完全整備・車検受け渡しのランチア・カッパは、
文句無し! 出色の仕上がりだった。
受け取ると同時に、宇都宮から仙台までの高速走行を強いてしまった。にも拘わらず、カッパはどんな運転をするかも分からない私に対して運転し易いように接してくれたのだ。
そんなカッパの”いじらしさ”に、
のっけから虜にさせられた。
男はこういうのに弱いのである。
育ちの良いカッパは正直言って、
私には勿体無いかもしれない・・・。
運転し易い上に乗り心地も最高!
気軽に街乗りするも良し!
言わずもがなのロングツーリングは、
疲れを微塵も感じさせない!
カッパという名車に出会えたのは幸運だが、
居合い抜きの如くゲットしたのは、
一目惚れという高揚感に後押しされたからである。
何事も成就するには勢いがモノを云う。
ヌルっとしたその出足に、
一瞬、「アレっ!」
クラッチが滑ってシフトアップしないのか?
10年前に8年落ちで買った、
'94シトロエンXMの二の舞か・・・?!
乗り味もそっくりだから、
一瞬「ヒヤッ!」と、させられた。
しかし、冷静に判断すると、
どうやら、カッパの特有のキャラクターのようだ・・・。
私の中に、O.Kのシグナルが点灯した。
とは言え、出足のトルク不足だけは頂けない。
アルファ164に乗った直後というのが分が悪かった!
子は親を選べないように、それはカッパのせいではない。
授かったものだから仕方がないと思うようにしよう。
走りのイメージのアルファとの住み分けを図る為に、前モデルのテーマ以上にエレガンスと豪華さを打ち出したかったようだ。それには親会社のフィアットの思惑が働いていると言われている。従ってレスポンス感とスムーズさの比率を3:7位に置いたのだろうと推測する。
座席の革の質感一つを取っても、カッパという車の何たるかが分かって貰えるだろう。見ているだけで座ってみたくなるような雰囲気を持っている。このオーラこそがイタリアン! 家具としての価値だけでも100〜200万クラスの代物である。
2,000回転までのトルクはもどかしい。しかし、それがあたかも計算ずくのバランスであるかのように、「NormalとPower」の切り替えスイッチが備わっている。
そのボタンさえ押せばエンジン回転が上がり、まずまずの加速感は得られる。坂道でスローダウンしそうな時とか、追い越しを掛ける時にとても便利な機構だ。低速域のトルク不足だけが低い採点だったので、簡単にデーターを取って見る事にした。
ちなみに、100km/hにてNormalとPowerを切り替えて、
エンジン回転数の違いとトルクフィーリングをチェックした。
100km/h 2200/rpm by Normal | 100km/h 2900/rpm by Power |
カイザーオペル号では、中国道西宮名塩や中央道八ヶ岳付近の長い坂道で、その便利な使い方に味をしめたものである。しかし、常時そのPowerモードで走りたいかというとそういうものではない。
また、そうしたからと言って、車そのものに走りの魅力が付与される訳ではない。そんな簡単なものだったら、オーディオも車も苦労は無い。仮にそうしたとしてもチョイスは自ずと決まって来る筈である。やはり前述の使い方が良いのだろう。
それとは別にもうひとつ、足回りの硬さを選べる「AutoとSport」モードのスイッチも付いている。この両者の機能を適宜使いこなせば、カッパ唯一の不満点もかなり解消するだろう。
あとは、いつもの加速度組立で総合フィーリングが、
どう変わってくれるのか一番興味のあるところだ。
腕を振るって、すぐにでも加速度組立をしてみよう!