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和室六畳の掃き出し窓にスピーカーはMagic1

福岡のY.Tさん。現在二組のスピーカーをお持ちですが、持病のメニエール氏病の影響で、ある特定帯域での耳鳴りが邪魔をして、気持ち良く音楽を楽しめないのだそうです。

それがセッティングによって解決するものなのか・・・?

その道のプロがセッティングした音に生で接してみたい!

今回は、そうした特異なケースのご相談です。

PDFにて現況の資料を頂きました。

使用中の装置など

  • レコード・プレーヤー:トーレンスTD520
  • カートリッジ:オルトフォンSPU−GE SYNERGY
  • フォノイコ:合研ラボ製
  • CD プレーヤー:Marantz(逸品館仕様)SA15S2/MASTER
  • アンプ:DAC 電子堂 RP146n(6V6G 球使用)、プリメイン
  • ボリューム:音のエジソン ボリューム付きセレクター(プリメインの音量調整がちょっと難しいため)
  • グライコ:YAMAHA
  • SP:TANNOY ターンベリーSE
6 畳の窓際に設置しています。
SP のバックはカーテンです。
パイン集積材を敷き台として、角材の上に載せています。ただ、SP の金属製のピンが結構チャチなので、ピンは外しています。
音工房の音響パネル(キット)を、写真のように、聴く時だけ配置します。
こうすることで、音の中抜けが無くなり、ボーカルや楽器が真中に定位します。

数日前から、Alpair7V3 を試聴しています。結構良かったので、この大きいもの(Alpair12)を探していて、カイザーサウンドにたどり着きました。
Alpair、軽い音が魅力です。タンノイは重厚です。

手作りのラックです。本来なら、良いものに変える必要があるのでしょうが、愛着もあり、面倒でもあり、尻が重いです。
大阪のDAC 電子堂というところのプリメインアンプです。球は6V6G(カナダ製)です。出力は4W。
結構気に入っています。
グライコは、写真のように調整しています。
これでずいぶん、聴き易くなりました。
63、80、500、630、800Hz を下げています。

早速、出張に合わせてカイザー東京試聴室へ来訪されました。

当日、スピーカーはMagic1を聴いて頂きました。

果たして、カイザーサウンドの音が、

Y.Tさんの耳にどう聞こえたのでしょうか!? 


私には以前に補聴器を手放せない方のオーディオクリニックを手掛けた経験があったので、耳の中で起こる共振については、ある程度のイメージと対策は持っていました。

『かなり長時間聴いたはずなのに』

『まったく耳鳴りが起こらない!』

『こんな自然な響きは初めてです!』

『どうして、こうまで違うのでしょう?』


それは、付帯音がもたらす共振が無くなったからです!

元の音楽の音階が崩れていないから、

即ち、位相が揃っているから、 

耳鳴りが収まったのです。


『好きな音楽を心から楽しめない・・・』

半ば諦めかけていたそうですが、

『Magic1によって目の前が開けた!』

そんな感想を頂戴しました。


後日、『購入したいと思います!』

『九州までセッティングに来て頂けるのでしょうか?』 

電話の声がとても嬉しそうでした。


リズム、メロディー、ハーモニーは、

位相が揃わないと成立しません。

では、位相とは何でしょう?

文字通り、相手との位置関係です。


一言で言うと、タイミングです!

タイミングが合いさえすれば、

オーディオは上手く鳴ります。


振動の時間軸

電気の時間軸

気流の時間軸


私は20年近く前から一貫して言い続けて来ました。

しかし、これが簡単ではないのです。

デジタル時代に突入した30年ほど前から、

音楽の栄養の基である電源環境が、

日増しに悪くなっているからです。


電気代が安くなる! 

を、謳い文句に普及したインバーター家電や、

スイッチング電源の副作用であります。

即ち、電気のタイミング(位相)の狂いがその原因であります。


その対策として、一般的には歪みのない波形を追求します。

電源回路の精度を上げるほどに、

皮肉にも音楽の魅力が遠のいて行くのです。

制御回路でガチガチに決めにかかると

音に生命力が失われて行くのです。


では、それをどうやって解決するのか?

狂っている分だけずらしながら、

なるがままに収斂する形で合わせるしかありません。

自然治癒力を利用するというのが、

表現として近いかもしれません。


電気も、振動も、気流もそうです。

自分が楽になろうとする物理的動作(自然治癒力)が働き、

自ずとバランスされるようになります。

兼ね合いや塩梅が都合良く調和するように、

手助けしてやるのが私達の仕事です。


それがカイザーサウンドが提唱する、

辻褄合わせ式セッティングであり、

オーディオ構築論であります。


左脳的な知識偏重アプローチでは解決困難です。

右脳をフル活用するしかありません。

実は音楽家も右脳中心に演奏しています。

アスリート達もそうです。

だから私は「オーディオアスリート」なる新語を発表したのです。

それを更に自分のモノにする為に事業として本格的に車の研究をする事にしました。何故ならば、五感に直接訴えてくる割合が高く分かり易いからです。特に姿の見えない音を言葉で伝えたり証明するのはとても大変です。


さて、Y.Tさんのシステムのクリニックやセッティングの話から逸れてしまいましたが、それもこれもオーディオの謎を解く為であります。

畳の部屋ということを考慮して、納品に当たって最小コストで結果を引き出すプランを練りました。その内容は、簡易オーディオフロアーと、今回開発した切り売りのスピーカーケーブル=No.1 Conductorの導入です。それですと合わせても約十万円で納まります。

予算の関係上スピーカーのスパイクと受けもSK-52.5とPoint Basieで対応します。機器のインシュレーターも電源関係にも予算を割く事が許されない中でですから腕に掛かる負担がとても大きい訳です。


スピーカーの後ろも掃き出しの窓です。条件はとても厳しいです。加点材料と言えば、Magic1と相性の良い真空管アンプだけです。

売る時には、「大丈夫です!」

「予算内で良い音にします!」


とは言ったものの、東京試聴室で聴いて貰った時の感動とかけ離れた音にしかならなかったらどうしたものか・・・。何せ、今回は耳に持病を持っておられるという特異なケースですから、いつものデーターとは違う訳です。

さて、どんな音を聴かせてくれるのか?!

セットアップしてすぐの音も悪くはないが、

もう少し魅力を持った調和が欲しい。


今日は息子と二人で伺っています。

二人の時は彼に任せて私は一切手を出しません。

しばらく考えた後に出した結論はテーブルタップまでの電源ケーブルの長さの調整でした。低中高のエネルギーバランスを自在にコントロールするスキルと技術を彼は身に付けています。

マジックでマーキングしながら、「この場所だとこういう音になります」と説明をしながら組み上げて行きます。そのマーキングした場所の音を私も私なりにイメージします。


再度音を出して確認します。

見事に一発で問題を解決しました!

この10年寝ても覚めてもケーブルを捩じったり捻ったりしているので、

ケーブルの中に音楽が透けて見えるのでしょう。


Y.Tさんの顔がほころびました。

目出度し! 目出度し!

後日感想を頂きました。

-----Original Message-----
From: Y.T
Sent: Wednesday, May 20, 2015 15:50 PM
To: info@rosenkranz-jp.com
Subject: 遠いところありがとうございました 

貝崎様:

先日は本当に遠いところからお出で頂き、ありがとうございました。

あれからいろいろ聴き、若干もやもやを感じていたので、
調音パネルがあったことを思い出し、試してみました。

いろいろ置いてダメで、最後にSPの後ろに置いたところ、
もやもやがウソみたいに無くなりました。
キットの調音パネルも、馬鹿にしたものではないな、と思った次第です。

それからは、聴きました、聴きました。今までの不満を晴らす
ように、土曜日も夜遅くまで、日曜日は朝早くから夜中まで・・。

本当に良い音がしています。
ジャズもクラシックも、弦もピアノも、木管も金管も…。
凄いSPです。

本当に久しぶりに、音楽を楽しんで聴けております。
1人でにんまりしながら…。

良いSPを譲って頂き、本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願い致します。

昨日から鹿児島に行っていて、今帰ってきました。
明日からは東京です。あと少し、ゆっくり聴きたいですね・・。

今から暑さが増してくるようです。
貝崎様も、どうかご自愛されて、お仕事その他お励みください。
息子さんにもよろしくお伝えください。

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