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その2 フローリングもどきの床


 最近のマンションの床は階下に振動が伝わりにくいように、衝撃を和らげる為の材料が入っているのでしょう。「ボテッ」とした何とも頼りない感触がします。ご多聞にもれず、我が東京試聴室の床も床暖房が入っているせいかそうした状態であります。

 この床で初めて音出しをした時には、抜けの悪い重苦しい音しかしませんでした。勿論その時には、ミラクルサウンド・スクリーンが入ってのものです。スピーカーから大気中に放出された音は、見事なスピード感と切れの良いエネルギーに満ち溢れた音なのですが、いかんせん床への振動の抜けがあまりにも悪い為に全く異質な二つの音が混在してしまっているのです。

 おそらく、そうした音になるであろう事は想定しておりましたので、スピーカーベース用のボードはこしらえてきておりました。すぐさまスピーカーをばらし、ボードを挿入してもう一度セッティングのやり直しです。

 ある程度慎重に位置決めをした上で音の聴き比べをします。同じハードメイプルの素材ですから、当然「振動の時間軸」とか「音色」とか「ハーモニー」がとれてくるのは事前に分かり切ってはいるのですが、それにしても期待の80%ほどです。焦らずお互いがこなれて来るのを待つことにします。


 ボードによる振動対策というのは、べったりと面全体で受けるので、これとて私にとってはBetterではあってもBestの方法ではありません。本来私が考えていた事はサウンドフロア−の施工方式なんです。家主との関係で造作は許されませんのでその方法は断念するしかありません。

 リジッドに床に取り付ける事は出来なくても、同じ構造のサウンドフロアーを渡り廊下のように置くだけにして使う事をこの時点で決心しました。それであっても、腹ばい状態の物と比べると大分音の良さがイメージとして感じ取れます。

 こうした試聴室作りを実際に実験しながら出来るのは、お客さんにとってはこの上ない力強い味方になることでしょう。そうした意味では、今回の東京試聴室開設と言うのは大変意義深いものがあります。

 なぜなら、賃貸マンションという実際の生活空間と同じ様な環境で音を提案していくことですから、マンション住まいのお客さんにとっては、全く身近な実例集として汲み取ることが出来るのです。


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