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空間の時間軸の研究

両肩に重くのしかかるストレス!! 2003/03/18


 FM東京の取材


 2〜3日後に寺島靖国さんが我が東京試聴室に来られる予定になっております。よく分からないのですがFM東京の方と一緒に取材に来るという事なんです。活字としてではなく、対談の模様が生の声で放送されるんだろうと思うのですが、果たしてどんな事になるのでしょう?。

 二人が熱くなって、興奮状態にまでなってしまうのか?・・・。

 それを越えて、しらけてしまうのか?・・・。

 私のシステムの音を聴いて、

 多分、『この音は嫌いだ!』。

 と言われるに違いありません。

 いつの放送なのかが分かりましたら、

 告知させて頂こうと思っています。

 

 寺島さんの好む”カイザーウエーブ”のポジションは


 そんな予定を踏まえて、息子と二人で寺島さんが好むであろう音を事前に聴いておいて、”カイザーウエーブ”の中に記録しておこうという話になったのです。息子曰く、お父さんとは正反対の音を好むわけだから、とにかく谷間の音を色々と聴いてみようよと言うのです。

 『この音!、この音!、5年ほど前を思い出した・・・』。

 『ドシーン!、バシーン!・・・』。

 『あの人は余韻の無い音を好むんだから・・・』。


 と初めのうちははしゃいでいたのですが、何ヶ所も谷間の音を聴いているうちに憂うつになってきて、何ともいえない疲れが両肩に”ドーッ”とのしかかって来ました。もう止めよう!、聴きたくない音をわざわざ探そうとする負の行為は、とんでもなく疲れるという事を初めて体験しました。

 息子も同じ肩のコリを訴えます。急いで足のふくらはぎの健を伸ばす健康機器に乗っかります。少しは楽になりましたけど、このストレスは中々抜けません・・・。計り知れないほどの強い負のエネルギーを受けた事になるのでしょう。

 

 経験した事のない”凄い力のストレス”が両肩に


 翌日になって二人で冷静にその事について分析してみたのですが、ローゼンクランツのリファレンスシステムは全てに方向管理して作られている関係で、強力な音楽エネルギーが出ているのでしょう。それゆえに少しでも時間軸が狂うと、逆に大きなストレスとなって現れるのだろうというのが今回の実験から得た結論です。

 よくお客さんから相談として受けるのが、「聴き疲れがする」という言葉です。ただそのような場合は、音そのものにピークがあって症状がハッキリしているから、今までは解決もしてきておりましたし、むしろ当然と思っておりました。

 しかし今回の場合は、音そのものは全て上手く揃っているにもかかわらず、そうした現象に出くわした事です。私自身の生身で人体体験したようなものですから、これ以上にハッキリした事実は無いわけです。

 「オリジナル音楽波」と「反射波」がぶつかり合ってハッキリとした抵抗を受けているのでしょう。普段経験する定在波とはまったく違うものです。とにかく初めて体験する、特に1/4波長ずれた時のストレスは何ともいえない重圧として感じました。

 放送予定日が決まりました


----- Original Message -----
From: "I . I"
To: "貝崎 静雄" <info@rosenkranz-jp.com>
Sent: Tuesday, March 25, 2003 9:16 PM
Subject: 放送日

 貝崎様

 TFMのIです。本日の取材はどうもありがとうございました。

 見るもの、聴くものすべてが驚きとはこのことです。大変感銘致しました。

 さて

 放送日時は以下の通りとなります。

  4月5日 (土曜) 22時―23時 (ジャズ8)
  4月12日 (土曜) 0時―2時 (ジャズ8)

 ミュージックバードはTOKYO FMがプロデュースする音楽専門の衛星ラジオ放送です。

 世界最高(これホント!)の高音質のためジャズ・ファンやオーディオ・ファンに熱烈な愛好者がおります。

 ジャズ8はこの中のジャズ専門チャンネルです。

 そうそう忘れました。番組名は「寺島靖国のジャズ道場破り」です。

 ミュージシャンのHPとのリンクの際は下記URLでどうぞ。

 衛星デジタルラジオ「ミュージックバード」http://www.tfm.co.jp/MB/今後ともどうぞよろしくお願いもうしあげます。

 I . I 拝

--
I . I
株式会社FM東京 デジタル放送室
〒102-8080
千代田区麹町1-7
TEL03-3221-0080
FAX03-3221-4048


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「Rock Position」 と 「Jazz&Classic position」 2003/03/15


 Rock Position


 昨日の続きで”カイザーウエーブ”の秘密を探る為のテストをこれから行います。先ずスピーカーの振り角はそのままに、サウンドステーションの両サイドに青のマーキングテープを前後に長く貼ります。

Rock Position

 とりあえず、昨日息子がセッティングしたポイントを「Rock Position」と決め、その0.05kaiser(52.5ミリ)後ろの私が長い間慣れ親しんだポイントで改めてハりー・べラフォンテを聴いてみると、やっぱり、潤いとか、包容力とか、健全でハッピーな気持ちを感じることが出来るのです。

 Jazz&Classic position


 逆にこのポジションでハードロックを聴くと尖った部分がなくなり、確かに何か物足りなさを感じます。これは息子も私も共通に感じることです。そこで、仮にこのポイントを「Jazz&Classic psition」とします。

 どんな音楽であっても、「ソフトに入っているまんまを表現出来る事が理想のはず」、と10種競技の選手を理想と掲げて頑張ってきた私としてはこれでは何としても納得がいきません。


 情けないかな、理想のポジションと長い間思い込んでいたそのポイントも私の好みのポジションであっただけなのかもしれません。ならば、候補として残されたポイントは更にその0.05kaiser(52.5ミリ)後ろしか残っていません。

 

 Reference Position


 ベラフォンテのダニーボーイを不安6割、期待4割で聴き始めます。

 「いいですねぇ・・・!」。

 微調整をすればもっとよくなるでしょう。

 次は息子の好みのロックがどう鳴るか?。

 かなりイケルとは彼の弁。

 これで完全に追い込めば、

 「Reference Position」に成り得る事は二人とも共通に認識出来たようです。

 「じゃぁ、こうなったら一気に0.15kaiser(157.5ミリ)前に持って行ってみよう!」。

 微妙に違うけど、まったく双子の音ではありませんか!。

 「いや〜、何とも不思議な関係です」。


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”カイザーウエーブ”の中には何が潜んでいるのか? 2003/03/14


 初めてローゼンクランツのリファレンスシステムのセッティングを息子に任せてみました。何故かと言いますと、博多のアートクルーでの試聴会を一通り終えた後に彼がセッティングした音を聴いて、私自身だけではなく何人かのロックファンがその音に釘付けになっていたからです。何事であっても人を釘付けに出来るという事は簡単なことではありません。

 あれだけのアグレッシブな音は今の私には出せないでしょう。それは青春真っ只中にあって、自分自身もロックのギター弾きだから出せた音ではないかと思っています。その彼が音合わせに使ったディスクは、演奏と曲は一流でも録音が最悪というものでした。

 私がセッティングしていた状態では、今一歩乗れなかったそのディスクが今日は凄く良いと言うのです。「どれ、どれ?・・・」と言って仕事の手を休めて聴きますと、彼の言う通り良い雰囲気です。20代にタイムスリップしたように、ロックのリズムに思わず体が動きます。


 それでは・・・、とハりー・べラフォンテのダニーボーイを聴いてみます。

 うぅ〜ん・・・、何とも聴けたものではありません。

 先ず、声が10歳以上若く聞こえます。

 そして、一流の歌手の持っている声の潤いや伸びがありません。

 そこで、「何処をどういじったのか?」聞いたところ、

 『いつものスピーカーが置かれてあったポジションから52.5ミリ前に出しただけだ』と言う。

 それにしても、機材は何一つ変わったわけではないし、

 ケーブルやインシュレーターを替えたわけでもない。

 「どうして?、こうまで音楽の表現が激変してしまうのか?」。

 「これは徹底的に究明する必要がある」とその時強く感じました。


 そこで、私が立てた仮説が次のようなものです。

 ”カイザーゲージ”に書かれた0.15kaiser(157.5ミリ)毎の大きな青い波が、下って上るまでの間に小さな赤い音の良い山が2ヶ所あります。どちらの山も音楽の表現方法こそ違えど、”凄く良い”と感じるわけです。しかし、反面ではある種の音楽をかけた時には良くないと感じるように苦手を持っているという事も事実です。

 その「上りと下りのカーブの途中には何が潜んでいるのか?」

 と言うのが私の興味のそそるところです。

 生き物の生命線カーブと同じように「若い上りに差し掛かる線」と、

 「老いの下りに差し掛かった線」があるのではないかというものです。


 または、感情表現と同じように「優しさ」と「激しさ」、

 あるいは、「慈悲深さ」と、「残虐さ」。

 コンディション面では「絶好調」と「スランプ」、

 このように常に「陰」と「陽」が波動として繰り返しているものと解釈出来ないか?。

 こうした事を息子と二人で話し合い、

 明日もう一度、この事を究明する為に実験してみようと言う事になったのです。


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オーディオ単位に1カイザーを進めよう 2003/02/27


 ● A&Vヴィレッジ60号の編集前記より転載させて頂きました。

 ものにはいろいろな単位があります。メートル法もそうですし、尺貫法もその一つです。単位ですから、どれを使っても長さに変わりはないのですが、それぞれの単位にはその単位がフィットする何かがあるはずです。

 尺(シャク)という単位も、昔の日本人にあった単位だったのでしょう。今も家の単位の基本は尺で出来ていますね。クジラ尺というのは着物などに合った単位だったのでしょう。酒の瓶は今でも一升瓶や四合瓶です。

 ところで以前にも紹介しましたが、カイザーサウンドがオーディオにおける単位として1カイザー(105p)を提案しております。

 カイザーサウンドの「電気の時間軸」の研究の中で音のハーモニーの基本となる長さは1kaiser=「105」pであるという事を発見したのです。この長さを基本に小さい波で「52.5」mm、大きい波でその3倍「157.5」mm毎に音の良い長さがあるというのです。これは画期的単位になる可能性があります。

 
 この雑誌のピアノ講座を執筆している田中英資さんのところにもカイザーの貝崎静雄さんは勉強に行きました。そこで貝崎さんは自分の人生を変えてしまうような大変な発見に出会う事になるのです。

 ピアノという楽器の構造について色々と教えて頂いている時に、一番右にある88番目の鍵盤に張られた其音を成す弦の長さが平均で「52.5」mmだと言う事に行き会ったのです。これでまた、音の良い長さの単位1kaiserが強く証明された事になったと貝崎さんは考えています。

 詳しくは78頁の「音のカラクリ」をお読み下さい。今A&Vヴィレッジは、この1カイザーという単位の普及にご協力申し上げることにいたしました。ローカルメールでもケーブル販売などは全てカイザーで計る事にしています。

 そしてこれからは自作のアンプなどの内部配線も含めて全てをカイザーという単位に代えていったときの音の向上を目指したいと思っています。なおこの単位を分かりやすく進めるためにカイザー物差しを創ることになりました。この物差しが出来上がれば、音のいい長さの計測は非常に楽になります。ご期待下さい。

● 以上のように、A&Vヴィレッジの強い後押しを頂ける事になり心強く思っている次第です。


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9センチフルレンジの見事な音楽世界! 2003/02/26


 お付き合いさせて頂いて20年になるA.Kさんは、「10年前から達観されたのか?」、あるいは、「私の強い個性の悪い影響を受けたのか?」、Infinity I.R.S-βのハイエンドの世界から一転して、ジョーダンワッツの9センチフルレンジの世界に移り変わった変り種の方です。

 普段は公務員さんらしく大変温厚で、人間としての見本のように立派な方なのですが、事オーディオと音楽に関しては譲らないご自分の世界をシッカリと持たれた芯の大変強い方です。その半端ではないオーディオ遍歴をご紹介させて頂きますと、スピーカーだけでもざっとこんな風です。

YAMAHA NS-690
YAMAHA NS-1000M
JBL L-200
JBL 3way multi system
Infinity RS-2b
Infinity RS-4.5
Infinity RS-1
Infinity I.R.S-β
Redeemer WX-1
Jordan Watts 9cm Single

 この時点で年齢は30歳台半ば、聴かれる音楽はジャズ1本、それもボーカル物は一切聴かないといった徹底ぶりでした。それが、オーディオの原点から勉強し直そうと思って、私自身がフルレンジの研究に取り掛かったのがきっかけで、Kさんもすっかり変わってしまったのです。

 そうした意味では、良いも悪いも私の影響を強く受けた方はこのKさんの右に出る人は他に居ません。あれほどジャズしか聴かなかった方が、今では「田端義男」、「春日八郎」、「都はるみ」といった、日本の歌謡曲なども好んで聴かれるようになったのです。

 気が狂ったようにオーディオ機器を買い換えていた方が、

 ジョーダンワッツ以来コロッと変わったのですから、

 音楽の何が彼をそうさせたのか?

 音楽とは本当に強い力を持っている事だけは確かなようです。

 特に彼の口からよく出るようになった言葉は、

 「音楽性」と「抑揚」。


 CDプレーヤーもずっとスイングアームを使った物しか聴きません。安い高いではないのです。その基準は彼のハートを揺さぶる何かがなければ決して動く事はありません。そんなKさんに、久しぶりにミラクルサウンド・スクリーンを持ち込んで聴いてもらう事にしました。

 現在では天井から床まで着くほどのカーテンで、部屋のぐるりの大半を囲って、かなりデッドな環境で聴いておられます。そこへ、飛び切りライブな音を創り出す物を聴いていただくのですから、kさんも久しぶりに興奮したようです。


 ターゲットオーディオの40キロはあろうかという重たいスタンドの上に、可愛いスピーカーがちょこんと載っているだけのようですが、これがとんでもなく良い音で鳴るのです。特に低音に関しては、サイズをはるかに越えた音がしています。

 8畳の洋間ですが、何とかスピーカーの後ろにミラクルサウンド・スクリーンを置く事が出来ました。背後にもカーテンが吊ってありますので、初めの内は色々と置く位置を変えても、全くと言っていいほど音に変化はなく、正直言って私もガックリ来ました。


 そこで次にした事といえば、その背後のカーテンを真ん中から両角の方へ空けたのです。するととたんに、部屋中に音楽が充満し始めたではありませんか。井上陽水がそこで歌っているような実在感が出てきました。

 その”陽水”の歌から感じるのは、半端ではない歌の上手さです。

 < この人の代わりは誰もすることが出来ない! >

 と思えるほど、魅力と個性に満ち溢れているのです。

 限りなく生の肉声に近いからそんな風に感じさせるのでしょう。

 「このスピーカーこそ、最初にして終わりのものだ!」と感じました。


 また、このスピーカーは私の研究の一環で、アルミコーンの表面に仏壇屋さんに持ち込んで漆を塗ってもらったタイプの物です。ですから、ほどよい内部損失が生まれ、アルミコーン特有の共振によるピーキーな音はしません。


 ダンパーレス構造で微弱振動反応に優れているので、私の本心はこれを商品化したかったのですが、漆を塗る工程の下地の段階でペーパーでしごかなければ付きが悪く、その際にコイルとボビンに当たりが出る事があったのです。そんな事で商品化出来なかった曰く付きのものです。だからこそ、Kさんは何よりもこのユニットを大切にしておられるのです。

 さらに、ミラクルサウンド・スクリーンの位置関係を追い込んで行きますと、それは!、それは!、トンデモナイ世界になりました。結局、商売の事などすっかり忘れて、いつまでも、いつまでも、音楽をむさぼるように二人で聴いているのでした。



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スピーカー試聴に於ける問題点 2003/02/21


 ある日のA&Vvillage編集長との話の中での事です。

 「カイザーゲージを使ってセットした状態で、スピーカーの試聴レポートが出来ると良いのですが・・・」。

 何気なく話した私の一言に、すぐさま反応した編集長は、

 『じゃぁ、次の号がそのスピーカーの試聴になっているからやってみたら』と言うのです。

 < うぅ・・・、何たる決断力の早さ! >。


 『1月24日の10時半からパイオニアの試聴室でやるから、その少し前に来て準備しましょう』。

 その時点で、日にちは数日しかありません。
 
 とにかく!、電光石火のごとく!、話はトントン拍子です!。
 
 それは、A&Vvillageのメイン企画の一つであります【商品試聴】、これは評論家三氏(藤岡誠、高橋和正、神崎一雄)によるもので、毎号話題の商品を取り上げての試聴レポートであります。

 当日、目黒のパイオニアに出向きますと、10分もしないうちに神崎さんが姿を現しました。藤岡さんと高橋さんとは何度も面識はあるのですが、神崎さんとは初対面ですから名刺交換を済ませ、今日の私の仕事の内容を披露させていただきました。

 そのうち、高橋さん、藤岡さんも姿を現し、

 『どうして、カイザーさんがここに居るの?・・・』と、ご両人とも不思議そうな顔・・・。

 ちょうど、そこへ編集長が現れ、今日の趣旨を説明してくれました。

 スピーカーの前後位置に於ける音の違いを研究している、「カイザー理論」を元に今日のスピーカー試聴をやってみようという事です。

 『よっしゃ!、分かった!、じゃぁ、カイザー方式で行こう!』と、勢いのある掛け声。


 試聴室とはいえ、それにしても部屋の6面ほとんどが吸音状態ですから、全く一般の部屋とはかけ離れたものです。自分の発する声も日頃聞いたことのない声質です。こんな反射のない部屋で、前後軸の音の反射の違いが果たして出るのだろうか?、と少し心配はしましたが、調整するうちに同じような結果が出るのでひとまず安心です。

 しかし、出てくる音に響きというものが全くありませんので、音楽の魅力はかけらも感じる事は出来ません。こうした現実ではあり得ないような部屋で試聴する事そのものに意味があるのかどうか考えさせられてしまいました。

 機材と部屋を提供してくれているパイオニアの方曰く、『粗探しの部屋ですから、この部屋で鳴ったらどんな部屋に持って行っても良い音で鳴りますよ』。と言って部屋を出て行かれた。

 音の良し悪しをハートで受け止め感じるものなのに、その肝心なハートに訴えかけるものが無い状態でそれをしなければならないとなると、完全に頭のスイッチを切り替えなければなりません。「心そこにあらず」状態にしなければならない訳ですから、これには辛いものがあります。

 この環境で長時間仕事をしろといわれれば、私の場合なら精神がおかしくなるであろう事は間違いありません。とにかく、自然環境とかけ離れた、閉じ込められたような閉塞感を憶える、非日常の空間です。

 部屋の感想はここらあたりまでにして、実際に13機種のスピーカーをテストしたわけですが、結果から言ってまた新たな問題点がある事に気づかされるのでした。それは初めに聴くスピーカーでその部屋のベストポイントを探って置いたのですが、同じスピーカースタンドにサイズの違うスピーカーを次々とセットして聴く訳ですから、当然音の谷間に入る物があったりでコンディションの良し悪しが出てしまいます。



 その中でも図抜けた性能の音を聴かせてくれたのは、値段どおりでもありますが、B&W805シグネチュアー(1本280,000円)とディナウディオのスペシャル25(1本290,000円)でした。また、特に印象に残ったのはジンガリOCM106(1本90,000円)、これはコンプレッションドライバーにポプラのくり抜きホーンという本格的な作り、熱い歌心を朗々と聴かせてくれるのはイタリア製ならではのもの。


 そもそも、ベストのコンディションで試聴出来たらと願って始めた今回の試みでしたが、あまり意味のない事になってしまいました。これを徹底してやるとなれば、各社理想のスピーカースタンドまで併せて用意をしてもらい、なおかつ、それぞれのスピーカーの音源軸をその部屋の理想のポイントに置いてテストするべきでしょう。実は今回の私の思いはそこにあったのですが、準備不足で思い通りには行きませんでした。

 大変でしょうけれども、ここまで出来たら本当に各機種がベストのコンディションでコンペに参加出来ることになるのです。そうなった時に、なんとか平等で正確な評論が出来るように思いました。ですから、聴いていて「このスピーカーの本当の実力は、こんなもんじゃないだろうなぁ・・・!?」と感じる事が沢山ありました。

 しかし、それだけの事をやるとなると大変な手間とコストが掛かります。1冊580円のA&Vvillageにやれと言うのはあまりにも酷な気がしてなりません。さりとて、他に気骨のあるところも見当たらないのが現状です。

 他の専門誌にも色々な事を提案させて頂くのですが、一向に改善しようとする動きは見えません。そうした事を考えると、今回このようなチャンスを与えてくださった編集長の英断には恐れ入るものです。これでまた一歩前進、次なる時にさらに理想に近づけられるようになればと思います。


 この様に同じフロアーに大小の試聴室が何ヶ所もありました。


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空間の時間軸の研究 レイオーディオの1.25ミリの戦い 2003/02/07


 サウンド・ステーションを納品に


 サウンド・ステーションを発売前からご予約頂いた埼玉県越谷市のYさん宅へ訪問です。もう既に、お得意さんとしてYさんにはBIG JAZZをアンプに、REX(A)をCDにとお使い頂いております。日曜日の昼という事もあってか首都高速はガラガラでした。

 シンプルで魅力に満ちた物ばかり


 東京との県境ですから、距離にして20キロ強です。とにかくあっという間に着きました。Yさんのシステムはレイオーディオを中心にまとめておられます。スピーカーはKM1Vという小型モニター。スタンドとセットで丁度100万円。


 パワーアンプがJDFで120万円、それにスライド式のパッシブコントローラーと、どちらもレイオーディオ製。CDはマランツの94LTDでしょうか?、信頼のスイングアームタイプの物。これは当時私も沢山売った経験のある物ですから懐かしく感じました。


 リスニングルームは6畳の洋間


 部屋は6畳の洋間ですが、幅の広い方にスピーカーを置いています。その関係でリスニングポイントまでの距離は大変近く、それも定在波を嫌って斜めに置いてあるものですから、なんとわなく落ち着かない違和感を覚えました。奥には金属パイプで出来たロフトベッド(2段ベッドの下の部分がないもの)が陣取っていますので実質5畳といった感じでしょうか。


 初めて体験する音


 何はともあれ、そのままの状態で音を聴かせていただきました。

 一音出た瞬間、まったく残響成分のない鳴り方は、

 私の長い今までのオーディオ経験の中では間違いなく筆頭です。

 ある意味、私の出している音と同一線上でもあり、対極にあるといってもいいものです。

 「ご注文頂いたサウンドステーションをセットさせて貰ったところで、

 はたして、気に入って頂けるのだろうか?」。

 正直言って不安がよぎりました。

 ですから、今日の私はいつも以上に慎重になっています。


 「さて!?、どうしたらいいものか?」


 過去に、『他人のステレオを単に自分好みの音に変えてしまった!』。

 と揶揄された寺島靖国さんの件がありますから、

 私の価値観をそのまま押しつけるわけにはいきません。

 学習効果を持ち合わせていないようでは私も笑われ者になりますから、

 今日はこのように切り出しました。

 「パッ、パッ、パッと鳴った後、殆ど残響のない大変歯切れのよい音ですが、

 この現状の音からどんな方向へ持って行きたいのか、

 頭の中にある音のイメージをお聞かせ頂けませんでしょうか?」。


 お客さんの気持ちをよく理解した上で


 すると、Yさんはこう答えました。

 『スピーカースタンドの下に使っているタオックの鉄製ベースのせいかどうかは分からないですが、音が汚く、こじんまりしているのを、もっと、エネルギーを持って前に出てくるようにしたい』とおっしゃる。

 
 「サウンドステーションを導入しますと、

 広がりと音のエネルギーはシッカリと前に出てくるようになりますが、

 今のようなタイトな状態からもう少し肉が付き、

 楽器の響き成分が出てくるようになります」。

 「そのライン上でタイト感を損なわず、

 どの程度の響きが加われば自然なのかという問題になってくると思います」。


 いざ!音出し


 「それでは、これから実際にセットしてみましょう」。

 「今のところオフセットにスピーカーを置いておられますが、

 一旦基本に戻して、壁面に平行に置いて見ますので、

 その状態で聴いてみてください」。

 声にふっくらとした温かみが出てきて、Yさんは気に入った様子。

 お客さんの顔色を見ればすぐに分かります。

 ”Kaiser Wave”の説明


 「今のところ、いい方向に行っているみたいですから、

 これから本格的に追い込んだセッティングをしていきましょう」。

 もう既に、私の「空間の時間軸の研究」についてはウェブ上で見て頂いているので、やろうとしている事については何の抵抗感もないみたいですが、Yさんは、はたして、そこまでの効果を実際に耳で聞いて分かるのだろうかと心配のようではあります。

 オフセットセッティングの説明


 完璧なセッティングをするに当たって、初めに何の為にそうするのか説明してからでないと、途中で不安な気持ちになってもらってもいけません。要するに、スピーカーのセッティングの目的は、如何にロスなく、その部屋の空気を有効に動かせるかに尽きます。

 その為には、スピーカーが両サイドの真ん中にあることが理想です。幸いにベッドの下の部分には何もありませんので、空気の通り道としては計算に入れることが出来ます。そうすれば、少しでも有効にエアーボリュームを生かせます。


 私の推薦プラン


 問題点があるからそれから避けて通るという考え方があってもいいですし、もう一つは、その問題を正面から受け止め、どう対応する事が後に最良につながるのかという考えです。私は後者を是非採って欲しいと訴えました。

 いずれにせよ、「真っ向から問題点と向き合って解決してみませんか?」。

 Yさんにとっては思ってもいないようなプランニングの連続でしょうから、少し不安げな顔を覗かせることはあるみたいです。特に前後の空間の時間軸合わせが最大のポイントになりますので、それには慎重に時間を掛けます。


 色々な条件の中からサウンド・ステーションのフロントエンドが壁から850ミリの所を任意の点に仮決めします。もし、あとひと山後ろに良いポイントがあった時にずらせる余裕を持たせる意味合いからです。

 スタンド下にDADDY JAZZを入れて試聴


 事前にスピーカースタンドとサウンド・ステーションの間にDADDY JAZZを入れて試聴してみたいという事を伺っていましたので、すでにこの時点で入れて聴いていただく事にします。スタンドの構造上4点支持でセットしました。当然のことながら、サウンド・ステーションの真ん中にスピーカースタンドが来るようにフロントエンドから50ミリのところに合わせ込みます。


 アピトン合板製スタンドとサウンド・ステーションの木と木の時よりも、音の切れ込み面で一番大きく違いが出たようです。さらに、音楽の抑揚に効果があったと思います。したがって、強弱の表現が細やかに出てくるようになりました。


 

 ”Kaiser Wave” コンペティション


 先ず初めに1回戦として、後ろに80ミリ下がった770対930(80ミリ前)の聴き比べになります。

 似たような傾向の音ではありますが、930の方は少し風邪を引いたような音で明らかに770の勝ちです。


 次なる挑戦者は今日の起点となった850です。これは1秒と聴くまでもなくぜんぜん違います。

 先ほどの930よりも、もっとスカスカの音です。

 その中間に位置する810が挑戦者ですが、これは圧倒的な強さで810が1本勝ちです。

 デジタルな戦い


 新しく変わった暫定王者の810には790が挑戦者となって挑みます。

 このようにして次々と細分化して、勝ち抜き合戦をしていくのですが、

 始めた時には160ミリもあった両者の距離は、4回戦のここでもう既に20ミリに接近しております。

 790も張り切って挑戦したものの適いませんでした。


 ここらあたりから厳しい闘いになってきそうな予感がします。

 新たな挑戦者800と、2回勝ち抜いている810との距離は鼻と鼻先がくっつきそうな10ミリになっております。

 『はっけ〜よい!、のこった!』といった瞬間に挑戦者が勝っていました。

 これは強豪が現れました、800は接近戦にめっぽう強そうです。

 次なる805とは、たった5ミリの接近戦ですが、圧倒的な強さでまたもや800の勝ちです。

 次第に研ぎ澄まされる集中力


 初めは、Yさんもけげんな表情から始まったのですが、ここらあたりに来てからは本当に音が手に取るように見えるようになって来たのでしょう。私よりも集中力が研ぎ澄まされているようです。そりゃ〜、自分のシステムですから必死になるでしょう。

 ですから、ここら辺りからは一人でスピーカーの位置決めをしてもらった方が狂いが少なく良いはずです。そんな訳で、微調整はYさんにお任せしながら、私はもっぱらこの「音のカラクリ」を解き明かす事にクールでいるのでした。

 究極の領域での戦い


 一息入れたところで、また厳しいマッチプレーが始まります。2.5ミリの戦いの新たな挑戦者は802.5です。しかし、あえなく敗退しました。本当に800は接近戦に強いです。


 とうとう、挑戦者801.25の1.25ミリの戦いになってきたところで、結果は私もYさんも初めて迷い、判断がつかなくなりました。これは両者引き分けです。そこで、落ち着いてもう一つ逆戻りして耳を休ませる意味もあり、795と800とを聴き比べてみる事にしました。

 それでもやはり、800の勝ちです。という事は、限りなく800が優勝に近い位置にいることだけは確かです。

 さらに細分化して、797.5ですが、これも適いません。やはり800が強いのです。

 ”定在波”皆無の横綱誕生


 そして、先ほど優劣の判断が出来なかった1.25ミリの戦いに、もう一人の若い挑戦者798.75が暫定王者として残った800に挑む事になりました。


 これは凄い!。ハッキリとした形で勝負がついたのです。ここで新たな横綱の誕生です。たった1回の勝負で横綱を射止めてしまいました。初めての綱取りでものにしてしまったのは初場所の朝青龍のようです。

 まるで超伝導の世界!


 どうでしょう!、板張りのビンビンに暴れまくるであろう部屋には、気がついてみたら見事なまでの音楽が満ち満ちていて「”定在波”なんてどこの国の話?」というありさまです。ここでまた新たな新発見は、その部屋とスピーカーとの呼吸がピッタリ合えば、起こるはずの”定在波”も一緒に味方になってくれて共生出来るのです。これは、まるで超伝導の世界みたいです。


 書いている内に最後は相撲の話になってしまいましたが、今回こうして、「同一時空間」でYさんと私の共通体験から導き出した、6畳洋間に於ける理想のスピーカーセッティングの出来事でした。

 カイザー流、最後の追い込み


 この緊張が解けた後でも、どうしても気になるのは、やはり音像がスピーカーの内側にこじんまりしてしまうことです。なるほど、初めにYさんのご指摘にあったとおりで、今では私自身も同じような気持ちです。サウンド・ステーションを入れて大分良くはなったのですが、まだ全体の流れがよくないのはどこかに”抵抗勢力”があるからです。

 振動の基軸を合わせる

 
 「合板だから、あまり効果は出ないかなぁ?」と思いつつも、先ず手始めに、パワーアンプの下に敷いてあるアピトン合板の方向をチェックする事にしました。形状から見る限りどちらの向きに使ってもいいようになっている物です。

 前後は合っていましたが、天地を反対にした方がいいみたいです。そのついでに、スピーカースタンドとの関係において、両者の振動の基軸を合わせるために、前後・左右とも真ん中に来るようにします。

 合板であっても予想以上の効果


 これは効きました!。音楽のテンポが明確になり、また、何よりスケール感が20〜30%方上がった事が大きいです。合板であってもこれだけ響きの方向に大きく左右されている事が明らかになったのですから、いきおいスピーカースタンドに目が行かないはずはありません。

 実は、私が最初から一番気になっていたのはスピーカースタンドの組まれ方なんです。一つ一つをばらして響きの方向を徹底的に調べて行きますと、スタンドのほとんどのパーツも左右入れ替える事になりました。


 その徹底ぶりはそれらを連結しているボルトやナットに至るまですべてチェックします。また、スピーカー自体も左右を入れ替えた方がいいみたいです。それにしても、ここまでやるのは、世界広しといえど私以外に絶対いないでしょう。

 合板素材と無垢木


 今回私の頭の片隅にあった事は、レイオーディオのエンクロージャーに使われているアピトン製合板と、サウンド・ステーションの素材であるハードメイプルの無垢木がはたしてハーモニーしてくれるのだろうかという心配でした。

 ご承知のように、合板という構造は木の繊維を90度ずつ交互に張り合わせてある物です。したがって、狂いが生じにくいという長所がある反面、音については”パッパッ”と止まるような傾向があります。

 流れにくい物⇒流れやすい物へ


 無垢木は響きが美しい反面、狂いが生じやすいという長所と短所がお互い裏腹の関係にあるものです。響きには程度問題がありますが、音楽の旋律としては”流れ”というものを必要とします。

 その両者の振動の流れの方向を上手く揃えることに成功したのは、Yさんが私の腕を信じてスピーカースタンドをバラシテ組み直すという作業をO.Kしてくれたところにあります。ちなみに、ローゼンクランツのサウンド・ステーションは「前に」、「上に」、「外に」広がるように設計されております。今回は、その考えに沿うように組み直したのです。

 「流れにくい物から流れやすい物」に引き継がれたから好結果が出たのですが、「流れの良い状態から流れにくくなる」という、これが逆の場合であれば、却ってストレスを感じる結果になり、よどみのない美しい音楽性は手にし得なかったでしょう。

 ダテじゃなかった世界の木下


 やるだけの事をやったらKM1Vはとんでもない怪物に化けてしまいました。ここまで追い込んで出てきた音は、やはり、世界の木下でした。40歳にもならないYさんが私の好きなナット・キング・コールをかけた時には最高でした。

 トンデモナイ音質のディスク


 『懐古趣味であるわけではないのですが、

 気がついた時には、

 自然とこの時代のものが多くなっていたんです・・・』。

 と気恥ずかしそうに話すYさん。

 「当然です!、誰が聴いても良いものは良いのです」。

 そう言いながら、Yさんがおもむろに出してきたのは、

 トンデモナイ音質のディスクです。

 「うぅ〜む・・・、この感じの音は昔聞いたことがあるぞ!?」。
 
 ディスクでは出ない音!。

 そう!、まるでマスターテープの音そのもの!。

 お尋ねすると、行方洋一(なめかた)さんが手作りでマスターテープからダイレクトでCDRに記録した物らしい。値段も超一流1枚30,000円なり。しかし、オーディオチェック用にこの1枚は持っておいても充分に価値のあるものです。

 お客さんの笑顔が一番嬉しい


 気分が良くなったのでしょう、『コーヒーを入れてきます』といって1階の方へ彼が降りて行ってるわずか10分位の間に、とんでもなく良い音に変化して行っているのです。コーヒーを持って上がってきた彼の驚いた様子は、目が”クルン、クルン”になっていました。

 そして、気持ちよくDADDY JAZZを8個買って下さいましてありがとうございました。



 後日お客様からメールを頂きました


 ----- Original Message -----
 From: "H.Y"
 To: <info@rosenkranz-jp.com>
 Sent: Friday, February 07, 2003 1:34 AM
 Subject: 2/2の感想


 貝崎 殿

 H.Y。

 遅くなりましたが、感想文を送付します。


 貝崎さんが拙宅にやって来ました。まずは、現状の音をお聞きいただきました。どのような音にしたいのか訊かれたので、「粉っぽくなく、エネルギーが前に出てくるような音」とお伝えしました。

 スピーカースタンドの下に敷いていたタオック4547Bをサウンド・ステーションに替えただけでも、タオック固有の金属音がなくなり、音がのびのびとしてきました。この方向性は、予想通りの効果でした。

 片チャンネルだけPB-DADDY JAZZを入れ音質を確認した所、これまた予想通りの音!。セッティングの検討は、インシュレーターを入れて行うことにしました。まず、一旦まっさらの状態にして音の確認です。

 具体的には、スピーカーの背後にセットしていた自作の吸音板(高密度グラス ウール製)を取り払い、壁面に平行にスピーカーをセットしました。このとき、左右の壁からもそれぞれのスピーカーが同一距離になるようにしました。出てきた音は、かすれた汚らしい音!。

 次に、ホームページに書かれているように、前後の音質比較を行いました。「はたして、素人の私が細かな音の差を聞き分けられるのか?」、という不安がよぎりました。最初は、ソニーロリンズの「サキソフォンコロッサス」で聴き比べをして いたのですが、聴き進めていくうちに、わからなくなってしまいました。
 
 そこで貝崎さんが、「ボーカルを聴いてみましょう」と提案され、ソフトを替えました。あえて高音質ではないJ-POPにしました。島谷ひとみ「亜麻色マキシ」(AVCD-30382)です。するとどうでしょう?。いい悪いの判断が容易にできるようになりました。

 
 いい音=声が朗々とする。

 悪い音=声がハスキーになる。

 この違いは明確です。

 『人の耳は、人の声を聞き分けられるようにできているんです』。

 という貝崎さんの説明に思わず納得!。

 最終的にはわずか1.25mmまで追い込んだわけですが、

 ここまで聞き分けられたのは自分でも驚きです。


 そのことに対しても貝崎さんは、

 『ローゼンクランツのインシュレーターは1/100mmの精度までコントロールしています。

 1mm程度のセッティングの差が聞き分けられて当然です』。

 と、お答えになりました。


 そうです、もともと我々にはその能力が備わっているのです。ただ、いいコンディションで音楽を聴くことはまれなので、本来あるべき姿を知らないだけなのです。位相が合っている音とは、まさにこういう音なんだと納得できました。

 もう1つ勉強になったのは、見た目が大切だということです。貝崎さんが部屋に入ったとき、小さなスピーカーの割には威圧感があると思われたようです。セッティング後の姿は収まる所に収まったという感じで、部屋との調和がとれています。音も部屋と完全に一体になっています。また、ノイズカットトランスの向きを変えたときも、理論的にはなかなか説明がつきませんが、よい方向に変化したのが事実です。

 最後になりますが、今の音は、自分にとってエネルギーがやや希薄な印象が あります。これは、スピーカーを内振りにすることによって解決できると考えています。ただ、ウーハーの付け根を軸にして内振りにするのは至難の業です。今の音を基準として、新たな目標ができました。まあ、気長にやっていこうと思っています。長時間にわたりご調整いただき、ありがとうございました。


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”Kaiser Wave”発見のきっかけ 2003/02/02


  ”Kaiser Wave”発見のきっかけ


 音の良い山と、良くない谷を交互に繰り返す”Kaiser Wave”発見のきっかけは、インシュレーターの開発過程において、1/100ミリ刻みの「波動コントロール」という手法を編み出した事にあります。「肉を切らせて骨を絶つ」、まさにこの戦法にあったのです。

 同じ二つの真鍮素材を用いて、緩衝材の役割を持つお堀に相当する両者をつなぐハンダの溝を設けます。中央部の浮島構造になっているところが、まさに肉の部分に当たります。そして、0.2ミリ下がったところにある二枚腰の母材部分で勝負するのです。

 相手である音楽振動の動きをよく見極める


 そして、この部分においても、最後の最後まで相手に相撲をとらせる手法を採っていますので、相手の動きが事細かく読み取れるのです。実はローゼンクランツのインシュレーターの音楽性豊かな秘密はここにあったのです。ここでいうところの相手とは、「音楽振動」の事であり、最後まで相撲を取らせるというのが、音楽の微振動である「ピアニシモ」の事です。

 身近な例で説明いたしますと、出来るだけ相手を近くに引き付けておいて、目にも止まらぬ速さで直前に相手を打ち砕くボクシングのカウターパンチと同じなのです。また同じようなことは、イチロー選手のバッティングにも相通じるものがあります。

 彼ほどボールを手元に引きつけておいて打つバッターは、バリーボンズを除いて他に見当たりません。球を最後まで見極める事が出来ますから、それだけ有利になるわけです。

 とはいえ、これも両刃の剣で、人並みはずれた「動体視力」と「反射神経」なくしては出来ない事です。それともう一つ忘れてならないのが、「しなやかな筋肉」が必要とされます。普通は判断は早い方がいいと思われがちですが、決してそうではありません。

 しかし、悲しむべき事はインシュレーターに限らず、世に出ている大半の製品が不要振動を嫌うがあまり、それを排除する事に躍起となり、必要な音楽情報まで失ってしまっているのが実状です。

 横綱相撲の対応力


 予測は早く立てるに越した事はなく、しかし、決断までのあいだの時間を長く取れるということが対応力につながるのです。すなわち、感覚としては勝ちに行くのではなく、どんな戦法で攻められても負けない手法なのです。

 言い換えてみるなれば、横綱相撲といってもよいでしょう。相手に充分相撲を取らせておいて、おもむろに自分の形に持ち込み悠然と寄り切ってしまう。だから、ローゼンクランツのインシュレーターは、どんな音楽にも対応出来る理想の姿なのです。

 部屋空間における”Kaiser Wave”


 ハンダ層の溝切りの深さを1/100ミリ刻みで音を追い込んで行った際に、恐ろしくも、交互に、そして、くっきりと音の良い山と谷に出くわしたことです。こうして鍛えられた私の耳は、他の人達と知らないあいだに大きな差となって磨き込まれて行ったのでしょう。

 そして、あらゆる物づくりを通しながら一つ一つ検証してきて、空間の時間軸に於ける”Kaiser wave”存在の確信を得るに至ったのです。これについては、0.1ミリ刻みに計るというわけにはいきませんが、0.15kaiser(157.5ミリ)毎に繰り返す波を発見したのです。


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カイザーゲージの使い方 2003/01/19


 音の良い任意のポイントを見つける


 カイザーゲージを使ってのスピーカーのセッティングの仕組みを説明してみたいと思います。0,15kaiser(157,5ミリ)毎に音の良いところがあるのですが、その波動の習性を利用してスピーカーのベストの置き場所を探し出すのです。

 今現在スピーカーが置かれている場所を起点にして前に80ミリ、後ろに80ミリの範囲の中に、音の良いポイントと良くないポイントが大きなもので1つずつあります。小さなポイントでは3ヶ所ずつあります。

 0,15kaiser毎にある音の勝ち越しポイント


 先ず、一番大きな音の良いポイントが見つかったならば、そこを起点にして157,5ミリ間隔で音の良いポイントが波状になってあるのです。仮に最初に見つけたポイントが相撲に例えれば、8勝7敗の勝ち越しポイントと見立てます。

 次の勝ち越しポイントが10勝5敗であったり、9勝6敗であったりすると思っていただければ容易にイメージ出来るのではないでしょうか。その中で一番良いと思われるところがその部屋に於ける幕の内最高優勝になるのです。


 音の谷間も知っておくといいでしょう


 逆に、その間の0,75kaiser(78,75ミリ)毎の谷間に当たるところが、音の悪い負け越しポイントになります。それらも、7勝8敗から5勝10敗、6勝9敗であってみたり、また、3勝12敗等成績が色々とあるのに気がつく事でしょう。


 kaiser waveの原理は水泳のターンに似ている


 「オリジナル音源波」と「反射波」、そして、「後追い波」の関係は水泳のターンの関係によく似ています。壁に近づき過ぎると、上手く足で壁を蹴れません。また、手前過ぎると脚が伸び切っていて、充分な貯めが取れないために、これまた脚のバネを有効に使う事が出来ません。

 このように、タイミングが少し早かったり、遅かったりする事によって、最大の力を取り出せなくなるのです。現時点では、低・中・高音のエネルギーバランスが狂う事まではつかんでいますが、前方に位相がずれた場合と後方にずれた場合にどのような関係にあるのか、これから細かくデーターを採っていく予定です。


 部屋の空気を一突きで最大に動かせる”ツボ”


 一番大きく音の変化が分かるのが、このスピーカーの前後の位置関係からです。これをもっと細かく調べて行くと、上下と左右の関係も忘れてはなりません。こうして導き出された3次元の1点がこの部屋の空気を一突きで最大に動かせる”ツボ”になるのです。

 この上下のポイントを見つけるには、上下に伸縮するマイクスタンドに取り付けたフルレンジ形のスピーカーでテストすると、簡単に探し出す事が出来ます。そして、そのスピーカーのコーンの付け根の所に、実際にセッティングするスピーカーを重ね合わせてやればいいのです。

 ユニットの数が2個、3個となった場合には、音楽のファンダメンタルな部分が多いミッドレンジユニットのコーンの付け根で合わせます。


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徹底した”空間の時間軸”の調整 2003/01/14


 B&W800と6畳の空気とをどう折り合いを付けるのか


 初めてお手合わせをするB&W800に期待を膨らませて、いざ!相模原のKさん宅へ!。ただ、事前に聞かされていたのは6畳の洋間という事ですから、果たして強力なウーハーのエネルギーをどうやって、その「6畳の空気の量と折り合いを付けられるのか?」というのが今日の私にとってのテーマです。

 ほぼ約束通りのペースで相模原の町に着いたのですが、小田急の相模原駅の踏み切りを渡るのに20分ぐらい掛かってしまいました。その混んだ相模原銀座の商店街を抜けたところにTさんのお住まいはありました。

 ”無料クリニックキャンペーン”の適用


 家の前で洗車をしていたKさんが、私達の方に向かって手を振ってくれていましたのですぐに分かりました。今日も助手に息子を連れての訪問です。車から荷物を出すよりも先に、荷物を置けるスペースがどれくらいあるのか?、事前に拝見させて頂いてからの方がよさそうです。今日のKさんも”無料クリニックキャンペーン”の適用をさせて頂くことになっております。

 部屋は大変スッキリとしている方ですが、それでも3人入るとそうスペースがある訳ではありません。そこで、とりあえず必要な物だけを持って仕事に取り掛かることに致します。事前に大体の戦略は決めていましたが、システムを拝見してもその方針に変わる事はありませんでした。

 KさんのB&W800は波動の谷間に入っていた


 先ず、現状の音をお聞かせ頂く事から入りますが、鳴っていたのはヒュージョン系の曲です。ナルホド!、この状態であれば欲求不満が出て当然です。ミッド以上の音にはそう不満がある訳ではないようです。とにかく、低音が重たく中音とのつながりが上手くいっておりません。これにはKさんも同感のようです。

 そして、その対策として今回のRK-BWと共にスピーカーケーブルとプリを変えてみようかとお考えのようでした。ちなみに、現時点でのTさんのシステム・ラインアップは以下の物です。

スピーカー B&W ノーチラス800 (SPケーブル芋の蔓+ムジカライザ-)
パワーアンプ アキュフェーズ P1000X2 (バイアンプのパラレル使用)
コントロールアンプ アキュフェーズ C290V
CDプレーヤー DENON DCD-S1


 何も買う事無く、私の腕でどれだけ良い音になるか?


 今日の最大のテーマは「スピーカーが今の部屋とどう折り合いを付けるか?」なのですが、それでは「どうすればいいのか?」といっても、大半の方は物を買い換えることによるグレードアップしか見当たらないのが実情ではないでしょうか?。そこで、「何も買う事無く、私の腕でどれだけ良い音になるか?」をこれからやってみる事にします。

 インフォームド・コンセンサス


 その為には、事前に「何故このような音になっているか?」の説明をしてから物事に入らなければなりません。いわゆる”インフォームド・コンセンサス”というやつです。第1波としてスピーカーから出た音=これを私は「オリジナル音源波」と呼んでいます。

 徹底した”空間の時間軸”の調整


  1. その第1波がリスナーの背後の壁に当たって、反射波となって今度は「第2波のオリジナル音源波」とぶつかります。正面衝突した音のエネルギーは、この時点でかなり殺されてしまいます。
  1. その反射波が再びスピーカーの背後の壁に当たって、今度はオリジナル音源波の「後追い波」となって、似たような音がかぶさってきますので、”悪玉”となって音を滲ませたり、濁らしてしまうのです。
  1. 例えて言いますと、”後追い合唱”のように、この後追い波が「一小節遅れ」でキチンと追いかけてくれさえすれば、「波動が合って」今度は”善玉の残響”となるのです。
  1. この重なり具合一つで、低・中・高のエネルギーバランスが複雑な複合状態となって、良くも悪くも”千変万化”するのです。
  1. その部屋の空気の重なり具合や微妙なアンジュレーションによって、美しくも、力強い響きにもなるし、汚く、うるさい音にもなってしまうものなのです。
  1. すなわち、音とはスピーカーが出すのではなく、スピーカーと部屋との共同作業によって成り立つものなのです。その両者の育んだ部屋の響きとして私達は音楽の良否を感じるのです。
  1. これは、「電気の流れ」とか「振動の流れ」よりも分かり易く、誰もが理解出来る現象です。
    「皆・さ・ん、今・す・ぐ・に・で・も、是・非・試・み・て・下・さ・い」。
  1. この「空間の時間軸の波動コントロール」無くして、音楽を音楽として感じる事はあり得ません。これは、調律の狂った楽器で演奏している状態と同じに考えて頂いていいでしょう。
  1. 機材の良し悪しよりも、先ず最初にありきは「空間の時間軸の波動が揃うこと」です。その方が音楽として楽しめます。なおかつ、その上に機材の性能が良ければ申し分ありません。
  1. 10.  ステレオで良い音がする条件は、「電気の時間軸」と「振動の時間軸」と「空間の時間軸」の3つの時間軸が合わなければなりません。⇒ステレオで良い音がする条件は、「電気の時間軸」と「振動の時間軸」と「空間の時間軸」の3つの時間軸の整合性が何よりも重要です。
  1. 私の研究に於いては、この3つの波動はすべてリンクしていて、音の良い長さの単位 "1kaiser"=105の整数倍から成り立っています。


 1/16 kaiser(6,5625mm)まで追い込んで調整


 この徹底した空間の時間軸の波動コントロール調整を、私も今日初めて、厳しく細かい単位1/16 kaiser(6,5625mm)まで追い込んで調整したのです。特にB&W800の持つポテンシャルが相当高いものがありましたから、ほんのわずかな変化でも如実に顕われ大変分かりやすい結果が得られました。

1kaiser(105) ⇒ 1/2kaiser(52,5) ⇒ 1/4kaiser(26,25) ⇒ 1/8kaiser(13,125) ⇒ 1/16kaiser(6,5625)

 この重さ150キロもあるB&W800をミリ単位で10回前後、左右ですから20回も動かすのですから、これだけで大変な時間を割きました。こうした、常軌を逸した波動コントロールによって、テストディスクに使ったダイアナ・クラールの歌声の表情がコロコロと変わるのです。

 3度くらい前後して聞くと、どの位置にすればどのような変化をするのかが大体シュミレーション出来るようになってきます。この時のコツは少しずつ動かすのではなく、一番後ろと一番前といった風に、振れ過ぎのように大きく動かすとどういう風に変化するのかがよく分かります。

 具体的な音の変化としては、中音と低音がバラバラな感じになったり、ソプラノがメゾソプラノに聞こえたり、ツイーターから高音が出ていないような状態になったり、またそれとは逆に高音がうるさ過ぎるような鳴り方になったり、まるで、グラフィックイコライザーを触っているように変化するのです。

 出てきたいくつかの問題点


 この「空間の時間軸の波動コントロール」を終えた後、しっかりとマーキングをしておき、スピーカーの下に座布団を用意した上で、そっと150キロもあるB&W800をうつ伏せにして寝かせます。もう既にTさんは800を購入した時点でボールキャスターからスパイクに変更していましたので、これで2度目の足回り変更になります。


 私にとって800にRK-BWを取り付けるのは初めてでしたので、幾つか問題点が出てきました。前回スパイクに交換する際にピアノ運送業者が6角のネジの頭をつぶしてしまい、今日そのネジを輸入元のサービスが届けに来たのですが、いざ取り付けようとしたらそのネジが合わないのです。

 お粗末なサービス体制


 この800用は801と802よりネジが一回り大きいのです。輸入元でさえその事実を知らないのですから困ったものです。まして、このネジは頼んでから2ヶ月待たされたというのですから、あまりにもお客さんを軽視しています。ネジなんて高くてもせいぜい100円くらいの物でしょうから、サービスパーツとして持っておくのがインポーターとしての使命です。300万の買い物をしてこのサービス体制では、消費者からの信頼は到底おぼつかないでしょう。

 セッティングとはノウハウの塊です


 ですから、このネジ1本足らない為に私はもう一度ネジが入った時点で取り付けセッティングに行かなければなりません。輸入元のサービスが「やります」というのですが、ネジの交換さえすればいいのではなく、完璧にセッティングしたのを崩されるのが嫌だからです。


 音の帝王の名に恥じない為にも、カイザーサウンドはそれだけの拘りとプライドを持った仕事をしたいのです。しかし、これも責任感だけではなく、「次回にどれだけ音が良くなっているのか?」、私個人が知りたいという欲求があるから出来る事なのです。

 本日のメインイベントRK-BWの取り付け


 3点支持にしてみようとして後部のふたの部分を押さえてみますと、設置したい場所が軟弱で出来ません。この800は4点支持方式しか出来ないことが判明致しました。とりあえず、RK-BWを取り付けた時点でPB-BIGのオスを入れない状態で鳴らしてみる事にします。


 これだけでも、今までのスパイク方式とは比べ物にならない情報量の違いです。また、どんよりとした粘質系の音もしなくなりました。これは、Tさん自作のプチルゴムを多用したスピーカーベースが原因だったと判明。

 サウンド・ステーションの威力は凄い


 次に持ってきたサウンド・ステーションをスピーカーベースとして使ってみる事にします。一同驚きです!。まるで、倍の広さの部屋になったかのような広がり感が出ました。木の響きの方向を縦・横・高さと管理して設計しているのが狭い部屋に置いて大きく効いたのです。これには、開発した当の私自身もビックリです。


 何よりも”音楽の美味しい部分”が出て来るようになるのです。木に付いたままで熟した果物の自然の甘さは、最後まで大地から養分を貰っていますから店頭で売っている物とは全く違います。そうした”本物の素の美味しさ”と共通するものです。

 脇役と主役


 根太材に使ってある程よい柔らかさの米松が床との喰い付きをよくするのでしょう、音に”粘りと溜め”が生まれます。音楽の骨格を支えるコントラバスのような実に素晴らしい脇役ぶりなのです。それがあるからこそ、主役のハードメイプルが強弱、緩急と自在に、まるでムチがしなるように”ソリスト”として歌い始めるわけです。


 そのサウンド・ステーションの説明の中で、「スノコに似た構造をしておりまして」と私が喋ったものですから、それ以来Tさんはその事を自然と”スノコ”と呼ぶようになりました。

 曲が変わる度に、”グイグイ”と音が良くなってくる


 最後に本来のRK-BWになる為にPB-BIGのオスをRK-BWの下に入れてペアリングしてやります。やはり、振動の道筋が決まるととんでもない音楽情報が出て来るようになりました。3分ほどで曲が変わる度に”グイグイ”と音が良くなってくるのですから、この先どんな音に発展して行くのか想像出来ないくらいもう既に凄い音です。ある面ヤスケンさん宅の801を凌いだ音になりました。

 この音を聴いた時に初めてB&W800の値段が802の倍である事に納得しました。ちょっとヤバイ音になりました。でも、Tさんは、もうすっかり自分の物といった顔をしております。しかし、私とてTさん同様に、このサウンド・ステーションが無いと東京試聴室も音にならないので困りものです。


 『この”すのこ”は、一体いくらなんですか?』。

 「いや〜、出来たばかりで、まだ値段は決めていないんです」。

 「予定としては、この長さ630、幅525の物をMサイズとして10万円と考えております」。

 『お支払いが次回でよろしければ、このまま頂きたいのですが・・・』。
 
 こういうのには弱いんです。
 
 「う〜む・・・、ハイ!、分かりました、それではこのまま置いていきます」。


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これだけ本物の残響を作り出す装置は世界にはこれしかないよ! 2003/01/12


 ミラクルサウンド・スクリーンを一体どうやって運ぼうかと悩んでいたのですが、昨日の普段より熱めの風呂が効いたらしく、運良くぎっくり腰が治りました。実際には風呂のせいだけでもなく、半分は2〜3日前から急に物凄い数の試聴申し込みが入り始めたのが、もっと大きな理由なのかもしれません。商売人は売り上げが薬と言いますから。

 村井裕弥さん宅へミラクルサウンド・スクリーンを2組持ち込み試聴して頂きました。

 結論から言いますと、彼は

 『村井邸で鳴った今までの最高の音だ』。

 と公言したのです。

 『カイザーさん!、今日はお時間いいですか?』。

 「はい、いいですよ」。


 聴いて頂いたのは16日(土)の14時からですが、訳あって夜の8時過ぎまで居る事になったのです。そのあまりもの音の素晴らしさに、このまま持って帰られるのはもったいないということで、村井さんが興奮した声で片っ端から、音仲間に電話を掛けては聴きに来ないかと誘ったのです。その結果3人来る事になりました。そして、その後6人で大賑わいになったのです。

 私自身もその音の効果の物凄さに言葉も失いました。それは何故かと言いますと、カイザーサウンドの東京試聴室では全ての物が同じ思想で作られている関係上、同じ軸上に良くなったのであって、全く激変と言う事にはならなかったからです。


 それが、村井さん宅では「全く次元の違う音楽の世界」に一瞬にして変わってしまったのです。また、壁にもたし掛けただけの時と、きっちりと専用スタンドに取り付けたのでは、全く別物と言ってもいいぐらい能力に違いが出たのには驚きました。

 ですから、今日のそうした出来事からして、私自身が1番このミラクルサウンド・スクリーンの出来栄えに自信と確信を持つに至ったのです。当然手伝いに連れて来ていた息子とて同じ考えのようです。はっきり言って、息子の耳は私の何倍も良いですから。何たって、生まれた時からステレオ漬けの中で育ったのですから当然といえば当然です。


 その息子曰く、『これだけ本物の残響を作り出す装置は世界にはこれしかないよ!』。

 『アナログ、デジタルの如何に関わらず、電気的にいくら演算して作り出したとしても、これだけミュージシャンが何を言わんとしているのかが解る物は無い』。と言うのです。そして高価な何百万もするようなイフェクターを使っても、所詮電気は電気、今日のような本物の生の響きは出ないと言い切るのです。

 この理論と方式とそのノウハウは、誰にも真似の出来ないものである事だけは確かです。そう考えると、このミラクルサウンド・スクリーンは使う人によって価値が何十万でもあり、何百万でもあるから、値段は有って無いようなものとも言うのです。
 
 彼はギター、キーボード、ドラムとやるのですが一番得意なのはギターだと言う。エリック・クラプトンのアンプラグドを今まで何度聴いてもどこが良いのか解らなかったが、今日初めて何から何まで理解出来たと言うのです。そのとんでもない「技巧」と「感性」がミラクルサウンド・スクリーンによって引き出すことが出来たのでしょう。

 平凡なステレオからでは、それらのテクニックを聞き取る事が出来なかったのが理由であると判明したそうです。演奏するに当たって「何を意図しているのか」と言う事でしょうが、残念かなそうした内容だけは、楽器の弾けない私にはチンプン、カンプン。ただ、楽器を何の為にどのように弾こうとしているのかは解りませんが、音楽そのものがどう良くなったかは、弾けない強みでよく解ると言うのはあるのです。


 近いうちに二つの部屋を続き間にして広く改造する予定だそうで、それが終わったら村井さんは、是非ともミラクルサウンド・スクリーンを導入したいようです。片付けた後スピーカーの後ろが何とも殺風景になってしまったのも、ミラクルサウンド・スクリーンの支配していた音の存在感が大きかった事が視覚面でもうかがい知れます。

 その声を聞いて安心して村井邸を後にしたのですが、路上パーキングに停めてあった私の車に何やら赤い張り紙がしてあるのを発見!。嫌な予感がしましたが、300円前納していないので駐車違反になっても仕方が無いという警告書でした。私はてっきり後払いかと思い込んでいました。明日の朝4時から広島に向けて出発しなければいけません。今晩は早く寝ないと、とんでもない忙しさが待っているのです。張り紙の件は広島に着いてから、月曜日に電話をして「どのようにしたらいいのでしょうか?」と訪ねると、もうお金はいいからと言って勘弁してくれました。


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「ハーモニーの正体」と「和の根幹」 2003/01/11


 組み上がったミラクルサウンド・スクリーンをオーディオラックの背後に置いてみました。

 すると、今まで壁や窓ガラスにもたし掛けていた時の頼りなさそうな感じが全く無くなりました。

 ”キリッ!”と自分自身の力で立てるようになった事を見てくれと言わんばかりに、

 重力線に対して素直に立っている姿は、美しく誇らしげなものです。

 思わず、”良くやった!”と言いたくなるようないでたちです。


 壁等に立て掛けていますと、せっかくの美しいミラクルサウンドの響きが殺がれてしまいます。

 特に、音が解き放たれた後の、最後に消え入るようなピアニシモが途中で止まってしまうのです。

 正にそれこそが、楽器の場合は何万円の物と何億円の物との差になってしまうのです。


 この写真からイメージをして頂きたいのですが、空間にスピーカーから解き放たれた「音楽の波動」がミラクルサウンド・スクリーンに当たって反射するパターンは図のように複雑に撥ね返ります。



 そして、何ミクロンかのわずかづつ時間のずれた残響が、

 いつまでも、いつまでも、萎える事無く、生き生きと、

 耳だけでなく人体に心地よい波動となって語りかけてくるのです。

 7本からなるこのミラクルサウンド・スクリーンに手で触ってみると、

 1本、1本が微妙に膨らみとくびれに違いがある事に気づきます。

 しかし、音楽を奏でる波動のピッチにおいては寸分の狂いもありません。

 そうなんです、それこそが『ミラクルサウンド・スクリーン』の”ミラクル”たる所以なのです。

 これが「ハーモニーの正体」であり、「和の根幹」であります。



 このポールは一人のロクロ職人が精魂込めて作っているのですが、

 もしも、このポールを複数の人間が作ったら、もうその時点で音は一巻の終わりです。

 ましてや、NCで作ったりしたら一見同じ寸法でいいようですが、何をか言わんやです。

 もっとも、2メートル近い長さの物を加工出来るNCもありません。

 その場合は、まったくもって音楽の気は出てこないでしょう。

 今の時代に欠けているものはこうした考え方であります。

 和とはそれぞれ違う個の尊厳が力を合わせて生み出すものだからです。

 気持ちの入った音楽とか精神世界とはそうしたものだと思います。

 物作りにもしっかりとしたコンダクターが必要なのです。


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照明のピンスポットから学ぶその大切さ 2003/01/10


 壊される『音楽の原型波』


 何事も、まともに正面から衝突してしまっては、大変大きなダメージを受けてしまいます。「音の反射波」とて同じです。昨日、ミラクルサウンド・スクリーンをリスナーの背後に立てた事で判明したのですが、クロス張りの平坦な壁に当たった反射波が、スピーカーから発せられた音にまともにぶつかり、それを壊してしまうのです。

 その壊れ方が千差万別な訳でして、家財道具も何も置いていない部屋で会話をすると、凄い反響音がして頭がガンガンするのは良く分かります。そこで、引越しを終えてその部屋に荷物が少しずつ入ってくると、それはそれで解消されてきます。

 しかし、その時点で解決したと思うのが落とし穴です。相手の言葉もハッキリと聞き取れますから、会話レベルの事でしたら別段不自由は感じません。しかし、音楽再生という事になれば話はまた別です。あらゆる周波数に対して、もっとハッキリときれいに聞き取れるようになる事が理想です。

 「帯びに短し、襷に長し」


 その聞こえ方に対しては、どのような部屋であれば音楽が美しく聞けるのかという、豊富な体験による比較材料を持っていなくてはなりません。しかし、今まではこの点に於いて私たちが充分ではなかったのです。

 現時点に於いても、いくつか音響パネルや吸音材が発売されていて、前々から必要な物とは充分に認識しておりました。しかし、私にとっては何れも「帯びに短し、襷に長し」の感があり、それで、今回自分自身が満足出来る物を作ろうと思って開発したのです。


 「ピンスポットの照明」を当てたように


 パーフェクトと言っていい位満足の行く状態に出来上がった、そのミラクルサウンド・スクリーンの音については、こうして、今正に格闘しながらの実験中な訳であります。今回イメージとして思った事は、沢山の音が入り混じった状態から、「ピンスポットの照明」を当てたようにステージ上にソリストがクッキリと浮かび上がった事でした。

 色々な楽器の音色がこれほど美しいものであったのかと思う事と、楽器という個々の者たちが織り成すハーモニーの美しさが、スピーカーから聞けようとは夢物語のようであります。

 具体的には、ボリュームを上げた時にありがちな、高域の暴れやひずみ感といったものまで取れたのには驚きました。こうした現象は伝送系のケーブルによっても引き起こされますし、振動の関係でインシュレーターによっても解決する事から、この事一つをとってみても、今私が解っているのは少なくとも3つの要因があるという事です。

 後方からの、間接音もどきの直接音


 また、こうした魅力ある音を手に入れようと、他方では5チャンネル方式も普及しつつありますが、本来間接音のはずである音が、後ろからのスピーカーによって、直接音という形で間接音情報を出そうとする不自然さが、どうしても私の耳には違和感を感じてしまうのです。

 オーディオ業界の次なるテーマはオーディオシステムと部屋との関係、この「空間の時間軸」の研究に尽きると思います。まだまだ、2チャンネルでやる事は沢山残っています。


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スピーカーとその部屋の位相の関係(大型スピーカー編)」 2003/01/09


 前のところで、スピーカーから発せられた「直接波」と、その後やって来る『後追い波』について説明させて頂きましたが、大型スピーカーの場合でしたら、前に出したり、後ろに下げたりの微調整をする事など実際には不可能に近いでしょう。そこで、私も考えました。いい案が浮かびましたのでご披露したいと思います。

  1.  出来ればどんな安物でもいいですから、小型フルレンジのスピーカーを1セット用意していただきます。そのスピーカーで「直接波」と『後追い波』がハモッテ量感や倍音(低音から高音まで)がよく出る位置を見つけ出します。この時に側壁との位置関係(ハーモニーポイント)も同時にチェックしてやれば申し分ありません。
  1.  先ずそれで、その部屋に於ける理想のポイントが見つかった事になります。その後する事は、その小型スピーカーのコーンの付け根の位置を割り出します。この時、床や側壁にテープでマーキングしておくといいでしょう。
  1.  次は、実際にセットしたい大型スピーカーのウーハ−のコーンの付け根の位置と、先ほどマークした小型スピーカーのコーンの付け根の位置とを合わせます。これがスピーカーの位相合わせです。
  1.  その後、レーザーセッターできめ細かく追い込んでやればもう完璧です。

 <注意>

 完璧を期するなら1,の段階でレーザーセッターで距離、左右角、仰角この3点を追い込んでやると、後でセットする大型スピーカーの理想の位置を割り出すのがより楽になるでしょう。


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スピーカーと部屋の位相の関係 2003/01/08


 スピーカーから放出された1次波がリスナーの背面の壁に反射してぶつかる波が生まれます。もう一つはその波がスピーカーの背後の壁に反射して『後追い波』となって第1次波と重なってきます。音楽を聴いている間はこれが延々と繰り返される訳です。

 この関係が上手く行っていないと音楽のきれいな響きは到底得られません。それで、昔から吸音材とか部屋には色々と物があったほうが良いといったことが言われて来たのです。半分は合っていますが、それではあまりにもいい加減過ぎると思います。

 今日はその『後追い波』について詳しく実験をしましたのでご披露したいと思います。先ず部屋の前後の長さがありますが、生活するにおいて許される範囲でスピーカーの置ける理想の場所を探していきます。

 先ず最初は、自分の勘でここらあたりが良いのではと思う位置にスピーカーを置いて音楽を聴いてみます。後は、今置いている所にテープでマーキングします。そして、その次は105ミリの間隔で前に2ヵ所、後ろに2ヵ所合計5つのマーキングをします。


 こうして、前に出したり後ろに引いたりして音を聴きますと、声の領域が低音側に移動したり、高い方に移動したりして違いに気が付くようになります。また、ある楽器の音色が弱くなったり強くなったりの変化にも気がつくようになるでしょう。

 こうした調整をローゼンクランツでは「波動コントロール」と呼んでいるのです。そして、仮に前から2番目と3番目当たりが良かったという印象が残っていれば、もう一度復習するようにその両方の音を聴いて見ます。

 ここまでくれば耳も研ぎ澄まされていますので、どちらが良いか判断がつくはずです。そして、2と3の間の音も聴いてみると、もっと細かく「音のタイミング」や「エネルギー感」などいい感じがつかめます。

 さらにその52,5ミリの半分の位置の音まで聞き分けられたらもう完璧です。これらの事は音楽家が楽器の音合わせをするのと同じ事なのです。音は全て波動から成り立っていますのでこうした事が起こるのです。


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空間の時間軸の研究 2003/01/06


 空間の時間軸の研究


 ただいま、ローゼンクランツでは「ミラクルサウンド・スクリーン」という「音響拡散装置」を開発中であります。それをきっかけに、今回新しく『空間の時間軸』と言うものにスポットを当てて研究して行こうと思っています。

 スピーカーが音を出しているのではない


 ステレオという道具を通して音楽を楽しむ趣味を持っている私達ですが、この話を進めて行くにあたって、一番初めに認識しておいて頂きたい重要なテーマがあります。それは、ややもするとスピーカーの音を聞いていると思いがちなの事です。しかし、スピーカーという物は部屋の空気を動かしているだけであって、決して音を出しているのではありません。

 空気が無ければ音にならないわけですから、実際には『スピーカーと部屋の空気の共同作業』によって成されたものを音として感じ止めているというのが事実です。そのスピーカーと部屋によって影響を受けた、空気の動き方の違いによって様々な感じ方を持つわけです。

 空気の波動を音と感じている


 その空気の動きは波動から成り立っていて、山と谷を複雑に繰り返しながら”心地良く感じる音”と”不快な音”を同時に作ります。そこで問題となるのが、どのような条件が揃った時に私達が良い音と感じるのかという研究です。

 もうすでに、「電気の時間軸」の研究の中で、音のハーモニーの基本となる長さ=「105」ミリという数字を発表しております。小さい波で「52.5」ミリ、大きい波でその3倍「157.5」ミリ毎に音の良い長さがあります。


 1kaiserを裏付ける大事件


 実は、田中さんというピアノ調律師の方を勉強の為に訪ねたことによって、私の人生を変えてしまうような大変な発見に出会う事になるのです。ピアノと言う楽器の構造について色々と教えて頂いている時に、一番右にある88番目の鍵盤に張られた基音を成す弦の長さが平均で「52,5」ミリだと言うのです。

 「えええぇぇ〜〜!」、その話を聞かされた時には、腰が抜けそうなほど驚きました。そして、すぐさま「何処の部分ですか?」と言って見せてもらいました。その時に、私の頭にピンとひらめいたのは、「昔の人も『1kaiser』を使っていたんだ!」と言う思いです。これでまた、音の良い長さの単位1kaiserが強く証明された事になります。

 ”電気”と”振動”と”空間”の3者はリンクしている?


 もうすでに、「電気の時間軸」と「振動の時間軸」については、表裏一体の関係にあって同じものであると結論付けてきました。次は、その両者と空気の動き=「空間の時間軸」がどう関係しているかという事です。私はその3者がお互いに影響されながら、何か共通の約束事の元にリンクしているとにらんでいます。

 このような仮説を立てられること自体が、知識や理屈から物事に入るのではなく、自分の五感に素直に自然体で接して来られた事が良かったと痛感しております。一歩間違うと危険に陥りやすい面もあるのですが、それは、日頃の心構えや努力によってセルフコントロールするしか方法はありません。

 音楽は人間にとっての栄養源


 音楽というものは、喜びや悲しみと共に命をつなぎ続けて来た日常の生活行為の中から、自然発生的に形成されてきたものと思っています。また、音楽のみならずスポーツや演劇、娯楽といったものも、同じく人間にとって欠かすことの出来ない栄養源なのです。


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