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三菱とNHKの共同開発による名機2S-3003

ダイヤトーン・故郷・愛媛・島田貴光氏

AMIE(ハンドルネーム)さんがダイヤトーン2S-3003を持っていると聞いて、私はすぐに島田貴光(たかあき)さんを思い出しました。実は島田さんは愛媛県岩城島の出身で、郷里が同じと分かってからは私を弟のように可愛がってくれていました。

私が島田さんに電話をかける時の呼び方には幾つかあって、とっさに使い分けていました。「お兄ちゃん!」、「親分!」、「先輩!」等、時には茶目っ気たっぷりの「パパ!」なんてのもありました。『大勢の人間と付き合ってきたが、お前さんのような奴は初めてだ!。何を言ってくるのか分からんからヒヤヒヤしてかなわん』。伊予人同士は、こんな”よもだ”が通じ合うのです。

島田さんは東芝Aurexの責任者として業界の発展に尽くされましたが、ダイヤトーンマニアとしても大変有名でした。物を大切になさる方で2S-305のコーン型ツイーターのスペアーを幾つか大事に保管なさっていて、『このユニットが自分にとって一番大事なんだ!』と宝物のように箱から出す姿を今もハッキリと覚えています。それはリビングの大型5wayシステムの中核を成していました。

”勿体無い”、”有り難い”の代表格である昭和一桁を地で行っていました。『お前になら譲ってやってもいいか!』なんて心を許してくれていたのに・・・。今の私があるのは島田さんのお陰の部分が少なからずあります。

今回の里帰りクリニックでは、”愛媛”と”ダイヤトーン”という二つの単語が重なって、ふと島田さんの事を思い出し、ちょっとセンチメンタルになってしまいました。以下は島田さんに触れているぺージです。ご覧下さい。

'01/1/19 島田さん宅訪問
  '02/5/12 島田さん宅訪問

AMIE邸の問題点の洗い出し

さて、本題に戻りましょう。『一番相性の良いパワーアンプ(アムクロン)が修理で出払っていて本調子ではありませんが、アンプは他にも6〜7台ありますので、何が良いか言って頂ければ繋ぎ直します』。

「ふむふむ、どれがいいかな・・・」。
  「う〜〜ん、今繋がってるビクターの業務用アンプのままでいいでしょう」。

ぐるりと周りを見渡すと、博物館かと思えるほどのオーディオ機器が部屋四面にビッシリです。ちょっとしたオーディショップなら今すぐにでも開けるほどの量です。また、涙が出そうなほど懐かしく思い出濃い機器もありました。

「これだけのオーディオ遍歴を物語るAMIEさんに対しては、どんなマニアの人も気後れして、当たり障りの無い事しか口にしないでしょう?」。「またショップの人の場合だと持ち上げるような話し方しかしないのでは?・・・」。と差し向けると、『そうですね・・・』と否定する様子はありませんでした。

「しかし、今日はクリニックという折角の機会でもあり、私に限っては同じ役回りはしたくないので、一期一会の気持ちで感じたままの本当の事を言わせて貰っていいですか?」。

『どうぞ宜しくお願いします』。

1曲聴いただけですぐにピン!ときました。
  ”伸びやかさの無い痩せ細った音”<これは私の頭の中での独り言です>。

「これはCDプレーヤーに問題がありますね!」。「スピーカー台のベースに使用しているボードや石の響きの方向性が不揃いな点も大きく足を引っ張っています」。「また、低音と高音が位相反転しているような音は、今使っているスピーカーケーブルに原因があります」。「以上の3点が大枠での問題点です」。

入力系、伝送系、変換系はオーディオの三本柱です。その各分野で看過出来ない問題がある故、名機2S-3003が持っているであろう実力の40%しか発揮出来ていないのです。「従って、”6割引で売って貰って、初めて定価で買った”といった感じでしょうか・・・」。AMIEさんにそんな酷な言葉も発してしまいました。

カイザーサウンドの格言

カイザーサウンドには、”カイザーサウンドの格言”というのがありますが、それを元にこれから説明申し上げましょう。

足場の問題はAですから上下、左右、前後の響きの方向性を見切った上で配置転換してやれば見違えるようになります。

スピーカーケーブルはBですから@の物に交換するしか方法はありません。

CDトランスポート(P-50s)はそのままでは調律が狂っている状態にあるのでBに当たりますが、それをカイザーサウンドの独自の技術”加速度組み立て”というモディファイによって、調律を取り直し@に変えてしまう方法です。

@ 鳴るように出来ているものは鳴るようにしてやれば鳴ります。
  A 鳴るように出来ているものを鳴らないようにしているから鳴らない。
  B 鳴らないようにしか出来ていないものは鳴らそうとしても鳴らない。

エソテリックのトランスポート及びCDプレーヤーの問題点

滅多な事にはCDプレーヤーが諸悪の根源となっているといった反応は出ないのですが、それを購入された時のAMIEさんはよほどくじ運が悪かったのでしょう。しかし、この後で処置する”加速度組み立て”の結果が全てを証明する事になるのですが、最悪⇒最高に変身しますから”自分は却って運が良かった”と思えるはずです。

「それにしても、これじゃぁアンプをとっかえひっかえしても何をやっても間違った判断に繋がるだけですねぇ」。エソテリックのCDは筐体構造が鉄骨ビルのようにごつく、その上数え切れんばかりのネジでガチガチに留めてあります。格闘家のボブ・サップが楽器を弾いている姿を想像して頂くと良いでしょう。

音楽で一番大切な和音の元となる法則性を成す基音倍音が、悪い振動パターンによって強殺されているのです。それはまた、ピックアップのピットに対してのフォーカシングのブレにも繋がるでしょう。それがもたらす悪影響は容易に想像出来ますよね。肩に力が入っている時は何事も上手く行くものではありません。

野球をやっていた私から観ると、速い球に差し込まれ、バットの根っこに当たったピッチャーゴロのような音であります。オーディオ機器の理想は五重の塔の芯柱の如く振動エネルギーが大気中に放出されるメカニズムがなければなりません。

音を聴いた瞬間に問題点を見抜く力はどうやって身に付けたのか?

しかし、音を聞いた瞬間に、何故私にはこのような判断が出来るのでしょうか?。皆さん不思議がります。その答えは唯一つ。ひとえに集中力と訓練しかありません。本番で良い結果を出そうと思ってもそう甘いものではなく、たまにはまぐれもあるでしょうが、練習の時に出来る事しか本番では出来ません。

格闘家や野球の事を例に挙げましたが、手品師しかり、音楽家しかり、はたまた溶接技師しかりです。”努力の賜物”ですとか、”努力の結晶です”とか、よく言われるように、結晶のレベルにまで到達しなければなりません。その結晶に成るには成るだけの絶対条件が必要になります。その要素が揃って初めて結晶が誕生します。

オーディオでは何をやっても音は変わりますが、変えた瞬間は音が悪くても後で良くなったり、またその反対の現象に出くわす事もあります。ここらあたりまでは誰もが経験している事でしょうが、その変わり方が5分後、10分後、1時間後、数時間後、あるいは2日後、1ヵ月後の音が読めるようでなければなりません。

その間退屈でもじっと音を聴き続けなければ、人に見えないものが見えるようにはなりません。これには24時間音の事だけに時間を割けるだけの生活環境が許されてなければなりませんので、他に仕事を持つ一般の趣味人の方達にとっては不可能に近いものです。

問題の解決法は「加速度組み立て」=カイザー独自の技術

メーカーにおける組み立て工程では、電動ドリル片手に何も考えずにビーン、ビーンと留めて行くのが当たり前です。これでは何万回締めても何十年勤めても1ミリとて進歩しません。だから人も部品のように代わりが幾らでもあると考えられてしまうのです。工業製品とは言え、オーディオは芸術性も関係してくる代物です。

”どれ位の力加減で締めたらどういう音になるであろう”とイメージして締めると、その試みた数だけの音でありデーターが脳に蓄積されます。その訓練を積めば積むほどスキルアップし、脳と手先がリンクして意図した音を作れるようになるのです。

出来なかった事、難しかった事も、繰り返し挑戦し続ける事によって徐々にこなせるようになり、当たり前のレベルがどんどん上がります。ハイエンドと名が付くオーディオ機器であるなら、楽器と同じようにネジ締めこそ最後の仕上げであり、魂の注入であると考えて事に当たるべきだと思いませんか。

私はネジ1本に関しても適材適所を考えながら、どうすれば一番音が良くなるか?、常に考えながら魂込めた調律を心掛けます。すると不思議な事にネジの方から”私をここに使って下さい”という声が聞こえてくるんです。

”そんな事で音が変わるはずがない”と思う方はそこで思考停止ですから、その時点で成長はストップです。”そんな馬鹿な事などあるはずがない”と思う事はこの世には沢山あります。今や何十センチの厚みの金属だって水で切れるのです。

”ネジ締めの本来の目的は正しいエネルギーの伝達”にあります。

そのネジ締めに関しての私が発見した法則性をこの場を借りて初めて公開致しましょう。母材(B)に対して留めたい物(ネジの頭が接する側の物)をAとすると、Aの厚みに対して適切なネジの長さがあります。ネジが長過ぎるとBの素材の音色が支配するウェートが高くなり、短いとAの音色の支配率が上がります。

仮に鉄にアルミ金属板を留める場合でも、それぞれの素材の音色の比率配分を自在に調整出来るのです。勿論確実に留めるという強度的な問題が優先されなければならないのは言うまでもありません。オーディオ機器のシャーシーと底板、あるいは天板等の素材による音色の違いが顕著に出るので要注意事項です。

カイザーサウンドでは常に誰もやらないであろう事に目を向け、誰にも真似の出来ない新技術の開発に日夜努力しています。

■エソテリックCDの加速度組み立て例・・・その@
  ■エソテリックCDの加速度組み立て例・・・そのA

今回AMIE邸の問題点を一発で解決して見せる事が出来たのも、その裏では上述のクリニック事例にあるように、今までに同じような問題を何度も解いた経験があるからです。

何はともあれ、ESOTERIC P-50sの入魂の加速度組み立てが完了しました。さて、先ほどと同じ曲を聴いて頂きましょう・・・。

音が出るや否や、AMIEさんとRYOさんの二人はその化け具合に驚き、AMIEさんは思わず『おお〜ぉ〜!?』と昇天したかのように雄叫びを発したのであります。実は私もこれほど変わった例は過去に経験した事ありません。それ位元の状態が悪かったのと、まぐれで上手く行ったのとの両方で得られた結果です。これは紛れも無く故郷とその先輩の島田さんが力をくれたのでしょう。

2S-3003が俺の本当の実力を引き出してくれる人が現れたと嬉しがっているのが痛いほど伝わって来ます。先ほどウーハーのコーンを指先でコンコンと打ち付けた時の感触からして、こう鳴って当然という音がちょっと顔をもたげて来たようです。ALTEC 416よりちょっとタイトでありながら艶っぽく潤いもあるそんなイメージです。

”これはこの先楽しみだぞ!”。<武者震いし始めたのが判ります>。

私をそんな気にさせるスピーカーに出会うのは久しぶりです。

スピーカーボードの向きの是正

タオックのボードはMDFの材料の間に十八番である鋳鉄粉を入れて作られています。物に方向性が生じるメカニズムは、戸籍簿と同じように先に生まれた物から後に生まれた物に向かって形成されます。

この場合MDFの材料の樹木粉がボンドで固められる工程で、先に固まり始めた方から最後に固まった方へと方向性が生じます。この習性を音楽を奏でるに都合の良いように配列設置してやるだけです。

ここで方向性のおさらいを一つしておきましょう。一番分かり易い木の成長を考えると、根っこ側が長男で枝先が末っ子です。根っこ⇒枝先が順目となります。カンナ掛けもそれが順目になります。ケーブルの方向性も同じです。先に引き出した方から最後に巻き取る方へとなります。

方向性というのはこちらを向いて話すのと、背を向けて話すのとの違いと思って頂くと理解し易いでしょう。AMIE邸の場合は左はこちらに向いていたのですが、右が背を向けていたのです。その症状をこの部屋ではどうやっても右の音が逃げると表現されていたのです。これも逆相現象の一つです。要するにy=sinxとy=-sinxの関係だったのです。

御影石には目がある

冒頭で石の方向性について触れましたが、実は石には目があって逆らった向きに鋸の刃を入れたのでは、順目に比べて切る時間が何倍も掛かってしまいます。振動を加えても響きが抜けて行く方向と抜け難く反発する方向があります。

その石の目を音と眼で見切り、響きが上に前に走るように設置してやるのです。これをローゼンクランツでは”加速度設置”と呼んでいます。私が書いた配置パターンのメモを見ながら、1個40キロもある石をAMIEさんは苦も無く持ち上げ一人でやってのけてしまいました。

振動の種類によってエネルギーも変わるし音色も変わる

振動や方向性の話が出たついでに、インシュレーターについて少しお話してみたいと思います。どんな素材であっても固有の振動数を持っていますので、どこか一つは音色の魅力として見つける事は出来ます。その変わった事が仮に良かったとしても、果たして次に繋がるのかどうなのかの見極めが重要となります。

オーディオセッティング技術はこうしたあらゆる組み合わせの中で体験を積んで行くのですが、それらひとつ一つにおいて高速度写真で観るかの如く、音のベクトル分析が出来るようにならなければなりません。それを一言で片付けると、”全ては振動のパターンと音色の関係解明”です。

インシュレーターに求むべくは、あらゆる波長の振動エネルギーが”瞬時瞬殺減衰”出来るかどうかに掛かっています。その為にはそうなるべく秀でた構造が必携必須となります。その点ローゼンクランツのインシュレーターは”歯と歯茎の振動減衰メカニズム構造”を用いていてる上に、前後上下の方向性管理を示すAマークの刻印入りですから素晴らしいパフォーマンスを約束致します。

今回は時間の都合等でその実力を知って頂く事は出来ませんでしたが、”インシュレーターの王様”に是非とも関心をお寄せ下さいませ。

ウーハーの位相が250°ほど遅れて聞こえる

今繋いであるスピーカーケーブルだと、私の耳にはツイーターに比べてウーハーの位相が250°ほど遅れて聞こえます。本来聞こえて来るはずの人の声でも楽器の音色でもなく、ただ低音と高音とに分かれたスピーカーの音として識別してしまう職業病としての辛い性が顔を覗かせて来ます。

僅かな違いをも見逃さないので、ことステレオのセッティングには良い方に働くのですが、単純に音楽を楽しもうとする場合には辛い思いをする事が多々有ります。例えばレストランに出向いた時に、スピーカーから聞こえてくるBGMの音があまりにも不快な場合には、店に入ったかというようにきびすを返す事もあります。

これまでの的を得たクリニックによって、2S-3003本来の能力が発揮出来るだけのコンディションが一先ず整いました。この先は位相ずれの無いスピーカーケーブルでないと、長所以上に短所が更に大きく増幅されてしまいますので、ここだけは当社の新製品であるRGBaシリーズのケーブルで聴いて欲しいと思います

バイアンプ駆動なのでスピーカーケーブルが2ペアー要ります。同じ物は無いのでウーハー側にSP-RGB1a、ツイーターに真ん中のモデルのRGB2aを繋ぎました。繋いだ端から驚きの声続出のケーブルですからかなりの期待はしていましたが、ここまで生々しく鳴るとは事前にイメージ出来ませんでした。

RGBaケーブルは音の良い長さの組み合わせを何ヶ所にも盛り込んだ過去に例の無い画期的な構造のケーブルです。

RGBaケーブルの詳細はこちらをご覧下さい。

予想通り一気に大化けしました。

バスドラとウッドベースの音の素晴らしい事!。

弾ける音、うねり揺れる音、惚れ惚れするスピーカーです。

さすがNHKと三菱が共同開発しただけの事はあります。

今回のクリニックでは急所とツボだけに的を絞った上でのセッティングでしたが、2S-3003は脅威のパフォーマンスを見せてくれました。これを頭のてっぺんからつま先まで万全な体制で挑んでみた時に、どこまでの音楽を聞かせてくれるのか?オーディオ人として猛烈なラブコールを掛けてみたい衝動に駆られた事を打ち明けてペンを置きたいと思います。

追記

AMIEさん、「この先使わないであろう機材は処分なさって、私に全てを託してみられませんか?」。この世のものとは思えない”音楽の理想郷”へご案内しますよ!。

今回のAMIEさん、RYOさんの2件のクリニックは、私の故郷への凱旋ともなり、更にオーディオの高みに挑戦する決意与えてくれるものとなりました。

From: "AMIE"
Sent: Saturday, April 24, 2010 1:57 PM
To: <info@rosenkranz-jp.com>
Subject: Re: A.F様 ← カイザーサウンド(貝崎)  

こんにちは。
11日はありがとうございました。

右側の違和感は普段から気になっていた部分でした。ただ、誰も指摘してくれ なかったので自分の耳がオカシイのだと思っていました。仰られるように気にな っていても言えなかったのかもしれませんが。(笑

CDはアナログが良すぎるから、こんなものでしょうと皆さんが言われていたの でこんなものなんだろうと思っていました。CDは本当に大化けしました。PCの世 界でもネジの締め具合や順番、使用場所などで調子が悪くなることがありますか ら加速度組立は非常に納得のいく作業でした。高度な産業機械でも同様なことが あるとパナソニック系の技術者から聞いたことがあります。

SPのネジをガチガチに締めている人を多く見かけますが、あれはどうなんだろ うと思っていた一人です。趣味の世界ですから何をしようと勝手なので発言した ことはありませんが・・・。(笑

他の世界では当たり前のように行われている作業でも、オーディオになるとオ カルト扱いされてしまうのには呆れてしまいますが、それを実践されて結果を出 されているのには頭が下がります。

SPケーブルのカナレはVICTORを使うにあたって適当に繋いでいたものです。ア ムクロンにはゴトウのSPケーブルを使っていますが、VICTORはYラグが使えません ので繋いでいませんでした。

あれから忙しく聞いていませんが、アムクロンが帰ってきたらCDからも良い音 が聞けそうで今から楽しみです。急遽、休みを取ってお会いして本当に良かった です。

ありがとうございました。
お忙しいとは思いますがご自愛下さい。

A.F

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