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40年間手塩にかけた朱玉のJBL4343

『お宅のCDスタビライザー”STB-7”は、本当に素晴らしい!』

受話器を取るや、聞こえて来た言葉がこうだったのです!

見事に壷に入ったのでしょう!

『自宅ではエソテリックの05を使っていますが、
仕事場のP-0Sにもと思って、もう1枚追加注文したところです』

『低域の解像度が上がり、アナログのように音楽性が高くなった!』

『私の4343はどこにも負けてないと思う!』


どうやら私と同じ自信家タイプの方のようです。

その裏には確固たる自分の音をお持ちだからこそ、
そんな言い方も出来るのでしょう。

まるで、自分が喋っている言葉を聞かされているようで、
何とも言えない、不思議な気持ちになりました。 


『カイザーさんは、オーディオクリニックもやってますね?』

『一度聴きにいらっしゃいませんか?』

『そして感想を聞かせて下さい!』
というお誘いを受けたので、
新東名を利用して静岡まで行って参りました。


見るからに年季の入った4343です。
そのミッドバスのエッジは、
アルパイン製だろうと思える物に貼り換えてありました。

「エッジは違う物になっていますね?」 と質問しますと、
『この4343は40年使っていて既に3回貼り替えました』
との返事が返って来ました。

確かに素晴らしいバランスで鳴っていました。


『ありとあらゆる事を40年試みた結果です』

奥さんより付き合いが長いであろう、その4343の音とは??

”お茶が欲しいなぁ・・・” と思った時に、スッと出て来る・・・
そんな古女房の良さを感じさせます。
所謂、”絶妙”という言葉がピッタリの音であります。


このコンディションの音を手にするまでに40年、
その時々に、悲喜こもごもあったのでしょうが、
費やした合計額ともなれば、1,000万?
否、これだけの音に持って来るまでには、
2,000万円を超えていても不思議ではありません・・・

オーディオとは何と難しいものか!? 
再認識させられました。


『如何でしょうか? 我が家の4343は!』

「いやいや、素晴らしいです!」

「4343からオーディオの音を意識しないで、
音楽を聴けるのは滅多にある事ではありません!」

「バランスがとても良いです!」

「一般の方にとってのセッティングでは、
これ以上は無理だろうと思えるほどです」

「しかし、これ位バランスが取れていると、
誉められる事ばかりで苦言を呈してくれる人はいないでしょう?」 

「下手に触って音を悪くしてしまったのでは、
プロとしての面子丸つぶれですものね!」


『そうです! 私のシステムには誰も触ろうとしません!』

「まして、オーディオショップの人間であれば、
買って貰わなければならないから、
とてもそんな事は言えないですよね・・」

機器やアクセサリーを比較試聴して貰い、その音の良し悪しを云々するだけで、良くても悪くても、全ては商品に目を向けた口の開け方しかしないはずです。ステレオ操縦術や技術やスキル的な話が出来る人は皆無に近いと思います。

「今日は遠慮なくお話させて頂いて宜しいでしょうか?」

『どうぞ、遠慮なく言って下さい!』

「普通の見方をすれば、90点〜100点近いですが、私の基準では30点です」

『30点とは手厳しいねぇ・・・!?』


「先ず最初のご指摘ですが、
あと数ミリスピーカーの位置を前にしてやると、
部屋との響き具合に調和が取れます」

「厳密に言うと、左が4ミリ、右が7ミリです」

『手伝いましょうか?』

「いえ、いえ、一人の方が微調整し易いので・・・」

「では、同じ曲を聴いてみて下さい」


『いやぁ〜、良くなりました!』

『感情の伝わり方が、まるで変わりました』

「これはまだ小手調べです」


「よく聴いて頂きたい事があります」

「ボーカルの位置が異常に低いのが問題です」

「ミッドバスとウーハーの中間あたりから聞こえませんか?」


『前から気になっていたけど、
それだけはどうやっても好転しないのです!』

「それについてお話します」

「ウーハーとミッドバスのエネルギーの方向が、
全部下を向いているのが原因なんです」

「マグネットになる前の段階ですが、金属が冷え固まる際、
地磁気の影響を受けて重心が偏心してしまうのです」

「私の見立てでは約3%ほど力率に違いが出ます」

「この3%の差がこのような結果を引き起こすのです」

「ユニットを取り外し、中高音ユニットと共鳴するように、
中低域のユニットの向きを変えると、
今までの鳴り方がまるで嘘のように解消します」

「今までに数え切れないほどの数をこなしているので、
あっという間に終わります」

「やってみましょうか?」

『そこまで自信たっぷりに言うのであれば、お願いします』


20分程で終わりました!

処置前 処置後

「先程と同じ曲を聴いてみて下さい」


『ミッドバスユニットの少し上から聞こえる・・・?!』

『随分自然な鳴り方になりました!』

『いや〜 驚いた! 見事なもんだ!』


「これ位で驚いて貰っては困ります」

「ネジの配置換えと共に、
ネジのトルクコントロールを更に念入りにやります」 

「これで一気に魂が入りますから・・・」

当然、2420ドライバーに付いている2307ホーンと、ツイーター2405のネジも、音楽のリズムとテンポに合わせながら耳を研ぎ澄ませ、渾身の集中力を指先に集中し全ユニットの調和を図ります。

最後の仕上げはアッテネーターの調整です。

ネジのトルクコントロールが上手く行っているので、
アッテネーターによる音の変化がもの凄く判り易いです。


『何という変わりようなのか!』

『カイザーさんは、スピーカーの事をトコトン研究し知り抜いている!』

『その技術は脅威であると共に、恐らく誰も真似が出来ないと思う!』


「お褒め頂き、有難う御座います」

毎日必死で頑張っています

これからも宜しくお願い致します

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