トップ情報私と車>新旧タイヤでプジョー605を二日連続の加速度組み立て

新旧タイヤでプジョー605を二日連続の加速度組み立て

新しいタイヤで昨日と全く同じ加速度組み立てを605に行った。新旧タイヤによる加速度組み立て効果の違いを確認したいからだ。二日続けての同じ作業は段取りが分かっているだけに事の運びがすこぶる良い。


元々のタイヤの組まれ方が良かったので、大きな効果は望んでいなかった。しかし、一つハッキリ見えたものがある。前へ進みたい車とドライバーの意思をも含んだベクトル・エネルギーの一致である。運転する目線が安定へと導かれるような効果を確認出来た。

これは確信に繋がる大きな収穫である!

物性の方向性とは、“ベクトル・エネルギー”そのものである!

この動画は昨日古いタイヤのままで加速度組み立てを行い、すぐにその足で若洲のゲートブリッジへと試運転に出かけたものだ。


肉食動物とF.F車、草食動物とF.R車

獲物を捕獲する肉食動物は頭が動いてはいけない。そのロックオン機能を得る為に背骨を丸め、縮めては伸ばすという追尾走法を身に付けたのだ。だから肉食動物であるライオンやチーターが獲物を追いかける時、首と頭はピタッと定まっている。

605の加速度組み立てからは、

そんな感触を身を持って得た感がある。

その脚の運びをイメージしたベクトル図を元に、

ホイールとタイヤを組み上げるのだ。


一方、馬や鹿などの草食動物は天敵から逃げる為に必要な距離感と持久走力を併せ持っている。この場合背骨は伸びたままで、頭を上下させながらのリズミカルな走りは省エネ走法と見て取れる。彼らの背骨をプロペラシャフトに置き換えて考えると、ベンツやBMW等のF.R式の走りを魅力付けるには草食系動物の走りに似せるのが良いのだろう。

その考えからからすると、プジョーのようなF.F車はネコ科の走りをイメージするのが理に適っていると思う。スタートダッシュや敏捷性や急激な加減速は強靭な前足、即ち前輪駆動に頼るところが大きいと思う。

あれこれと想像しながら車を調教して行くのは、ステレオの音を自在に操れるようになる事と繋がっていてとても役に立つ。また、逆の方向から閃くこともあって毎日が楽しい事この上なしである。

さて、想像の話は一旦置いておくとして、実際にタイヤ交換に入ろう。選んだのは私好みのグッドイヤーである。LS2000 Hybrid2は価格的には求めやすいモデルだ。トレッドパターンはミシュランのプライマシーと似ている。


シトロエンとプジョーの違い

プジョーの足回りは徹底した走り込みによって磨き上げられたと聞く。そう、アスリートの走りそのものなのだ。乗り心地の良さではプジョー以上にフリーク的ファンを持つシトロエンがあるが、シトロエンは理想主義的ハイテクノロジーの結晶である事が605との比較で良く分かる。

シトロエンを一言で表現すると、心地良い浮遊感である。それは他の車とは一線を画し別世界を演じるのだ。プジョーは大地との快適な接触感が一番の印象である。

特に605はプジョー技術が完成の極地に達した最後のラグジュアリーサルーンではないだろうか。両者ともに名車なのだが、特に605のベースともなっているシトロエンXMに至っては神格化された感がある。

その一方で605の良さが認識されないままなのは歯がゆい思いだ。

これが605の猫脚!

左の前輪 右の後輪

ホイールボルトも変わっている。六角ヘッド部で押さえるのではなく、途中の腰部の出っ張りでワッシャと共に押さえる構造である。腰からヘッドまでの長さとヘッドの重みがテコとなり、ハブの振動をボルトでいなしながら放出しているのである。


普通はここまでの考えには至らない。こんな小さな積み重ねがあってこそ、見事なフットワークであり乗り心地の素晴らしさを手にして来たのだ。一般の凡人にはこれを見ても無駄なことをしているとしか思わないだろう。

605恐るべしである。

こういった手法はローゼンクランツの設計メソッドと相い通じるところがある。熱や振動を放出するにはしなりと表皮面積の多いフィンが有効なのは、ラジエーターやパワーアンプの構造を見ればよく分かる事だ。

さて、関心ばかりしていては作業が進まない。

ホイールの取り付け作業に入るとしよう。

“トドちゃん”の手つきは慣れたもの。


加速度組み立てが完成したばかりの605の試乗に出かける訳だが、新旧タイヤのその違いを二日連続でテストするのも二人にとって今回が最初で最後かもしれない。

“トドちゃん”の第一声は、

タイヤの音がしない!!

しなやかにたおやかに走る!

昨日とは別世界だ!

明日車検に出したくない・・・!

← Back     Next →