先にこれだけ高価な「ナイアガラ」を二つ是非買って欲しいと案内する事に気が重かったのですが、間違いなく1個で充分であると確信しました。

 さて冒頭に出会った出来事というのは、最近買ったFASTのアンプを聴く為に3番目にそれをつないでいた事がきっかけになりました。結論から先に言いますと、使っていないACケーブルがぶら下がっている事でそこを遠回りをしているのです。その為にタイムラグがあって微妙に音をにじませ定位や空気感に影響が出ているのです。わずかな感じですが一番いい音がしていた時に比べるとそう感じるのです。

 思案した後、これ以外に考えられないと思いFASTのACケーブルを抜きました。そのほんのわずか引っ掛かっていたことが一気に解消しました。確認を取る為にもう一度ACケーブルをつなぐとやはり同じ症状が出ました。いい音を手に入れるにはこうした日々の地道な事の積み重ねから成り立っています。皆さんも自分の装置に愛情を持って接してやって下さい。


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「空芯コイル」と「鉄芯コイル」 2001/09/13


 ローゼンクランツのリファレンススピーカー(RK-R)のネットワークの製作に掛かっている時の事です。「島田貴光さん」、にわざわざ広島まで来ていただいて、キチンとした測定データーをもとに基本的なものはアドバイスを頂き組み上げました。後の細かいところは試行錯誤を繰り返しながら私が練り上げていくというものです。

 低域は6dBで110〜150HZ近辺で繋ぎたいというのが私の希望でした。そこで助言を頂いた事は川の流れのように上流はきれいな水だが、下流になるにしたがって水が汚れてくるように、むしろ「データー的には良くない物の方が安くていいんだよ」、という事でした。そこで用意して頂いた物はトリテックの鉄心入りの物でした。

 音の方はほぼ不満の無いものに仕上がりました。ある人が「空芯コイルの方が絶対いい」、というので、それでは一度試してみるかという事に相成ったわけです。直径14cm程ある巨大な物です。早速組み上げて音出しに入ります。「・・・ん?」、「こりゃ全く駄目だ!」。私の一番嫌いなダボついた低音、1分ともたずに外してしまいました。完全に低域が遅れ、やせ細った高音とバラバラです。

同じ容量の空芯コイルと鉄芯コイルの比較

 こうした症状の音には2〜3の原因が考えられます。まず断面積に対して極端に表皮面積が広すぎる事、高い周波数は表皮を通る習性を持っていることから、そのことによる低音と高音のエネルギーバランスの不釣合い。第二に極端な扁平形がもたらす厚み方向と幅方向の振動モーメントの時間軸のずれの大きさ、もうひとつ決定的なのは箔の巻きが凄く長くなる事によるエネルギー効率の悪さでしょう。ただでさえ低い周波数は遅れがちですから鉄芯が引き起こす音質面のデメリットよりも低域部分に於いては速さとかエネルギー感の方が断然重要だということです。

 値段は、7〜8倍してこういう結果になり、1分で8万円ほど使いました。島田さんの言うとうりでした。全く脱帽です。これまた経験、良くない音を知ることが良い音を知ることにおいて欠かす事が出来ないことは百も承知ですから、私にとっては何の苦にもなりません。むしろ勲章ぐらいに思っています。扁平なケーブルはやはり良くありません、特に低いところでは全く使い物にならないですね。「お上品で、”よなよな”ときれいな音」でした。


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心地よいゆらぎを手に入れるには? 2001/09/10


 デジタル音楽再生時に発生するストレスの度合いが大きい程ゆらぎの時間の長さを欲するようです。インシュレーターの性能が向上(音のにじみの減少)するにしたがって、スピーカーアタッチメントの長さを少しずつ調整しなければバランスが取れなくなる事が解ってきました。それは心地よく感じる残響時間と取って付けたように一聴して不自然に感じるもの、例えば演歌によく見られるこぶしを効かし過ぎた感じといったら理解していただけるでしょうか。そのような形となって現れます。

 元々スピーカーアタッチメントの考え方というのは時間軸を揃えるという目的から出発したものではありません。オーケストラに代表されるように膨大な情報量と多彩な楽器の音色の表現を余すことなく取り出したいというのが最大の目的です。いかなるケーブルであっても伝送過程でデリケートな情報は埋もれてしまいますので、それをもう一度引き出すのが役目です。この方法は電気を使ってやらない関係上、害の無い唯一の方法だと信じています。

 同じようにストレスを感じる際に色々な対処法が用いられます。例えばインシュレーター其の物で遊びと逃げを持たし、ゆらぎを手に入れることもある程度の効果は得られます。その代表的な物はゴム系、スプリング系、ウッド系といったものが挙げられます。ただしこの方法は特効薬のようによく効くかわりに、肝心な音楽のエネルギーまでも萎えさせてしまいますのでその内必ず欲求不満が起こります。インシュレーターについては先ず全てのエネルギーを受け止める事から始めるべきです。最初から逃げていたのでは何事も解決は出来ません。

 楽器の値段が示すようにバイオリンに代表される弦楽器が生み出す、何ともいえない心地よいゆらぎを人は強く求めます。そのゆらぎを手に入れたい為に直接その音の末節の部分に意識をして解決を図ろうとしますが、私の経験では魅力あるリリースの部分を引き出す為には、逆に基本になる振動の時間軸を追い込まずしては、付け焼刃的な音しか出ないと思っております。

 どのような条件が構築出来た時にステレオというものがいい音になるのか?この一点に絞って研究を続けてきて、強くまた必要に感じる事は、ある部分の研究を細かくしては全体を眺めるという繰り返しの連続です。すなわち木を見つめては森を見る。このことに尽きると思います。多くの人はそれぞれの木の部分だけに気を取られがちのようです。


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スピーカーアタッチメントというモノの考え方 2001/09/06


 先ずスピーカーケーブルの先端に別のケーブルをわざわざ取り付けるという事に多くの方は先ず抵抗を感じるでしょう。出来るだけ余分な物は着けないというのがオーディオの基本中の基本ですから。ただ私の場合は色々と実験しているうちに、その方式に大きな可能性を感じたから出来る事なのですが、もしそうでない過去の私でしたら、人一倍口を”トンガラして”「とんでもない事だ」。と言い張っていたでしょう。 
 
 それと似たような事が実は以前にあったのです。それというのは今では有名になったオーラルシンフォニクスのACケーブル(ML−CUBED)を輸入してすぐの時に、山武エンジニアリングの社長に薦められた際、聴きもしないで反論したものでした。「配電盤から壁コンセントまで安いVAケーブルで配線されているのに、元から換えないで末端だけ換えたって意味ないでしょう!」。山武さん曰く、「まぁいいから!だまされたと思って聴いてみてよ!」。シブシブ差し込んで聴きました。途端に!「これ売る!沢山売って見せる!」、といって大量に注文していました。

 当時としては国産の機器は未だ100%ACケーブルの交換は出来ませんでした。ですからドリルで穴を開け、その後やすりで削って苦労して取り付けて売っていました。そんな事をしてまで各メーカーにこれからは絶対必要になるから着脱式にするべきだと強く訴え続けました。

 私なりにこの音の良くなる現象をどのように解釈したら良いのかじっくり考えてみました。そして、混んだ一般道路からバイパスに入って一気に車が流れ始める時の状態を思い浮かべました。わずか最後の数キロであっても車の流れがよくなればいい気分になります。ですから余分なモノと思い込んでいる事自体に落とし穴があるのであって、流れをいい方向に誘発するものであればプラスオンする事は大歓迎という考え方がその時以来出来るようになりました。

 すなわち道路(ケーブル)というものは車(音楽)がスムーズに流れやすいように作ってやる必要があります。盆や正月に高速道路のゲートが混雑しますがスピーカーアタッチメントの役割はそのゲートの流れを促進する効果と考えていただければといいと思います。それと常日頃から説明する時にもう一つの例えとして、水道のホースの先に取り付けるアタッチメントとしての役割もお話します。霧状の水であったり、ジェットノズルのような勢いのあるものであったり、音楽の場合のその多彩な表現を1種類のケーブルで実現することにはとても無理があります。


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未成年者にしか相手にされない日本の音楽シーン 2001/09/05


 年々音の悪くなるディスク

 この20年デジタルの進化と反比例するように日本のレコード会社の音は年々音が悪くなってきているように思えます。デジタル技術に過信しているのか?、それとも安く上げようとしてのことなのか?、とにかく打ち込みというやつで作った音の悪さといったらこの上ありません。何度も重ね録音をしてにじんだ音は合成写真や地上波TVのゴースト映像のようなもの。

 バーチャルミュージックと本物

 そんなことに慣れてしまったミュージシャン達も、生の緊張感の中でもまれる事も無く、パソコンのゲームと同じように機械相手のレコーディングに終始していれば、バーチャルミュージックしか出来ないでしょう。そこには人を感動させる力は到底ありません。

 30〜40年前の録音の方がはるかに生々しく生きた音楽を感じさせてくれます。亡くなった歌手の方でも今でも生きているかのような錯覚を感じます。そんな先人たちの残した熱き思いに気がつき学んで欲しいものです。
 
私たち音楽ファンがそれらの音を聴いて生の一発録りの音と区別がつかないとでも思っているのでしょうか?。スピーカーにへばりついてどの楽器の音も薄っぺらで平面的、聴いていても途中で止めたくなってきます。

 聞くに堪えないディスク

 ある時、無性に歌謡曲が聴きたくなり20枚ほどまとめて買いました。その中でも歌が上手いといわれているチヨウ/ヨンピルのベストものは特に楽しみにしていましたが、何ともひどい音で二度と聴く気になりませんでした。レコーディングエンジニアの皆さんはもっと自分の仕事に誇りを持って商品というより素晴らしい作品と呼べるようなものを創作して欲しいと思います。

 問われる日本のレコード会社の将来

 売れるから、金になるからといって安易に10代向けの音楽ばかりに夢中にならない事ですね。稼ぎの無い子どもたち相手にしか商売出来ないでいるのは情けないと思うべきでしょう。10代の時期というものは麻疹にかかったように音楽を聴きたいものです。

 少々お粗末な出来でも病気にかかっているようなものですから薬を欲しがるように売れますが、そこだけに特化したような商売を続けていれば日本のレコード会社の将来は無いでしょう。後に彼らが世帯を持つ年頃になるとピタッと買わなくなりますよ。


 価格の二極化が進むオーディオ

 さて、話をオーディオ機器に移します。プラスティックコンポと呼ばれる2〜3万円の物と単品コンポの違いについてスポットを当ててみましょう。後者は消費者から完全に見放され、中級の製品が全く売れないで一気に気違い沙汰価格のマニア向けの物と完全に両極に分かれてしまっています。単的にいえば「大して代わり映えがしない」という審判を下され、結局選挙でいう所の浮動票の大票田の支持が全く得られないでいるわけです。

 世の中の大半の人達はその低価格コンポで音楽を聴いているわけですから、楽器の音が楽器らしく、あるいは人の声が人の声らしく聞こえにくい、そうした音で耳が慣らされいますから今のようなJpop音楽が流行るのとあながち関係がないとは思えません。

 聞き取れない日本語の歌詞

 それは日本人が日本語で歌っているはずなのに日本語として聞こえて来ない、英語チックに「わざとそう歌っているんだ!」と言われればそれでおしまいですが、軽いノリを中心とした音楽は装置の良し悪しをあまり要求しないでも何とか楽しめるのでしょうか?、また逆にそうだからそのような感じの曲しか流行らないのでしょうか?。

 人々に愛される歌

 気持ちが手にとるように解る、言葉が、あるいは感情が心に染み入る、しみじみ・・・「あ〜音楽って本当にいいな〜」。・・・こうした感じ方は老若男女みんな変わらないと思います。出来ればいつまでも人々の心の中に生き続けるような世代を超えたヒット曲が生まれて欲しいものです。

夏が来れば日航機事故で亡くなられた「坂本九」の「上を向いて歩こう」がTVから流れて来ます。いつ聞いても素晴らしい曲です。これはひょっとして日本の音楽シーンに彼自身の願いとして訴えたい為にああした劇的な運命を選んだのかもしれない。いつまでも色褪せることなく・・・、今でも海の向こうのアメリカで誰でも口ずさめる曲だそうです、それも日本語でです。


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ケーブルは「空気中で振動しても」、「電気を流しても」同じような音の変化 2001/09/04


 あるひとつの法則に気づく
 
 15センチぐらいの長さで色々な線径のケーブルをブレンドしては聴きを繰り返しているうちに、ある一つの法則に気づくことになります。それは、線径の違いによってグラフィックイコライザーのように、音域エネルギーバランスが変化するということです。ですから、ある線径のケーブルを増やすとテナーがアルトのように変わったり、また線径が変わると、今度は逆にアルトがテナーのように変化したりするのです。

 今までは「太いケーブルは量感が出る」。くらいの概念しか持っていませんでしたから、まさかこのような変化が音に現れるとは思ってもみませんでした。その時にとっさに感じた事は、ギターの弦をつま弾く時に太い線から細い線に移行するに従って音程が高くなっていく、丁度そのイメージなのです。

 線径の太さと量に比例

 それから夢中になってその関係を調べる事になるのですが、結論としてはケーブルを「空気中で振動させた時も」、「電気を流した時も」、その「線径の太さと量に比例して音域エネルギーバランスが変化する」ということです。

 線径とエコー成分の関係

 それと細い線を増やすとエコー成分が多くなります。その事は時間のずれが多くなる事を意味しています。そしてケーブルの長さが長くなるほどそれが顕著になります。

 またそれとは逆に、ある程度の太さ(0,4〜2,0ミリ)の単線を使うと、力強く締まった音で今度はエコー成分は感じなくなります。しかるに、このことは時間のずれが少ないということになります。

 位相ずれを起こさない線径

 ですから、位相ずれを起こさないで、なお且つ周波数音域バランスに優れた線径というと、私の判断では0,6ミリという結論に達した訳です。それ以来ローゼンクランツではケーブルの基本を成す直径を0,6ミリにおいています。

 元々楽器には色々な音の個性や表情を持っていますが、その多彩な表情をある一つの線径だけで出来たケーブルでは、表現する事は無理だということがこの一連のケーブルブレンドの研究の過程から解ってきました。

 ケーブルブレンドの難しさ

 ならばその良いとされるブレンドされたケーブルそのもので、スピーカーケーブルを作ればいいじゃないかという考えが一般的な発想です。かのいう私もそう思いましたので、実験はしてみましたが、音のにじみが如何せん大きくすぐに頭が痛くなってきました。

 とてもじゃないが、ハーモニー点を見つけ出すことは難しいという感じ(尋常ではないストレス)が直感的にしましたので、結局この手の物は3本作っただけで止めました。それよりたった10数センチの長さで充分実験出来るわけですから、もっぱらその方法で毎日のように実験を繰り返しました。


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スピーカーアタッチメント誕生の秘話 2001/09/03


 マーリンというスピーカーの研究

 約10年程前、眼前からスピーカーの姿が消えるという触れ込みで当時話題になったスピーカーの話です。その名は「エクスカリバー」。マーリンというメーカーのフラッグシップモデルで背丈ほどはあろうトールボーイ。

 構造は8インチウーハーX2、3インチミッドX2、1インチドームツイーターX1のバーティカルツインタイプ。その主な特徴は、タイムアラインメントも完璧なメカニカルフェイズを採用しています。さらにエンクロージャーの不要な反射波を嫌ってそのぐるりを黒のサランネットで覆っています。

私の後ろにあるスピーカーがエクスカリバーです。手にしているのは当時私が
いち早く世に広めたオーラルシンフォニックスのACケーブル(MLキューブド)です。

ジャンパーケーブルから始まった研究
 
 ジャンパーケーブルの実験をしていて、あまりにも音のバランスが変わってしまうので困り果てていました。バイワイヤリング方式の走りの頃ですから、やる事なす事、初めてのことが多く、頭を抱える日々が続き立ち往生しておりました。

 そんな繰り返しのある日大きな発見をしました。それはどちらのターミナルからスピーカーケーブルを結線しようとも、片方には必ずジャンパーケーブルが直列につながる事は避けて通れないないということです。そうであるならば、ダイレクトに信号が入る側にも同じようにジャンパーケーブルをその先端に継ぎ足してやった方が、むしろ条件が同じになるではないかという発想です。

スピーカーアタッチメントの誕生

 作戦はまんまと成功です。その時初めてスピーカーから出て来る音が一つになりました。今まではどうしても「ハイ!貴方低音」、「私!高音」というようにバラバラだったモノが不思議なことです。この出来事が後のスピーカーアタッチメント誕生につながっていくのです。そしてそれから気の遠くなるような日々が続こうとは私には想像も出来ませんでした。


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360度無指向性スピーカーMBL-101購入 2001/09/02


 1,200万円のINFINITY(I.R.S)のあとは、金も無いのに無理して850万円もするドイツ製スピーカーを買ってしまいました。振り返ってみれば当時の私は前が見えず、新しい方式の物が目に入れば、このスピーカーこそ私を満足させてくれるという風に思い込み、物欲と好奇心が仲良くカップルになって私の心を突き上げてくるのです。

MBL-101

 気がつくと借金は大きく膨れ上がり、家族の者には心配と苦労を掛けました。私自身の肩に掛かるその重さは、その後返済するのに長い年月かかりました。しかしこんな無駄とも思えるような無謀な事も見方を変えて、「自分自身に投資をして来たんだ!」。と強く言い聞かせ、またそう思わなければやっておられません。事実、後にはそうした経験が強い自信となって今の私を強力に支えてくれているのです。

 私はジャズを4、クラシック2、ボーカル2、その他2位の割合で色々な音楽を聴きます。このMBL-101はクラシックは抜群なのですが熱く音が前に出て来て欲しい曲等は物足りません。その構造というと下から「ラグビーボール」、真中に「テニスボール」、一番上に「ピンポン球」が垂直軸上に乗っかっていると思って頂いたらいいと思います。

 ドイツのマイスターによって設計された、このスピーカーのタイムアラインメントの比類なき正確さが引き出すのであろう、間接音、空間表現等の官能音楽世界は素晴らしく、比較する物が他に無いほど魅力的で学ぶ物も多くありました。後にローゼンクランツの3ウエイスピーカーRK-R(ローゼンクランツ/リファレンス)を完成させるには大きく役立ったものです。それは5センチのコーン型ツイーター(バンドール)を後面開放にする手法によって臨場感と、その楽器自身の持つ個の響きを出す事に成功します。その生々しさは私の満足とする所であります。


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