トップカイザーサウンドマランツPA-01モディファイ実験記直ぐに値が通らなくなる

直ぐに値が通らなくなる




 「この商品は、値段を通して大切に売って行きたいと思っています」。

 「プロフェッショナルブランドで音をよく理解してくれる、全国でも限られた数のお店だけにお願いしていくつもりです」。

 ご存知マランツのPA-01のことです。

 「なるほど、お話の趣旨はよく分りました」。

 「音のいいのは私も聴いた瞬間に感じましたので、及ばずながら力を入れて頑張ってみたいと思います」。


 このようにマランツの方とお話し、PA-01について詳しいレポートをローゼンクランツのウェブ上で発表していきました。これが、このアンプに火が点いた発端だったと思います。多くの方の目に止まって欲しいと思って、意識して少しオーバー目に誉め過ぎるくらい誉めました。

 「この男を日本に置いておくのは”もったいない”」と、私は、アンプを誉めると同時に、人物にもスポットライトを当てました。こうした事は日本では大変珍しく、どの製品を誰が作ったなどということは、話題に上ることなど過去にはありませんでした。

 そんな事もあったからでしょうか、その噂はあっという間に全国に広まり、そのアンプを作った鈴木氏は時の人となったのです。私は鈴木氏個人を誉めたのではなく、PA-01を作った人物を誉めたつもしでした。だから、私の真意とするところは、「誰であっても、何であっても、正当に物事を評価する」というのが、その基本にあったのです。


 ある人は、彼のことを東洋のマーク・レビンソンと呼んでしまったから、ここらあたりから、ちょっとおかしな雰囲気になってきたように思います。すなわち、ブームになってしまったのです。この件については、私もいくらか反省するところがあると思っています。

 話題に上れば、商売人はワッと飛び付くもので、瞬く間に値が崩れてしまったのです。そうした人たちの日頃の口癖は、「何かいい物ない?」、「何か売れる物ない?」です。すなわち、他力本願なのです。これでは物は売れません。販売員という本当の意味の腕を磨くことを忘れ、「どうしたら売れるのか?」と、いうことを考える思考力さえなくなっているのです。こうして、本当に良い物を、売れる為なら何でもするという、何処にでもある物と同じにしてしまったのです。

 しかし、ここに来て、また少し違った動きが見え始めています・・・。PA-01に対する質問が、私のところに増えてきたのです。ジックリと検証していない、付け焼刃の説明では物足りないのでしょう。発売以来半年強、これからが、本当の意味でのPA-01の実力が問われるわけです。


← Back     Next →