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NIAGARAにつないで初めて音楽を聴く



 図面を引き始めたのは去年の暮れでしたので、完成まで7ヶ月。実際には、2年前から構想は練っていましたので、ハッベルのコンセントについては既にもうその時に調達していました。しかし、'99年はあまり利益が出なかったものですから延び延びになり、このプランは一時立ち消えになりそうな気配がありました。

 当初より、かなりの開発費が掛かるのは覚悟をしていましたが、実際にやってみると、思った以上に掛かってしまいました。それと、私自身新たな商品を開発するにしても、借り入れを起こしてまではしないと心に決めています。自分の今出来る身の丈の中で、出来るだけのことをしようという考えをローゼンクランツを立ち上げて以来貫き通しています。


 とにかく、自分の中にこういうものを作りたいという欲求が出てきたものしか、基本的に作らないようにしています。しかし、昨年はそのポリシーを少し柔軟にして、エントリークラスの製品をいくつか手がけたことで、多くの新しいローゼンクランツファンが出来ました事は、私にとって大きな喜びとなりました。そのいい意味での反動として、さらに高い山に登りたいという強い気持ちが芽生えてきた事が、立ち消えになりかけた「NIAGARA」を完成させる大きな原動力になった訳ですから、何事も自然体の時がいい結果につながるように思います。

 とにかく、今回は現時点に於いて自分の考えうる全てをこの「NIAGARA」にぶつけましたので、音が出るのが楽しみで楽しみでなりません。7月9日とうとうその日がやって来ました。先ず手始めに、CDトランスポートとDAコンバーターのみをつないで音出しをしました。何の違和感も感じず、またとりわけて音に感想をもてないのです。こいう時は決まっていい結果が出るので先が楽しみなのですが、しかし、”これは凄い!”という感じを想定していたので、いささか冴えない気持ちがしない訳ではありません。


 エージングを早める為に、4口のタップの一番お尻にパワーアンプをつなぎます。シリーズにつないでいる内部の配線全部にパワーアンプが必要とするエネルギーを通すことで、一様にエージングが進むわけです。このとき、上手にデジタル系をつないでいるのですが、そんなデメリットなど微塵も感じることはありません。

 正に、ローゼンクランツの方針=「長所を伸ばせば、短所は気にならなくなる」、を地でいっているのです。それらの悪条件をもろともしない鳴り方は、いまだかって私は経験した事がありません。これは紛れもなく「夢のACパワーディストリビューター」です。正に、私が欲しかったものです。お金で買うことの出来ない音とはこのことだと思います。今回の「NIAGARA」については、私自身100点満点と満足です。


 最近買ったお気に入りのディスク、Charlie HadenのNocturnを静かに聴きます。1時間半くらいしてからでしょうか、じわりじわり来始めました。1曲目は、私の大好きなピアニストの一人であるGonzalo Rubalcabaのソロが、詩の朗読風に始まり、このディスクの全体像をイメージさせるようです。

 途中から、バイオリンとJoe Lovanoのテナーが甘く囁くように、心地よい揺らぎの波動となって、自立神経とは別に、否応無く全身の皮膚を敏感にしてしまいます。

 2曲目は、このトラックに唯一参加のPat Methenyのギターから始まる、Methenyのディスクはかれこれ12〜13枚はあると思うけど、こんなに奥深い表情を感じるのは初めての経験です。根こそぎ鳴り方が変わりはじめているようです。

 ピアニシモにおける表情が苦手のはずのCDから、アナログのような自然な雰囲気が感じられます。とにかく、CDで何処まで音楽性を引き出す事が出来るのか?。「振動の時間軸の研究」というテーマを設け、階段を一歩づつ踏みしめるように、確実に、そして着実にをモットーにしてきた賜物です。この瞬間に、「今までやってきた方法に、間違いはない!」と、シッカリした形で確信を持つことが出来ました。

 ノクターンのタイトル名が示すように、全曲バラード調だから下手をするとB.G.M.になりがちです。しかし、一音一音を丁寧に、ハッキリと聴く事が出来るから、おのずと集中力が増してくるのです。この梅雨時の蒸し暑い時なのに、こうまで爽やかなのはどうしてでしょう?。オーディオワールドが近づき、体調管理に気をつけなければならないのに、この調子だと、また悪い癖が出て徹夜で聴いてしまいそう、あ〜もう3時半だ。後2日ほどエージングをして、今回の試聴会で初めてお聴きいただくことが出来ます。この「NIAGARA」の音だけは「皆さん!聴かなきゃ絶対に損ですよ!」。


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