スピーカーアタッチメントがお付き合いの始まり
10年ほど前に京都から広島まで雪の降る日に新幹線で来られたので、Y.Uさんはとても印象に残っているお客さんの一人です。特に最初に買って頂いた商品がスピーカーアタッチメントだった訳ですから尚更です。
何故尚更なのかと言いますと、スピーカーケーブルの先端に継ぎ足す小指ほどの大きさの商品なので、一般の方にとっては余分な物との認識が働き、製品の持つ能力を知るまでは強い抵抗を示されます。
何度も買い物をして頂いている方であっても躊躇してしまうほどのアイテムなので、買うにはとても勇気の要る商品だからです。しかしながら、私が番付委員長を務める「ローゼンクランツ番付」では、初代から東の正横綱に堂々と君臨している圧倒的実力の持ち主なのです。
常に疑念を持ち検証する事を理念として参りました
Y.Uさんはご自分の中に確固たる音楽観をお持ちだから、世間の声には惑わされる事がありません。出た音が勝負なのです。カイザーサウンドは一般のセオリーとされている事が果たして正しいのか? 常に疑念を持ち検証する事を理念としてずっとやって参りました。だから、誰もが目を見張るような音であり、正真正銘の素晴らしい音を出さない限り、売れて行く事は無い! と肝に銘じています。
私としてはそれが普通だと思ってやっているのですが、世間ではそれを異端児と思われているようです。私という人間は何事に対しても、簡単には鵜呑みに出来ない性分なのです。
長岡京は安寧の地
Y.Uさんには既に大方の機器にインシュレーターが入っていると思えるほど、お届けした感がありましたが、今年の春頃に更に数組のインシュレーターを買って頂いたのでした。その都度好結果に繋がったとの報告を頂戴もしていましたので、機会があれば訪ねてみたいと思っていた事が今回やっと実現したのでした。
大阪と京都の境目にある長岡京市は古い都のあった所だけあって、その地がオーラを放っているのが私にははっきりと知覚出来ます。人が住むには最高のロケーションです。だから道行く人の顔立ちまで穏やかでゆとりを感じる事が出来ます。
たった一度でしたが、長岡京は40年前に義兄を訪ねて来た地である事が高台の竹薮を見て思い出しました。何という巡り会わせなのでしょう。どういう力が働いてこんな事が起こるのでしょう・・・。必然であり運命みたいなものを憶えます。まるで、ナビに古い履歴が残っていたかのようです。
玄関が開くと、『いつぞやは主人が大層お世話になりました』と挨拶される奥様の姿がありました。あぁ、"大和なでしこ"とはこういうお人を呼ぶ為の言葉だとすぐに思いました。ご主人あっての奥様。奥様あってのご主人。夫唱婦随の美しい姿を垣間見ました。
二階のオーディオ部屋へ案内されましたが、整然と並んだオーディオ機器達は有機的に繋がる雰囲気を醸し出しています。これまた、稀なる出来事であります。居心地の良さに主に対する機器達の喜びや感謝の様態が私には受けて取れます。
この地は神様に守られているかのような安寧があるのでしょう。伊勢神宮周りよりも良いかもしれません。有り難いと自ずと思える不思議な力です。私のような下種な者には自浄作用が働いてとっても良いようです。うどん王国讃岐に続いて終の棲家としてみたい思いに駆られました。
アルテック755Cをダイナコで聴く
最初は平面バッフルに収めたアルテック755Cをダイナコのアンプに繋ぎ、モノラルにて古い音源のJazz Vocalを聞かせて下さいました。味わい深い音色は普遍の音楽を感じます。最近のアメリカは嫌いですが、アメリカの良き時代良き文化を存分に感じました。
今のアメリカがこんな音を奏でられる国であってくれたなら、世界はもっと違っていただろうと思わずにはいられません。それほど素晴らしい音であります。そう思いつつも、オーディオ屋としての性が覗いたのは、私だったら「バッフルはこう作りたい!」というものでした。
DAIBUTSUとLOTUSが奏でるアナログサウンドは私の大傑作
次にローゼンクランツのスタビライザー・大仏と、レコードインシュレーター・ロータスを使った、ノッティンガムのレコードプレーヤーでカンタベリーを聞かせて下さいました。
この音は今まで聞いた事の無いS/Nとダイナミックレンジです。盤がマットにまとわりついたような抜けの悪い音ではなく、実際の楽器と瓜二つのように音に力と切れがあります。
一般によくある耳当たりの良いアナログの音とは一線を画するものです。我が作ったモノではなく、オーディオ界の巨匠と崇める人が作った物のような気分で聞き惚れていました。自画自賛ではありますが、我ながら何て凄いモノを作ったのだ! とついつい思ってしまいました。
プリアンプはカウンターポイントのSA5000。フォノアンプは欧州で高く評価されていて、大阪に拠点を置くZANDEN製をごく最近購入されたそうです。デザインも去る事ながら音が素晴らしいです。
CEC/TL2とローゼンクランツは絶妙のカップル
CDトランスポートはCECのTL2です。インシュレーターもスタビライザーもローゼンクランツ製を使っておられます。上下・水平共に響きの方向性を管理して作られたPB-REX(A)は、世界初の記念すべき製品です。
インシュレーターに於けるローゼンクランツの名声はこのPB-REX(A)から始まったのです。各楽器の響きやハーモニーが見事に調和されます。この頃からローゼンクランツが「インシュレーターの王様」と呼ばれるようになりました。
Y.U邸のシステムクリニックは電源周りから
一通りの音を足早に聞かせて頂いただけで、クリニックのテーマは電源周りにありと決まりました。最近のMaximumシリーズ電源ケーブルはノイズに強く設計されていますが、お値段が178,500円と高いのが難点であります。
そこで、当初はノイズの発生源である家電機器用に作ったAdd on式の継ぎ足しケーブル(37,200円)を、このところオーディオ機器その物にも繋いで聴いて頂き大成功を収めています。途中で継ぎ足す方式が気にならなければ、コストフォーバリューは圧倒的であります。
先で本来のAC-Maximumを購入された時には、いつでも冷蔵庫やパソコン等家電用途の目的に戻って、二段構えでの使用法が可能となるので、じっくりその効果を確かめられるのが好評です。早速アナログプレーヤー・ノッティンガムの電源ケーブルの先端に継ぎ足して聴いて頂きます。狙った通り効果は絶大でした。ノイズに埋もれて聞こえなかった音が沢山ある事が判明したのです。
入り口の出来の良さに気を良くして、次は出口の300Bシングルのパワーアンプに、同じくAC-Add onを継ぎ足して再試聴です。今度は静けさと共に力強さが増しました。更に目を見張るほど音が生々しくなり、音楽に生命が吹き込まれたような鳴り方に変身しました。
デジタルケーブルとピンケーブルの試聴
アナログディスクとCDの音質面での開きが唯一気になっていたので、デジタルケーブル・DIG-B7/1.6kaiser(65,100円)を繋いで聴いて頂きました。この差は凄い違いでした。CD特有と見られていたデジタル臭いギスギス音がすっかり消えたのです。その上音のタイミングもバッチリと決まり、力強さと共に楽器本来が持っている響きの美しさが表現出来るようになったのは大収穫です。
Y.Uさんのシステムはケーブルに関して殆どお金を掛けていませんでしたので、驚きもひとしおのようです。費用対効果の大きさを認めて頂き、『現時点で結線した物は頂きます』とのお言葉を頂戴しました。
デジタルにもアナログ系統にも効くにはプリ・パワー間のピンケーブルが肝となります。本来スピーカーケーブルを決めずにピンケーブルを導入するなんて事は、セオリーから言って全く成っていないのですが、現在開発を進めております「オールマイティー型自動制御ケーブル」に限っては屁でもありません。
一番コストパフォーマンスに優れている、ミドルクラスのピンケーブル・Matrix PIN2(102,900円)を聴いて頂きました。これは間近に控えているハイエンドショーの音元出版のコーナーで発表する為に、渾身の力を込めて開発したプロトタイプです。
発売は未だ先ですが、圧倒的な音楽性と性能を誇ります。ローゼンクランツの凄いのはインシュレーターだけでは無い! という事を知って頂く為の戦略機種であります。"どんな音楽表現もこなしてしまう魔法のケーブル"と言っても支障ありません。
Y.Uさんのシステムが覚醒された瞬間でした。
ピンケーブルは勿論購入して頂けました。
スピーカーケーブルも出来上がったら試聴機をお送りするつもりです。