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フルヤマ・FALスピーカーと渾身のFALアンプ

オーディオクリニックの重要性

フルヤマ・FALスピーカーをFAL特注アンプで鳴らしているというM.Sさんに、RK-AL12/Gen2の音をカイザー試聴室でご体験頂きました。

『音楽のジャンルに関係なく多彩な表現を、
ナチュラルに聞かせてくれるのが素晴らしい!』 
との感想を頂きました。

買い換えるというのではなく、2台目のスピーカーとして導入したいような様子でした。しかし、何事にも順番があるように、「何が! という物よりも、どうあるべきか!」という、ステレオの使いこなしやコンディション面の重要さを知って頂きたく、先ずは今の状態で”オーディオクリニック”を受ける事をお勧めしました。

お互いのスピーカーが向かい合った変則セッティングの割には、可能性のある鳴り方をしていました。しかし、今のままではどんな音楽を聴いても、ある決まった癖が常に顔を覗かすので、そこの部分が気になって音楽に浸れない状況にあるのだろうと私なりの答えを持ちました。

「事実そうではありませんか?」

と、M.Sさんに答を促しますと、

『そうです!』と図星のようでした。


その原因が何処にあるのか?

何故そうなるのか?

どうしたら解消出来るのか?

オーディオは「電気・振動・気流」
目に見えない三っつの敵が相手です!

この三っつの中で、何が起こっているのかが分からないから、みんな苦労するのです。カイザーサウンドはこの点の解明に向けて、絶え間ぬ研究と努力を積み重ねて来ました。今日もそのデーター採取の貴重な場を頂く事になります。

亜流の中の本格セッティングに今日は挑戦します!


想像よりFALの音は素晴らしかった

フルヤマ・FALスピーカーを使っていて、気には入っているものの何かが物足りない・・・?!。現状のもどかしい状態を何とか解決してみたいと思います。正式なモデル名はFAL VerticalV Drive FLAT 90.S.A.M.T.Dという長いものです。

部屋の正面の腰板に相当する中央部が130度程の角度で出っ張った形状になっています。こうした特殊セッティングに関しては、誰にも負けないだけのノウハウがあるので、腕まくりをしたくなる心境であります。

それにしても、フルヤマ・FALスピーカーと5U4G整流管をふんだんに使った電源部を持つプリとパワーは圧巻ですが、DAコンバーターも中々の物です。とにかく今までに聞いた事ないような素晴らしいSNを創出しています。

一口にSNと言っても色々と種類があります。一般的には測定データーとして優秀なSNが殆どです。しかし、それらは聴感上ナチュラルとは云い難く、どことなく異常であり不自然なのが特徴です。

一方では高原の白樺林を散歩しているような、風の音や小鳥のさえずりが聞こえる自然の静けさのようなSNが稀にあります。このフルヤマアンプは正にそんなSNです。電源から来る不快なノイズを感じさせない渾身のアンプです。


各人に合ったクリニックの必要性

そんな長所を受け止める事が出来たので、この立派な部屋に相応しい音を作って差し上げたい気持ちが私の中に強く芽生えました。それを実現する為にはスピーカー周りを片付ける必要があります。

故障したままの機器は思い切って処分し、ナカミチの最高級カセットデッキを結線しないまま放置しているのも余りにも勿体ないので、積極的に使うべき! と進言させて頂きました。

FALのDAコンバーターをラックの中に収め、陽の当たる場所に復活させてやりました。ちょっと工夫し、使い易い場所に置いてやると、往年の存在感とオーラが戻って来ました。スターはいつになってもスターです。

さすがナカミチ! 絵になるヴィジュアルであります。

雰囲気が出来上がったところで本格的なセッティングに入ります。FLATユニットの素性の良さは随所に見えるものの情報量の欠落とエネルギーの失速はケーブルに大きな問題があります。

一瞬我が目を疑う程のデジタルケーブルが繋がっています。200円も出せば買えるような黄色の映像ケーブルが使われているではありませんか・・・。機器の拘りに対して、余りにもアンバランスな配分には絶句せんばかりです。

スピーカーエンクロージャーの構造は知り得ませんが、ロードの掛かり方に癖が出ています。特にサックスや人の声の帯域が孤立したようで伸びやかさがまるでありません。これはスピーカーのセッティングとデジタルケーブルの交換でかなりの部分は解決出来ると診ています。

スピーカー周りが片付いた事で、スピーカーを理想の位置にセッティングした時に正しい診断が下せる状態になります。これでボタンの掛け違いの心配が無くなり計算通りに事が運ぶはずです。


一番の弱点部分を最強にするのが効果最大となる

何をさて置いても、スピーカーセッティングを済ませ次第、デジタルケーブルによる情報量の欠落度合いを知って頂かなくてはなりません。ここは思い切って最高級モデルであるDIG-Kaiser Soundを聴いて頂きました。

スピーカーの鳴り方があっと驚くほど変わりました。その音の変わりようにM.Sさんも喜びを噛み殺すのが精一杯です。もうひとつ大きく足を引っ張っているのが、スピーカーターミナルを連結している真鍮製ジャンパープレートです。

ローゼンクランツのジャンパーケーブルはとても高い能力を備えているので、各ユニットの繋がりをスムーズにします。JP-Cute/157.5という31,500円の物ですが、相乗効果も手伝って、DIG-Kaiser Soundに負けないだけの能力を見せてくれました。

平面ユニットの音は非常に素直です。アタック音が僅かに優しい点を除いては、弦楽器の麗しい響きや声の自然さはとても魅力的です。部屋のオーディオ的処置も吸音率と反射率共によく出来ていると思います。長時間試聴にはこれ以上無い環境が整いました。

物を大切になさる様子が随所に見えるのは、一つ一つに思い出があるからですが、物作りに携わった人達から見ても嬉しい限りでしょう。そんな愛情溢れるM.Sさんの人徳が、今日の見事な音に繋がったのだと思います。

素晴らしい出会いを頂戴出来て有難く存じます。

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