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その7 「生きたディンプル」


 3日目に入りますので、PB-BIG JAZZの音に対して、段々と冷静に受け止められるようになってきました。「クール」に、「冷静」に、「客観的に」、と自分に言い聞かせようとしても、どうしてもひいき目に見がちなことは否定できません。単に、ひいき目に見るのとは少し違いますが、正確には「こうあって欲しい!という願望」から来るものです。それはいい物を作りたいという強い思いがそうさせるわけですから、それはそれでまた無くては困るものです。

 聴くディスクも枚数を重ねてきますので、何か不自然なものがあれば必ず身体そのものが反応するはずです。そのマイナス反応は、今のところ症状として出てきておりません。

 この度の試みから、「音楽の抑揚が豊かになる」変化を前にして、「何がどうして?」、「どうなるのか」、ということを私なりの答えを導き出さなければなりません。すなわち、「音のカラクリ」の『形状による音の違い』です。

 過去に聞いた話ですが、ゴルフボールからディンプルを取ってツルンとした物にすると、すぐに失速して落下するそうです。また野球の場合、フォークボールやナックルボールも回転を殺して投げることによって空気抵抗を受け失速して落ちるもの、その反対に縫い目にシッカリと指先が掛かり回転力が加わると速い球が行きます。ピッチャーの投げた球が手元で伸びて、浮き上がる、打者にすれば黙って三球見逃し、失礼致しましたというお手上げ状態、そんな感覚です。

 車の走りのイメージとして、表面がプレーンなBIGはオートマチックの車で快適に高速巡航して走っているのと、方やBIG JAZZはミッション車でシフトダウンしたり、シフトアップしたりしてメリハリのある走りが出来る違いと解釈することも出来ます。

 今回の音における変化は、オーディオの技術的な面において、相当高度な感覚に当てはめられるような気がします。それは「生きている」というか、「気持ちが乗り移っている」というか、電気で萎えたステレオの音とは思えないような「生きた音に変身」するのです。

 BIG JAZZの音を聴きながら、Aマークが示す水平方向の始点から、どの向きの「加工パターン」にすれば一番そのエネルギーを取り出すことが可能なのか?。図面を眺めていたら、更にその力を引き出す為の秘策がまた浮かんできました。

セッティングした時の音のイメージ

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