トップカイザーサウンドオーディオクリニックの旅シンプルで上質なA.Vを楽しむ(B&W/Signature805)

シンプルで上質なA.Vを楽しむ(B&W/Signature805)



 このところ都内の仕事が目立っております。今日は同じ江東区にお住まいのS.T様のA.Vシステムのクリニックとセッティングです。L字形になった18畳のLDKで、B&W/S805をメインに以下のようなシンプルなシステムで楽しんでおられます。


 セッティング及びクリニックについて


 ----- Original Message -----
 From: S.T
 To: <info@rosenkranz-jp.com>
 Sent: Saturday, October 09, 2004 11:53 PM
 Subject: セッティング及びクリニックについて


 カイザーサウンド 貝崎様

 はじめまして、Tと申します。

 御社のお名前は、以前から雑誌等で拝見していたのですが、オーディオアクセサリー114号で、SK-52.5やスパイクベースの記事を読み、興味を持ち、御社のホームページを拝見させていただいたところ、私の使用機材に関連する内容が多数掲載されていたのでメールさせていただきました。

 通常の2ch&ホームシアターとして、下記の機材を使用していますが、御社の製品を購入するにあたって、もしクリニックいただけるのであればどうすればいいでしょうか?。クリニックの費用や日程など具体的なアドバイスいただけたらと思います。

** 使用機材
CD/DVD LINN Classik movie Di
FR SP B&W Signature 805
SR SP LINN UNIK
Super woofer velodyne DD-12
SP スタンド アコリバ RSS-601
SPケーブル LINN K-20 バイワイヤ接続

 マンションのフローリングのリビングに導入しているのですが、階下への音漏れや、SPスタンドのセッティングに少しガタがあり、ボードやスパイクベースの購入や、電源系少しいじろうと思ってました。土日しか、家にいないのですがもしスケージュールがあいてれば、予約方法など教えてください。

 宜しくお願いします。


 初めまして、貝崎と申します。


 S.T様


 初めまして、貝崎と申します。

 セッティング及びクリニックについてのお問い合わせ有難う御座います。クリニックとセッティングの費用につきましては、システムのグレードや機材の数、配線の量、ラックと機材の置かれている環境等によって違いが出てきます。ですから一概に決めにくい面があります。

 今回の場合の基本的な金額をご案内致します。

** クリニックの基本料金 30,000円。
セッティングの基本料金 30,000円。

 クリニック代金については増える事はありません。
 変わるのはセッティングの料金です。

 そのセッティングにつきましてはやる事は山ほどありますので、現場で問題点をリストアップした後に、S.Tさんのシステムに於いての重要性の序列を説明させていただきます。そして一番大切な部屋とスピーカーの良好なポジショニングをまず最初の仕事として設定します。

 この時点で得られた音を元にご説明申し上げます。それからS.Tさんの求める音の方向性の確認作業が両者の間で一番大切な点です。以上のような方法で話し合いの中から決めて行くので如何でしょうか。

 当日はあらゆる製品を用意した上で音作りのお手伝いをさせて頂きます。


** 郵便番号 135-0045
住 所 東京都江東区古石場2−14−1
ウェルタワー深川606
社 名 カイザーサウンド有限会社
担 当 貝崎静雄
TEL 03-3643-1236
FAX 03-3643-1237
携 帯 090-2802-6002


 上質な生活空間を生かしたセッティングに心がけ


 上記のようなやり取りから始まった今回のクリニックです。目に入る家財道具などを通して直ぐに私に届いたメッセージは”シンプルな中にも洗練されたこだわりを感じさせてくれる物に惹かれる”そんな風に受け止めました。ですから、その部分に配慮したセッティングを心掛ける事が今日の最大のテーマであると無意識のうちに自分に言い聞かせていました。


 家財道具の音に及ぼす影響


 ぱっと聞きはさほどに問題があるようには思えないのですが、よく聞くと問題ありです。システムの環境を観察しますと、音に一番影響を与えているのが、スピーカーの目の前にあるホームごたつより少し大きめのテーブルです。スピーカーから発せられた最初の音楽エネルギーはすべてこのテーブルの影響を受けた後に耳に届くのです。

 その影響力の大きさを知って頂く為に、

 最初に取った私の行動はそれを70ミリほど手前に動かす事でした。

 「このテーブルが問題だ!」。

 こんな事を言われたら普通の方でしたら身を引くでしょう。

 私が逆の立場なら”この人はちょっと危ない”と思うに違いありません。

 ステレオ機器とは全く関係のない物の置き場所を変える事で、

 音の問題点を指摘するなんて業界内で唱える人もいないし、

 今までの常識からして受け入れるには困難でしょう。


 わくわくするような期待と楽しみを抱いて欲しい


 それでいいんです。人々の関心や興味を引くには、人と同じ事をしていたのでは意味がありません。舞台に立つ者にとってそれを”つかみ”と言います。何よりオリジナル色が強くなければ魅力がありません。この先私のやる事にわくわくするような期待と楽しみを抱いてもらいたいのです。

 かけていた曲はエリック/クラプトンのアンプラグドです。リズムの乗りが良くなったのです。もちろん、こもり気味だった低音も大分取れました。更に次に打った手はそのテーブルを左に90度回転させたのです。それで随分と音が前に出るようになりました。

 「如何ですか?」。こんな風に音に影響を及ぼしあっているのです。壁や椅子、ソファー、本棚、部屋にある全て物が楽器と思って頂くと良いかもしれません。この大きなテーブルがチェロであってみたり、このスマートな椅子がギターであったり・・・。面積の大きな床や壁はコントラバスやチューバのような役割をするのです。

 そう考えると調律の取れた状態にしてやる必要がありますよね・・・。

 スピーカーの影響を受け、床を通して音楽振動が伝わるわけですから、それぞれの楽器が譜面に従って音楽に入っていかなければなりません。テンポに乗せてやれば壮大な音楽を奏でてくれるようになるのです。

 何を例えに説明すればこの感じをスムーズに理解して貰えるか・・・?。

 とっさに浮かんだのはホームに入ってくる電車とそれを待つ乗客が作っている列の関係です。運転手がうっかりずれた位置に電車を止めると、待っている人達はぞろぞろと移動しなければなりません。タイミングや場所を間違えると音楽に参加出来ません。こんな風に部屋内の家財道具の事を思って欲しいのです。

 次は肝心のスピーカーの位置合わせに移ります。現在の大きく内に振られたスピーカーは理想ではありませんが、それでも前後の位置とか振り角をしっかりと合わせておられたのである意味よく出来ています。でもそこそこの感じで聞けるポジションは限られていて、それを外れたところではとても楽しみを共有出来るものではありません。台所仕事をしている奥さんはその音をうるさく感じるといいます。


 軟なフローリングの床に於けるセッティング


 最近のマンションの床はどこも同じで、浮いたような工法を取っていて歩く度にゆらゆらと揺れます。ですからなおの事音楽のテンポを奏でるポジションを見つけ出し、そのポイントに置く事が重要なのです。床の揺れ幅が大きいだけにちょっと外れると不協和音として不快な音を発します。でもこうした軟な床は上手く鳴る場所と不愉快な音の差が大きいものですから、考えようによっては音の良いポイントを見つけやすいから私にとっては楽なのです。


 今ある位置より更に壁際で音の良い位置を見つけます。これは息子が発見した方法なんですが、壁面からの距離を短くしてやれば、より振動のピッチを短くする事が出来ます。軟な床の場合それによってタイトな低音を紡ぎ出せるのです。低音がこもるからといってスピーカーを前に出せば、その前も後ろもゆるい床の音しかなく、ビシッと締まった音を取り入れられません。無からは何も生み出す事は出来ません。しかし、例え小さなものであっても、それを利用して大きな力に変える事はやり方次第では可能なのです。



 便利で音の良いリンのマルチプレーヤー


 LINN Classik movie DiはCD、DVDのマルチプレーヤーに5チャンネルのパワーアンプが入ったオールインワンタイプのコントロールセンター。『これは大変便利なんですけど、ひとつだけ不満があるのはパワー不足なんです』。「心配要りませんよ!、きちんとセッティングしてやれば余りあるパワフルなサウンドを味わって頂けますよ」。「まぁ、これから出てくるサウンドを楽しみにしていて下さい」。

 同時進行の形でスピーカースタンドのグレードアップです。アルミ製のスタンドに付属のステンレス製のスパイクとスパイク受けからローゼンクランツのエコブラス製スパイク/SK-52.5とスパイク受け/PB-BABY(E)Uに変更。特に気をつけるのはスパイクの上に覗く長さと、プレートの下に伸びた長さとの和音関係がキーとなるのです。文字に表せば簡単かもしれませんがやるとなると実は難しいんですよ。

 「如何ですか、この音は?」。

 「パワー不足を感じますか?」。

 とんでもない!、凄いです!。

 「どんなパワーアンプにつながれているんだろう!」

 と誰もが思うんじゃないですか?。

 リンのこのマルチプレーヤー60万円は安いですね。

 下手なケーブルの選定等が音を崩す原因となるのですがそんな心配も要りませんし、電源ケーブルにしても1本で済むし、信号ケーブルに関しては1本も要らないのだから安くつくのはこの上ありません。ただひとつ難点といえば、あれこれいじる楽しみがないことでしょう。

 結果は力強い低音と暖かで芳醇な音楽の誕生です。

 美しい響きで出来た空間波動の動きと、

 テンポの良い床と壁の振動ピッチの辻褄合わせからなるのが、

 オーディオセッティングの極意なんです。

 言葉で言うとざっとこんな感じなんですが、

 その音は実体感した人でなければ理解は不可能でしょう。



 奥さんのほうが耳が良い?!


 セッティングを粗方終えたころに奥さんのご帰宅です。

 こんにちわお邪魔しております。

 挨拶もそこそこに、「凄く音が良くなりましたから奥さんこちらに掛けて聴いてみて下さい」。

 「如何ですか?」。

 『うるさくなくなりました』。

 『今までは目の前で音がぶつかってぐじゃぐじゃだったのが、

 すっきりして画面と音が一つになったようです』。

 「じゃ、キッチンやこちらのダイニングテーブルでは如何ですか?」。

 『今までとはぜんぜん違う!、音楽が気持ちよく聞こえる』。



 犬なの?、人なの?


 スピーカーの間に四つんばいになった置物がスピーカーの間に置いてあります。どうもお尻がこちらに見えるのが気になって仕方ありません。落ちつかないのです。向きを変えても良いですか?。確認した上で色々と方向を探りますと凄く音に大きな変化をもたらすのです。聞けば、『音楽家が作った物だからでしょうか?』と奥さんが言う。石井竜也のCDを買ったらおまけでくれた物だそうです。

 右のスピーカの内側にはそれと対を成すようにスーパーウーハーがあります。白と黒のコントラストといい視覚的にも両者が同じようなエネルギーを持っているのです。最終的に二つのバランスをとり今日のシステムのセッティングの完成です。

 ソファーの前の空間の折り合いが良くなりました。一言でいうと広くなった感じです。どの道具も自分の居場所をきちんと与えられ、それでいて全体が有機的に関係し合っているように感じさせてくれるのです。 



  ありがとうございます


 ----- Original Message -----
 From: <S.T>
 To: <info@rosenkranz-jp.com>
 Sent: Wednesday, November 17, 2004 1:34 AM
 Subject: ありがとうございます


 貝崎様

 本日、ホームページでクリニックの記述を見ました。

 あらためて、こうやって記載いただくと何か嬉しいものです。

 妻も喜んでました。特に、あのわんちゃん(名前はit manなので人間かも)の記事で(笑)


 おかげさまで、クリニック後も色々CDやDVDを試してみましたが、格段に違う音になって驚きです!。

 改めて、貝崎様のセッティングの独創性に脱帽です!(正直、家財から動かすとは思いませんでした。)

 実はフローリング床については、前後を歩くと、ぐらつくのでクリニック後も気になっていたのですが、記事を読むときちんとそれも考慮されてセッティングされたのを知り安心しました。

 でも、サウンドベースの威力は認識しましたので、今後また検討させていただきたいと思います。ただ見た目という点で、もう少し、小さければいいのですがというのが正直な感想でした。

 あと、PB-BOSSの音色も感動しました。電源タップも含めて序々に検討したいと思います。
でもS805のフェーズプラグは本当にすぐにでも欲しいです!

 お近くなので、視聴室にも又おうかがいさせていただきたいと思います。

 まずはお礼まで

 S.T


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